10月7日(火)イダン・ライヒェル初来日ライブ at ビルボードライブ東京人種のるつぼイスラエルを象徴するイダン・ライヒェルとは。

(2014.09.16)

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大手レコード店にコーナーが設けられ、今年のFUJI ROCK FESTIVALにはサーフ・ロックバンドのブーム・パムが出演、先日も世界中の注目を浴びているベーシスト、アヴィシャイ・コーエンやピアニストのヤロン・ヘルマン、ロイ・アサフが立て続けに来日公演を行うなど、日本国内でも熱い視線が注がれているイスラエル音楽シーン。その中でも、ポップスシーンでトップの座にいながら未だ日本の地を踏んでいないアーティストがいる。イダン・ライヒェルだ。デビューアルバムが20万枚以上売り上げ、今秋初来日を果たすイスラエルのスターはどんなアーティストなのか。本人の証言と共に紐解いていく。
下は16歳から上は93歳まで、レコーディングに参加したアーティストは95人。
イダン・ライヒェル・プロジェクトとは?

「僕の住んでいたところにはイエメンやアメリカ、モロッコとかさまざまな国から来た移民がたくさんいて、その人たちと一緒に曲を作り始めたんだ。イダン・ライヒェル・プロジェクトをスタートし始めると、一種のムーブメントのように、いろんなアーティストが参加してくれるようになった。これまでに、下は16歳から上は93歳まで、95人のアーティストと曲を作ったよ。」

イダン・ライヒェルはイスラエルの大都市テルアビブのほど近くのクファル・サバ生まれの現在36歳。キーボーディスト、プロデューサー、作曲家として活動。そしてイダン・ライヒェルを中心とした音楽集団、イダン・ライヒェル・プロジェクトはこれまでに4枚のアルバムをリリースしており、2002年のデビューアルバム『ジ・イダン・ライヒェル・プロジェクト』は20万枚以上、昨年リリースした『クォーター・トゥ・シックス』も8万枚以上を売り上げるヒットを記録している。

イスラエルという国は、アメリカ、東ヨーロッパ、アフリカなど70以上の国からの移民によって形成されている。イダンの生まれ育った環境も例外ではなく、音楽活動を始めたイダンの下に、さまざまなルーツを持つアーティストたちが集まってきた。そうして自然発生的に作られたイダン・ライヒェル・プロジェクトは1曲1曲に違うシンガーをフィーチャーし、さまざまな楽器を取り入れているだけでなく、さまざまな言語すらも楽曲に取り込んでいる。これまで作品で共演したアーティストは95名、しかも16歳から93歳までという老若男女、国籍、宗教、言語を問わず。そうした多種多様な、言い方を変えると雑多な音楽性は、一つ間違えればただのコンピレーションになりかねない。しかしそれらの多様性を一つの作品としてまとめ上げ、デビュー以降高い評価を得ているのは、イダンのプロデュース力とソングライティング力、そして類まれな音楽センスの賜物と言える。

イダンのソングライティングの才能はイスラエル国内のみならず、他国へも知れ渡り、グラミー賞アーティストのインディア・アリーとコラボしたり、アリシア・キーズがテルアビブで公演を行った際も共演を果たしている。さらに、昨年アメリカ大統領バラク・オバマのプライベートパーティーにも招待されパフォーマンスを披露している。その時の様子を彼は「オバマ大統領が演奏中に突然スマートフォンで動画を撮りだしたんだ。世界中を飛び回って、国を動かしている人たちが子供のように楽しんでいたのが印象的だったよ。」と語っている。

  • Photo:Elad Weizman
    Photo:Elad Weizman
  • Photo: Alon Shastel
    Photo: Alon Shastel
エスニックで、ロマンティック、叙情的なイダン・サウンドは人種の、そして音楽のるつぼ

「僕の音楽でもっとも大事なのはフォーク・ミュージックなんだ。ジャズやポップス、いろんな音楽があるけど、僕にとって音楽の究極はフォーク・ミュージックだと思っている。そして色んな国の伝統的な音楽もまたフォーク・ミュージックと言える。だからこそ、参加してくれるアーティストはそれぞれの伝統音楽の要素を僕の曲にもたらしてくれる。」

9歳の時に母親の影響でアコーディオンをはじめ、ジプシー音楽やタンゴに興味を持ったイダンは、高校生の時にジャズを学び、キーボードを弾き始める。そして、徴兵制により軍隊に入った際には軍のロックバンドでイスラエルやヨーロッパのポップスを演奏してきた。イスラエルという国で、イダンが体現する音楽は、正真正銘のフォーク・ミュージックだ。「人種、音楽のるつぼ」である彼のサウンドは、どこかもの悲しさを感じさせる美しいメロディと共演アーティストがもたらすエスニカルな要素が入り混じり、聴く者に不思議な高揚感を与える。アフリカ音楽、アラブ音楽、カリブ音楽、インド音楽、あらゆる伝統音楽を内包しながらもポップ音楽に昇華する。共演アーティストのバックグラウンドを受け止め、自らの感性に融合する懐の広さと深さ、技術はイダンが住んでいた環境、そして経験が生み出したものといえる。

世界各国でのツアーを経て、ついに日本上陸。

「10月のツアーが初めての日本なんだ。今までミュージシャンとしても行ったこともないし、旅行でも行ったことがない。周りの友たちはみんな日本の食べ物が素晴らしいって言ってるから、今回マネージャーに言って、日本でオフ日を作ってもらった。色んな人たちと話をしたいと思ってるし、みんなのおススメの観光地とかレストランとかも聞いて行ってみたいね。」

イダンはすでにイスラエルに収まっているアーティストではない。ニューヨークのアポロ・シアターをはじめ、ロサンゼルスのコダックシアター、シドニーのオペラハウス、パリ、ロンドン、香港など世界各国をすでにツアーで回っている。

そして10月にイダンは初めて日本に上陸し、初公演を行う。ソロから20人以上のビッグバンドまでさまざまな形を見せるイダンだが、来日公演のメンバー構成はピアノ・トリオをベースに、ボーカル2人とフルートを迎えた6人編成となる。

「僕は色んな形でライブをやるけど、初めてということもあって、親近感があって、みんなが開放的になるようなメンバー構成にしたんだ。すごく良いライブになると確信してるよ。そして次来るときはビッグバンドでやってみたいね。」満を持しての日本公演は、観る者聴く者に新たな音楽感を目覚めさせることだろう。

最後に彼は「イスラエルはすごく色んな文化が混ざり合った国なんだ。音楽もアートもとても盛んだし、興味のある人は是非来てほしい。北から南まで車で7時間程度、東から西は1時間半くらいで横断できちゃう。クラシックにしろ、ジャズにしろ、エレクトロ・ミュージックにしろ、きっといい音楽をたくさん発見できると思うよ。だから、ウェブで検索するんじゃなくて、とにかく一度来てイスラエルの良さを体感してほしいよ。」と語った。

彼のオフィシャルサイトからメールマガジンに登録すると、ヒット曲「Bo’ee」や「Mon Amour」など3曲が無料でプレゼントされる。

【「SABON」presents イダン・ライヒェル初来日ライブ 】
2014.10.7(火) 1st Stage開場17:30 / 開演19:00 2nd Stage開場20:45 / 開演21:30
サービスエリア6,800円 / カジュアルエリア4,800円
会場:ビルボードライブ東京
(東京都港区赤坂9丁目7番4号東京ミッドタウン ガーデンテラス4F)
予約:03-5414-5861
ビルボードライブ オフィシャルHP
イダン・ライヒェル オフィシャルHP