もし就活学生がマーケティングを勉強したら 32就活とはニーズをウォンツに
換える営みです

(2013.01.21)

マーケティングのテキストには、消費者のニーズとかウォンツという言葉がよく出てきます。ニーズは「必要性」、ウォンツは「欲求」という意味が頭に浮かぶと思いますが、両者はどう違うのでしょうか。

これには諸説あるのですが、「ニーズは消費者の意識化された必要性、ウォンツは消費者の意識化されていない欲求」という説明がされることがあります。食事の時間になってお腹がすいたので空腹を満たす食事をしたいというのが意識化された必要性ということになります。これに対して、具体的に何を食べたいかはその時の空腹感とか、気分、置かれた状況によっても異なってくるので意識化されていない欲求ということになります。

勉強に、あるいは遊びに没頭していてふと気づいたらこんな時間になっていたことがわかり、急にお腹が鳴って何か食べたくなった、このような時は空腹であることが意識化され、それを満たす何かを食べるニーズが生起したという状態です。何をどのくらい食べたいかは意識化されていません。そこで今自分の置かれている状況、例えば深夜の自分のアパートで冷蔵庫には何も残っていないという状況が判明するとコンビニに夜食を買いに行こうという購買行動が生起することになります。

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その際に夜食に○○食品の○○カップ麺が食べたい、○○製菓のポテトチップスの○○味が食べたい、というのがその個別の消費者のウォンツということになります。企業は消費者の夜食ニーズに応えるために日々市場調査を続け、商品開発の知恵を絞っているのです。消費者の意識化されていない夜食への欲求=ウォンツに向けて、夜食といえば即時に消費者の脳裏に浮かぶような商品を市場へ送り込む努力、それがマーケティングといってもよいでしょう。

事業拡大のための、新たな分野に進出するために、退職者を補填するために、企業は人材を集めており、新卒一括採用もそうした企業の採用活動の一環な訳です。「今年は大学生の新卒を○人募集しよう」というのは経営計画に基づく企業の意識化されたニーズです。それを「○○大学○○学部の○○サンを採用しよう」というウォンツに換える営みが皆さんの就活なのです。

企業:あなたがほしい!
環:えっ! 私?
イラスト / たかはし たまき