もし就活学生がマーケティングを勉強したら 14 あなたはその会社で
どんな仕事をやりたいのですか?

(2012.09.11)

就活をする上で皆さんのターゲットとなる会社はどのような業種に属しているのか考えることは皆さんの「この会社で働きたい!」というモチベーションを高める動機づけのために必要なことです。しかし、もうひとつ、別の角度で会社を見る必要があります。それは「職種」という視点です。

製造業(メーカー)企業に入社しても全員が工場でモノを生産している訳ではありません。営業、経理、総務、企画、研究開発、生産管理、など様々な職種があります。それによって皆さんの仕事の内容も、職場の雰囲気も、そして何よりも仕事の成果として求められるものも大分変わってきます。

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たとえば新規顧客開発の営業部門の営業職であれば、門前払いを受けたり、なかなか成果が出ない局面が続いてもめげずに明るく向かっていく資質が求められますし、経理部門であればミスなく確実な事務処理をこなす資質が求められます。(これは当然同じ部門でも社歴によって変わっていきます。こうしたベーシックな資質の上に徐々に専門的な能力が備わり、そこに皆さんの個性が味つけをすることになるのです。)

また、職種が同じといってもその業種や企業の規模によって仕事の内容は大分変わってくるので注意が必要です。ベンチャー企業の営業部門であれば、新規顧客の開発が中心になるでしょうが、大企業の営業部門であれば既存の大口顧客をライバル企業や新興の企業から守る仕事のウエートが高かったりします。日本史で習った封建時代の大名も、領土を拡大している戦国時代の大名と領土が固まってしまった徳川幕府時代の大名とでは大分性格が違っていましたよね。戦いに勝つ武力一辺倒から、経済を安定させ、住民の不満をためずに税収を上げるといった藩のバランスのとれた経営重視の方向に変わっていきました。これは企業の文化、社風といったものとも関係します。

これまで日本企業の多くは終身雇用を前提としたシステムの中で職種の異なる複数の部署を経験させながら社歴を重ね、社内人脈を拡げながら幹部への道を歩ませるという方策をとっていました。したがって入社時点では職種というのはあまりこだわっても仕方ないのですが、面接で「この会社でどんな仕事をやりたいの?」と聞かれた際に「何でも結構です。」と答えるのは考えものです。あなたがどういった強み、あるいは資質を持った学生であるかが相手に伝わらないとともに、この会社のことをちゃんと研究しているのか、単に会社の名前が知られているというだけでエントリーしたのではないかと疑われてしまうからです。


面接官:君はわが社でどんな仕事がやりたいのかね?
環:社長です!

イラスト / たかはし たまき