もし就活学生がマーケティングを勉強したら79イミテーションを
有効に活用しよう。

(2013.12.16)

企業はスローガンとして常に業界の先端を行くことを目指してイノベーションを続けていくことを掲げていても、それは社員の士気高揚、消費者や取引先に向けての好ましい企業イメージを構築するための手段であることが多いのです。

マーケティングの研究手法のひとつに事例研究(Case Study)というものがあります。これは社会科学全般で用いられる手法であり、医学でも症例研究という形で行なわれます。これは実際に起きた事例を使うことが多いのですが、教材として作成された(架空の)事例の場合もあります。いずれにしても全く同じことが将来目の前に発生する確率は限りなくゼロに近い訳ですが、実際のプロセスを追って考えるトレーニングになり、似たような事例に対処するための総合的な能力(分析力・判断力)を身につけることが可能になるということで重宝されています。

また企業の経営者にとっても他で過去にこのような対応をしてそれなりにうまくいった事例があればそれは有力な選択肢のひとつになることでしょう。

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過去に起こったことを今日の環境に置き換えて今後はどうやったらうまくいくのかを考えることはイミテーションをベースに創造力を働かせて最適な手段を導き出すということであり、企業に限らず誰もが行なっていることでしょう。皆さんだって大学で先輩から去年の講義ノートを借りて試験対策をすることは常識でしょう。

樹: 確かに重宝させてもらっています。
環: でも中には意地悪く微妙に設問を変えてくる先生もいるのよね。

それは皆さんにイミテーションだけでは世の中渡っていけないことを遠回しに教えてくれているのです。

生まれたばかりの動物、特に鳥類でよく見られる行動で、目の前を動く物体を親と認識してしまい、それ以降もその後を追いかける現象を「刷り込み」(imprinting)といいます。学校を卒業して社会人となろうとする皆さんにとって就活期間はまさに自分の模倣すべき相手を探してそれを見習って追いかけようという時期であり、それはイミテーションから始まるといってよいでしょう。


誰でも最初は先輩の真似から入るのです。

イラスト / たかはし たまき