もし就活学生がマーケティングを勉強したら 38ターゲッティングはどのように
やればいいのでしょうか?

(2013.03.04)

それではセグメントを選択する基準にはどのようなものがあるのか、考えてみましょう。

マーケティングの教科書にはよく三つに整理されて書かれていますのでそれに沿って説明しましょう。

一つ目は「セグメントの規模と成長性」です。セグメントが大きいということは標的が大きいということですから当たる確率が上がるということです。しかしそのセグメントが衰退していくものであれば当たってもあまり旨味はないということになります。

これを就活市場でいうと求人数の多い業種や企業は狙い目です。求める学生の条件が緩く、すべての学部、学科を対象としている求人の場合は応募者も当然多くなるでしょうからそれなりの覚悟とどんなところから学生が集まってくるのか、ここ数年採用された学生はどういったバックグラウンドの学生が多いのか、リサーチが必要です。また成長性があまり感じられないのに求人数が多い場合、離職率が高いことが考えられます。新卒採用者が1年後、2年後、どの程度残っているのか、質問してみましょう。また、ある程度採用する学生の条件が絞り込まれていて、その条件に自分が合致している場合、チェックする必要はあるでしょう。

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二つ目は「セグメントの収益性」です。たとえセグメントの規模は小さくともそこから高い収益が見込めるのであればそれにチャレンジしようという動機が強まります。求人数は極めて少ないけれども待遇がものすごくいい企業というのもあります。しかし待遇と仕事の質量の間には正の相関関係があると考えるのが妥当です。待遇のいい会社からは高い能力と相応のハードワークが求められるものです。新卒一括採用は一斉に行われるのでこうした確率の低いセグメントにこだわっていると貴重な時間を費消してしまうことになりかねません。

最後は「自社の目標と経営資源」です。そもそも企業は創業時の理念、目標といったものがあります。それに共鳴した仲間が集まって事業を展開している訳です。就活において皆さんにも自分はこういった人間で、こういった人生を送りたい、といった考えがあるはずです。

樹:「たとえば?」

たとえば「豪邸に住んで外車を何台も所有したい」とか、「給料はそこそこでも昼間普通に働いて、夜は仲間とバンド活動を続けたい」とか、十人十色だと思います。この部分とその会社を選択することによって得られる生活に乖離があると長続きせず会社を辞めてしまうことになりかねません。


樹:「ム、ム、ム、標的が見えん……」
イラスト / たかはし たまき