Fukuoka RePublik:Vol. 01
MARCIO FARACO JAPAN TOUR 2013
福岡で世界の音楽やアートを楽しむ。
マルシオ・ファラコ、福岡から始動。

(2013.02.12)

パリのブラジル人シンガー・ソングライターが、古民家でささやき歌う。

深く敬愛するアーティストの初来日ツアーという、うれしいニュースが飛び込んできた。彼の名は、マルシオ・ファラコ。アコースティック&フォーキーなブラジリアン・ギター・サウンドを軸に極上のMPBを聴かせてくれるブラジル人アーティストで、パリを拠点に活動している。しかも初回公演は、私の地元、福岡だ。会場は、市内中心部にありながら古民家をリノベーションした素敵な雰囲気のカフェで、自家焙煎の珈琲や自家製のパンなどこだわりのドリンクとフードで人気の『papparayray (パッパライライ)』。初来日、初公演では、多くのアーティストが緊張するものだが、大きな窓ごしに庭が臨め、ゆったりとした時間が流れる空間で、少しでもリラックスしてくれることを祈りつつ、わくわくしながら公演日を待っている。

優しく甘美な唄声と幅広い音楽性に惹かれ…。

これまでいろんなブラジル音楽を聴いてきたのだが、一時期しばらくボサノヴァを聴かなくなったことがある。2006年、5年余り暮らした米国から帰国すると、洋服屋さんでも雑貨屋さんでもカフェやレストランでも、ただ甘ったるいだけのボサノヴァがあふれていて、うんざりしたものだ。しばらくして出会ったのがマルシオのファースト・アルバム『Ciranda』。どこかカエターノ・ヴェローゾやセルソ・フォンセカを彷彿させる優しく甘美な唄声とともに彼の音楽性の幅広さに強く惹かれた。

’63年 ブラジル南東部の小さな町に生まれたマルシオは、父親の仕事の関係でブラジル各地を転々とする。幼いころからサンバやショーロ、バイアオなど異なる土地のさまざまな伝承音楽の洗礼をうけた。演奏活動を本格的に始めたリオ・デ・ジャネイロでフランス人女性と出会い、結婚。’92年に、奥さんの出身地である南フランスへ移住する。そこでは、バーやパーティそしてビーチで演奏することが中心で、地方都市で評価されることは難しかったようだ。ほどなくしてパリへ移り、フランスのSSWディディエール・シュストラックやクレモンティーヌのバックを務める一方で作詞作曲に集中する。

7年の歳月を経てようやくデビュー・アルバム 『Ciranda』をリリース。その後、現在まで発表された6枚のアルバムでは、ヴァグネル・チゾ、シコ・ブアルキ、ミルトン・ナシメント、フィリップ・バーデン・パウエルといったブラジル音楽を代表するマエストロたちが参加している。

福岡にて、世界をインディペンデント文化を楽しむ。
“Think locally, act globally. Think globally, act locally”

マルシオの音楽はまさしくこの言葉がピッタリ当てはまるだろう。西洋音楽の理論や系譜では語れない土着の伝承音楽に根ざしていながらも、とてもコンテンポラリーで都会的に洗練された表現の音楽。サンバやショーロなど自分が幼いころから慣れ親しんだ音楽への深い愛と当時の生活への郷愁を根底にもちつつ、パリの街角を思わせるアコーディオンをフィーチャーした曲、アコースティック・フォーキーなサウンドやクラシカルなストリングス・アレンジなどが聴かれ、独自のスタイルとともに仕上がった作品たちはヨーロッパ、母国ブラジル、そして日本で高く評価されている。

福岡はとても暮らしやすい土地柄で、中心部では店やモノがひととおり揃い、新鮮で豊かな食材は申し分なく私たちの舌を楽しませてくれるし、30分もドライブすれば水の透明度が高いビーチや緑が深い山麓でのんびりすごすことができる。

唯一の不満は、メイン・ストリームではないインディペンデントなアート、映画、演劇や音楽などに生で接する機会に乏しいことだ。ただ最近は、各分野で興味深いイベントやプロジェクトにチャレンジしている “思慮深い無謀さ” をもった人が増え、そんな状況も少しずつ変わりつつあるように思える。以前は、私たちが敬愛するアーティストたちの公演は岡山あたりまでしか来ず、「近くて遠い関門海峡」と嘆いていたものだが、昨年のカルロス・アギーレ & キケ・シネシ、1月のマテオ・ストーンマンに続き、マルシオ・ファラコがやってくることは夢のようだ。この流れがこれからも続いていってくれることを願っている。そして地方都市に暮らす私たちも Think locally, act globally. Think globally, act locally !

