珠玉の映画音楽に新たな息吹を。『シネマトムジカ』 横浜赤レンガで開催。

(2015.02.24)

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若手気鋭の音楽家によって
珠玉の映画音楽が新たな息吹を宿す。

2015年3月28日に横浜赤レンガ倉庫1号館(以下赤レンガ倉庫)で開催される『シネマトムジカ』。まずはこのイベントを紹介するにあたり『SOUND DISCOVERY(サウンド・ディスカヴァリー)』というプロジェクトについて触れておきたいと思います。会場の横浜赤レンガ倉庫は、日本と世界との交流において歴史的に大きな意義を果たしてきました。かつては海外からの輸入品を保管する保税倉庫として使われ、その新しい文化の玄関口、発信地としての役割を担ってきたのです。『SOUND DISCOVERY』はその歴史を音楽でつなげようというライブシリーズ。主催は公益法人横浜市芸術文化振興財団、ディレクター大石俊太郎さんが気鋭の音楽家を発掘、赤レンガ倉庫から発信しています。

『シネマトムジカ』は、この『SOUND DISCOVERY』の集大成的なコンサート。気鋭の若手が映画音楽を赤レンガ倉庫で演奏するという内容で、今回演奏される予定曲は『ニューシネマパラダイス』、『勝手にしやがれ』、『シェルブールの傘』など主にヨーロッパ映画の劇中曲。しかしなぜ映画音楽なのでしょうか? ディレクターでサックス奏者として演奏する大石さんにお話をうかがいました。

大石俊太郎(編曲、サックス)  サックス奏者、作曲家、赤レンガ倉庫1号館音楽ディレクター。東京芸大在学中よりプロサックス奏者として活動スタート。ジャズ、ポップス、ジャンルを超えた新しい音楽を送り出している。
大石俊太郎(編曲、サックス)  サックス奏者、作曲家、赤レンガ倉庫1号館音楽ディレクター。東京芸大在学中よりプロサックス奏者として活動スタート。ジャズ、ポップス、ジャンルを超えた新しい音楽を送り出している。

大石さん「まず映画音楽はジャズとか、クラシックといったジャンルの垣根があまりなくて、表現が自由なんですね。『シネマト……』はその「表現の自由」をコンセプトとし、ただ原曲通りに再現されるのではなく、僕たちなりの主観により、もう一度曲が練り上げられていくコンサートにしたいと思います。

また『シェルブールの傘』の作曲家 ミシェル・ルグランや、『勝手にしやがれ』のマーシャル・ソーラルは、50、60年代アメリカのジャズに憧れ研究し、その要素を取り込みながら自分たちの音楽を生み出していきました。それと同じように、様々な音楽から常に影響を受けている僕達から彼らへのオマージュであり、新しい音楽発信となればという思いもあります。」

倉庫の複雑な反響を活かし、音楽という作品を創りだす。

先人たちの手法を研究、自分たちの解釈によってもう一度曲を編成する試みなのですね。もうひとつ注目したいのは赤レンガ倉庫そのものを音響素材として使おうという挑戦があるそうですが。

大石さん「赤レンガ倉庫は元々、物資の保税倉庫だった建物を文化施設として改装しています。改装とはいっても、ホールに必要最小限の設備実装。ほとんど倉庫のまま形を残しており、計算された音響設計のもとに作られたコンサートホールと比べると、演奏するには異質な空間といえます。しかも、今回は音響設備PAすら使わない。あえて無骨な空間が織りなす複雑な音の反響を活かす。空間が音に合わせて作られるのではなく、音が空間に合わせて作られていくイメージです。

僕は実際にこの会場に2〜3日住んでみて、本当にこの会場に合う楽曲をセレクト、アレンジを作っていこうと考えています。」

大口俊輔(ピアノ、アコーディオン)   
鍵盤奏者、作曲家。NHK『あまちゃん』劇中音楽でのアコーディオン演奏の他に、数多くの劇音楽やファッションショーを数多く手がける作曲家でもある。
大口俊輔(ピアノ、アコーディオン)   
鍵盤奏者、作曲家。NHK『あまちゃん』劇中音楽でのアコーディオン演奏の他に、数多くの劇音楽やファッションショーを数多く手がける作曲家でもある。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
同種楽器を重ねることで、色濃く深い音色に。

面白いアプローチですね。楽器は、サックス、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとのことですが、特に弦楽器が4種と厚く、贅沢な編成になっているのはなぜでしょう? 

大石さん「同種楽器を重ねることで、色濃く深い音色を奏でることができると思うのです。今回はそれに加え、弦楽器と相性が良く繊細さを表現できるピアノと、艶のあるサックスが入ります。
また、同種楽器が多い中で、メンバー各々が自分というフィルターを持ちアウトプットできるので、一緒に演奏していて刺激があります。聴く人たちにもその刺激は感染していくのではないでしょうか。」

吉田篤貴ストリングス  ヴァイオリン奏者 吉田篤貴の呼びかけにより結集したストリングス。吉田篤貴(ヴァイオリン)、沖増菜摘(ヴァイオリン)、福田幸子(ヴィオラ)、越川和音(チェロ)、木村将之(コントラバス)。
吉田篤貴ストリングス  ヴァイオリン奏者 吉田篤貴の呼びかけにより結集したストリングス。吉田篤貴(ヴァイオリン)、沖増菜摘(ヴァイオリン)、福田幸子(ヴィオラ)、越川和音(チェロ)、木村将之(コントラバス)。

常に革新的なものに迫る試みをしてきた横浜の歴史と、新たな音を生み出そうとする演奏者たち。横浜赤レンガから発信される真新しく生まれ変わった名曲を、ぜひ聴いていただきたい。

SOUND DISCOVERY 横浜赤レンガ倉庫1号館 倉庫ライブ
『シネマトムジカ』

会期:2015年3月28日(土)
時間:15:30開場 16:00開演

会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール(神奈川県横浜市中区新港1-1)
前売 3,000円 当日 3,500円
チケット取り扱い: 横浜赤レンガ倉庫1号館 10:00-18:00、Tel.045-211-1515
カンフェティ・チケットセンター 平日10:00-18:00 Tel.0120-240-540 
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