もし就活学生がマーケティングを勉強したら 4 就活市場の需要と供給の
バランスが変わってしまった

(2012.07.02)

皆さんのお父さんやお母さんが就活をした頃はひょっとしたらバブル全盛の時代だったかもしれません。説明会に行ったらその場で内定をもらった、とか、親戚の人から「○○社に入りたかったらオジサンが話しといてあげるよ」といわれて履歴書だけ出したら内定通知が来た、といった話を聞かされた人もいるかもしれません。さすがに昨今ではそういった話はなかなか聞きません。

「一流大学の人やコネのある人は今でもそうなんじゃないの?」とすねているアナタ。一流といわれる大学の学生が就活でよい成果を上げている事実は今も変わりません。コネも今でも有効な働きをするでしょう。でもそういった人ですら最近は就活が思うようにいかなくなっているのです。

つまり近年企業も世界との競争が激化していること、そして少子化という現象により企業は国内市場の縮小という時代に直面しており、就活市場における買い手(企業)と売り手(学生)、つまり需要と供給の関係が変わってしまったのです。学生を求める企業の需要がなかなか増えない、また求める条件が厳しくなってきている一方で、供給側の学生の量が増えているのです。

「えっ、さっき少子化っていったじゃない?」と思った人もいるでしょう。確かに少子化は進んでいるのですが、大学生の数は進学率の向上、新設大学、学部の増加により増えているのです。皆さんは大学に入学するまでは少子化の恩恵を受けてきたといえるわけですが、就活する段階ではそれが逆に皆さんの足を引っ張るようになっているのです。

また皆さんのお母さんの時代にはまだ「腰掛(こしかけ)入社」、「寿(ことぶき)退社」などという言葉が残っていたかもしれません。これは特に女子学生が入社してから短期間で退社する仕組みで、自分が稼がなくてもよい結婚相手を見つけるまでだけ企業で働くというものです。こういう早期退職者が大量に存在したために需要と供給のバランスが取れていた面もあったかもしれません。


環「何でこんなに混んでるの~?」
樹「く・く・苦しい…。」

イラスト / たかはし たまき