MARCIO FARACO JAPAN TOUR 2013

3.17 sun 福岡 パッパライライ 
Marcio Faraco Live in Fukuoka
開場 18:00 / 開演 19:00 前売 3,500円 (1ドリンク付)/ 当日 4,000円 (1ドリンク付)
ご予約 : パッパライライ Tel.092-406-9361(11:30〜19:00 / 木・金休)
メール予約 : リパブリック info@republik.jp

3.19 tue 東京・渋谷 サラヴァ東京 
Márcio Faraco Live in bar buenos aires
開場19:00 / 開演20:00
前売3,500円(1ドリンク付) / 当日 4,000円(1ドリンク付)
ご予約:SARAVAH 東京 HP内の予約フォームより。
電話受付:Tel.03-6427-8886(14:00~18:00/月火木金 / 祝日を除く)

3.20 wed 東京/飯田橋 l’Institut Francaise Tokyo 
フランコフォニー・デー2013
入場無料/飲食有料
お問合せ:Tel.03-5206-2500(担当:ブラバ・カリム)

3.21 thu 鎌倉 カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ 
開場19:00 / 開演19:30
前売・当日共に 3,500円(1ドリンク付)
ご予約・お問合せ:Tel.0467-23-9952 (1/21よりお電話のみ受付開始)

3.22 fri 名古屋 Cafe Dufi
開場18:30 / 開演20:00
前売3,500円(1ドリンク付) / 当日 4,000円(1ドリンク付)
ご予約・お問い合せ:Tel.052-263-6511
メール予約:duficafe@ybb.ne.jp

3.23 sat 岡山 城下公会堂 
開場19:30 / 開演20:00
前売3,000円 / 当日 3,500円 (※別途1ドリンク500円-)
ご予約・お問い合せ:Tel.086-234-5260(城下公会堂)
メール予約:moderadomusic@gmail.com (moderado music)

3.24 sun 姫路 HUMMOCK Cafe 
開場17:00 / 開演18:00
前売 3,000円 / 当日3,500円(1ドリンク付)
料理:当日限定料理やドリンクを数種ご用意いたします。
ご予約・問合せ先
メール:hummockcafe0525@yahoo.co.jp
Tel:079-254-1400(12:00~22:00定休日除く)

主催/総合お問い合わせ:大洋レコード
Tel:03-3235-8825(12:00〜19:00/水・第3日休)

MARCIO FARACO PROFILE

フランス在住のブラジル人シンガー・ソングライター。’63年ブラジル南東部アレグレーテの生まれで、’92年からパリに移住しボサ・ノヴァ・ギターのプレイヤーとして活動。クレモンティーヌの大ヒット作「クーラー・カフェ」への参加や、男性歌手ディディエール・シュストラックのバックを務め、フランスとブラジルの双方で6枚のソロ・アルバムをリリース。モントルー・ジャズ・フェスをはじめ多くのジャズ・フェスや大劇場での公演はいずれも大きな評判を呼ぶ。ブラジル音楽界の大御所であるシコ・ブアルキやヴァギネル・チゾ、ミルトン・ナシメントらの参加を仰いだ各アルバムは、ここ日本の多くのボサ・ノヴァ・ファンの間でも話題に。日本盤もリリースされた最新作『ウ・テンポ』は、リオ・デ・ジャネイロとパリを行き来して描かれたボサノヴァのゆるやかな揺らぎと陽光を浴びた穏やかなギターのトーン、うっとり包み込むように詩情が溢れるソフトな唄声で、シンプル・アコースティックな大傑作。今回初となる来日はマルシオ・ファラコ(vo,g) とエルヴィ・モリゾ(g) のデュオ編成。

O Tempo
2,500円(税込)TAIYO 0016