Beto Caletti Japan Tour 2011(9/17〜9/25)に寄せてベト・カレッティ来日ツアー
「ホンモノのサウダージ」を届けに。

(2011.08.29)

『エスキーナス〜街角』を偶然見つけ、始まった初来日への序章。

アルゼンチンで生まれ育ち、今も首都ブエノスアイレスに住み、音楽活動をするベト・カレッティ。彼は、アルゼンチンと並ぶ南米の大国、ブラジルの音楽であるボサノヴァやサンバ、そしてMPB(ブラジルのポピュラー・ミュージック)を深く愛し、自らも演奏するシンガー・ソングライター&ギタリストです。

彼の音楽と出逢ったのは、ちょうど3枚目のアルバム『エスキーナス〜街角』がアルゼンチンでリリースされた2005年でした。偶然店頭で見つけたその輸入盤CDを聴いた僕は、この作品をぜひ日本で紹介したいと強く思い、すぐに本人へメールを送ったのです。

それをきっかけに、お互いに連絡をとりあうようになり、先程のCDの国内盤リリースもすんなりと決定しました。そしてCDが日本で発売されて少し経ったある日、ベトからこんなメールが来ました。「日本でライブツアーをやりたい。小さい会場でもかまわない。僕はとにかくオーディエンスと自分の音楽を共有したいんだ」……果たしてツアーのオーガナイズなんてやったこともなかった僕は、少々後ろ向きな内容の返信を送りました。が、それに対してのベトの返事は「行くのは僕だけだから、費用の心配もいらない。どんな条件でも自分はかまわないし、とにかく人々の前で演奏できることが僕にとっては大切なんだ」というものでした。

もちろん音楽が素晴らしいからこそCDをリリースしたのですが、彼のライブを聴いたこともなく、それも1人で来日するということは「弾き語り」になるわけです。それが果たしてどこまでの腕前なのか想像もつかないまま、半ば彼の熱意に負けるようにして開催を決めた初来日ツアーでした。

「ホンモノ」に出逢った日から。

そしてやってきたツアー初日は、青山にある老舗ブラジリアン・ライブハウス『プラッサオンゼ』でした。そのリハーサルが始まり、ベトが手際よくセッティングを済ませ、その日の調子を計るように歌いギターを爪弾き始めた瞬間、それまでの僕の不安は全て消えてしまったのです。

甘い色気と爽やかさに、完璧な音程をそなえた歌声。繊細さとダイナミックさを併せ持ったギター。その両者が一体となって産み出される、思わず体を揺らしてしまう心地よいブラジル音楽独特のグルーヴ……彼の弾き語りは、他になんの伴奏もいらない、まさに「音楽そのもの」でした。

ブラジル音楽の魅力を表わす「サウダージ」という言葉があります。「郷愁」というような意味なのですが、ブラジル音楽特有の、あの胸をキュっと締めつけられるような切ないフィーリングを、アルゼンチン人のベトは完全に自分のものにしていました。いや、ブラジル人よりもサウダージ溢れる音楽を奏でていたのです。僕と共にリハーサルを見守っていたライヴハウスの方はひと言、「彼はホンモノだね」と。

終わってみれば、初来日ツアーは大成功でした。ベトは素晴らしいパフォーマンスでオーディエンスを魅了し、感動のあまり泣き出すお客さんも続出するほど。ツアー日程を消化するごとに評判が評判を呼び、鎌倉のカフェ・ヴィヴモン・ディモンシュで行われたツアー最終公演は、入替え制の2回公演だったにも関わらず立見がでる大盛況となりました。そのライブの模様を収めたのが、CD『En Vivo Em Japon〜ライブ・イン・ジャパン』です。

今では、ベト・カレッティと僕の付き合いが本当の意味で始まったのは、あの最初のリハーサルの瞬間だったんだなと思います。あのツアーを通じてベトと僕は大きな手応えを掴み、それ以降毎年のように彼は日本を訪れ、共にたくさんの場所に行き、たくさんの人々と出逢い、彼の音楽を共有してきました。


そして5度目の来日へ

そして9月の5度目の来日ツアーでは、初来日以来必ずライブを開催させていただいている会場に加え、初めて姫路と福岡でも公演を行えることになりました。詳しくは別掲のスケジュールをご覧頂ければと思いますが、ライブ直前に一気に予約が入り、立見のお客さんも多数出てしまうのが毎回恒例になっています。早めにご予約いただき、彼の素晴らしいパフォーマンスを近くで堪能して下さい。

さらに、前回とても好評だった「ギター・ワークショップ」を今年も行います。(ベトはブラジルのギター奏法についての本も出版し、多くの生徒をもつ先生でもあります。)ワークショップというと敬遠される方もいると思いますが、内容は「初級編」です。最初の30分はギターに触りません(笑)。まずブラジルのパーカッションを使い、ボサノヴァやその原型であるサンバのリズムを実演・解説します。そのリズムの構造を体と感覚で理解してから、ギターへと置き換えるとどうなるのか、を実践していきます。コードを1つだけ知っていればワークショップには充分についてこられますので、ギター初心者でも、久しぶりに触る人でも、ボサノヴァ〜サンバのギター演奏に少しでも興味をお持ちの方はぜひご参加下さい。

ある程度ギターを弾かれる方や、前回の「初級編」に参加なさった方のために、東京では「中級編」ワークショップも行います。こちらは、世界中をギター1本で演奏して回るベト・カレッティならではの「生きた」ブラジリアン・ギターの弾き語り奏法の醍醐味とエッセンスを、惜しみなく伝授する濃い内容になる予定です。

ベトは、大震災と原発事故を経た日本にいる数多くの友人に一刻も早く会うことを願っています。そしてこのツアーでの、新たな友人との出逢いも楽しみにしています。それはきっと、この記事を読んでいただいた皆さん、一人ひとりだと思います。それでは、会場でお待ちしています!

 

【Beto Caletti JAPAN TOUR 2011 “Bye Bye Brazil” 2011/9/17~9/25】

9月17日(土)青山 プラッサオンゼ
開場19:00 開演 1st 20:00/2nd 21:30(2ステージ・入替えなし)
料金:3,800円(1ドリンク付)
9月19日(月・祝)鎌倉 カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ
開場18:00 開演18:30
料金:3,800円(1ドリンク付)
9月22日(木)名古屋 カフェ・ドゥフィ
開場18:30 開演20:00
料金:前売3,000円 当日3,500円(ともに1ドリンク付)
9月23日(金・祝)姫路 ハンモック・カフェ
開場16:00 開演17:00
料金:前売3,000円 当日3,500円(ともに1ドリンク+アルファフォール付)
9月24日(土)岡山 城下公会堂
開場19:30 開演20:00
料金:前売3,000円 当日3,500円(ともに1ドリンク別途500円)
9月25日(日)福岡 カフェ&ギャラリー・キューブリック
開場17:30 開演18:00
料金:前売3,000円 当日3,500円

 

<ベト・カレッティ・ブラジリアン・ギター・ワークショップ>

ブラジリアン・ギター初心者にも、ある程度心得がある方にも。ベトが自らのプレイの基本とする、ボサノヴァ~サンバのギター奏法を理解し演奏するための重要なエッセンスを惜しみなく伝授する貴重な機会!
9月18日(日)渋谷 バール・ボッサ
時間:1回目・初級編 13:00(約120分)
2回目・中級編 16:00(約120分)← ‘09年WS受講者の方はコチラへ
料金:1回目、2回目各3,000円 5,000円(1・2回通し料金)
9月23日(金・祝)姫路 ハンモック・カフェ
時間:14:00(約90分予定)
料金:2,500円(ワークショップのみ参加の場合)、5,000円(当日のライブとの通し料金)
9月24日(土)岡山 城下公会堂
時間:17:30(約90分予定)
料金:2,500円(ワークショップのみ参加の場合)、5,000円(当日のライブとの通し料金)
9月25日(日)福岡 カフェ&ギャラリー・キューブリック
時間:14:00(約90分予定)
料金:2,500円(ワークショップのみ参加の場合)、5,000円(当日のライブとの通し料金)