マイア・バルー 、ダブルフェイマスが競演『地球をとってよ!』Vol. 2。

(2009.11.16)

去る10月29日代官山UNITにて開催された、UNIT&マイア・バルーPresents“地球をとってよ!”Vol. 2。

今回はゲストにダブルフェイマスを迎え、マイア・バルーBANDのスペシャルゲストにはこの日の会場で先行販売されたマイアのニューアルバム『地球をとってよ!』のプロデューサーも務めた佐藤タイジが参加。インターネット中継も行われた、今年1月のマイア初のUNITでのワンマンライブで見事なスーフィーを披露したモトカ率いる謎の美女ダンスユニット「vorga」による迫力ある演出と、マイア自ら自腹で観客分を用意したというメガホンでの絶叫! をも要所要所で取り入れるなど、マイア・バルーの新境地とも言えるパフォーマンスに、満員の会場は酔いしれました。

UNIT&マイア・バルーPresents“地球をとってよ!”Vol. 2 photo/Akihiko Sonoda

ピエール・バルーを父にもち、幼少時代から舞台を遊び場に、世界中のありとあらゆる音楽を吸収して育ったというマイア・バルーからは、音とコトバに対する人並み外れた奥行きの深さと音楽への愛が溢れ出しています。観るたびに新しい発見のあるマイア・バルーのステージには、次はいったいどんな一面が垣間見られるのか、と思わず何度も足を運んでしまう魔力が潜んでいるのです。

オープニングはダブルフェイマスとマイアによる、まさにこのライブの看板『地球をとってよ!』。

ゲストにダブルフェイマス、スペシャルゲストに佐藤タイジを迎えて。

言わずと知れた父ピエール・バルーの曲に、一見ワガママな女の戯言に見えて実は地球温暖化を歌ったエコがテーマ、という日本語の歌詞を乗せ、トランペットやドラムスなど迫力ある音で一気に観客を盛り上げます。

つづく前半のステージは、結成15周年の全国ツアーを終え、メンバーチェンジも経た新生ダブルフェイマスによるダイナミックな演奏の数々。メンバーが次々と楽器を持ち変える器用ぶりには思わず目を見張ります。経験と確かなテクニックに裏付けされた大人の色気がオーディエンスを煽り、その挑発に乗せられた者たちは皆、心地よさそうにそのリズムに身を委ねていました。

インターバルを挟み、いよいよマイア・バルーの登場です。

セッティングの段階から早くもフロアには、マイアはもとよりメンバーであるベースのAbu、アフリカンパーカッションの駒澤れおを呼ぶ声がこだまし、期待の高さを伺わせます。クリス・ペプラー氏の引き合わせにより、マイアBANDにギターとして参加したカリブの海賊風スタイルの佐藤タイジとの掛け合いの息もピッタリで、より一層無国籍な雰囲気を漂わせるマイア・バルーのステージ。

さあ、自らを日系宇宙人!! と称するマイア機長と中東・アフリカ・南米から集まった!? というステキなキャビンアテンダントとともに、観客を乗せた『地球をとってよ!』号の旅の始まりです。

まずはマイアのライブの始まりには欠かせない、奄美大島の島唄とアフリカの曲をミックスしたという『ポプリ』からスタート。幻想的なメロディと魂を呼び醒ますかのようなヴォーカルは、聴き手を異空間へと誘います。

続く2曲目は『デロスの丘』。日本語とフランス語を自由に操るマイアの手に掛かると、いつの間にかフランス語の曲に変わっていても、なんの違和感を覚えることなく、その世界観に引き込まれてしまうのです。

日本語とフランス語を自由に操るマイア。

拡声器を用いたパフォーマンスも楽しい『Asia』のあとには、NYの船着き場で運命の再会を果たし結婚することになった幼なじみの2人へのお祝いに、マイアが贈ったという『小さな奇跡』が披露されました。

そして今回なにより印象的だったのは、父ピエール・バルーから届いた詞とマイアによるメロディが見事な調和を生み出した父娘合作の『ぽろろん』です。ギターを爪弾くかのような物哀しさと、うつくしい旋律に浮かび上がる詩の情景は、あらゆるバックグラウンドを持った人にも、そこはかとない懐かしさを喚起させる力を秘めた名曲になるに違いありません。ニューアルバムに収録されているので、ぜひチェックを!

つづく『イノセンス』ではvorga星人!? による襲撃をうけ、父ピエール・バルーの曲を日本語で歌う『生きる』のあとには、おまちかねのマイア特製メガホンが大活躍するジプシーメタル『Gelem Gelem』で会場中に絶叫が響き渡りました。

そしてラストを飾るのは、マイアのニューアルバムのハイライトナンバー『ongaku』 です。音楽の神様に感謝するというメッセージが込められたこの歌は曲をベースのAbuが手掛けています。

まさしく「これからも命ある音を作っていきたい」というマイアの言葉にふさわしい、コトバと音に生命力がみなぎるライブでした。

“地球をとってよ!”Vol. 3は2010年2月25日(木)に開催が決定!

最後に―。
なんといっても見逃せないのは、もはやマイア・バルーのライブの見所のひとつと言っても過言ではない、とっておきのメンバー紹介のコーナーです。大迫力のパーカッションによる演奏が持ち味の駒澤れおが、かわいらしい音色のカリンバを巧みな技で奏でたかと思えば、トルコの王様? に扮したベースのAbuとエキゾチックな布を被ったマイアが踊りだし、マイアにひっかけて突如『恋のマイアヒ』を歌ってみては、父ピエールの代表作『男と女』の有名なフレーズを「パルドン(ごめんなさい)! パパ」と云いながら、フランスから駆け付けたピエール・バルー本人の前で口ずさむ、といった凝った演出はそれぞれのキャラクターの持ち味を巧みに引き出し、エンターテイナーとして、どこまでも手を抜かない心意気を感じさせてくれます。

今回はゲストの佐藤タイジ自らTHEATRE BROOKの不朽の名曲、『ありったけの愛』の一節を歌い上げるというサプライズも! 12月27日には恵比寿LIQUIDROOMにてTHEATRE BROOK復活ライブがあるそうで、そちらも今から待ち遠しい限り。

そして再び、アンコールの拍手が鳴りやまず、ダブルフェイマスの坂口修一郎と岡田真由美とともにステージに現れたマイアBAND withタイジの面々は、趣も新たに『アメリカーノ』を演奏。リズミカルに踊り歌うマイア・バルーには、まさにongakuの女神が舞い降りたかのようでした。

次回、2010年2月25日(木)に開催が決定したUNIT&マイア・バルーpresents“地球をとってよ!”Vol. 3の気になるゲストは、なんとShing02(歪曲バンド)!! 昨年、制作に6年かけたCDアルバム『歪曲』をリリースし、『歪曲巡礼(ツアー)』も行った唯一無二のヒップホップのMC、 Shing02とマイア・バルーBANDという、非常に贅沢なこの組み合わせ。研ぎ澄まされたコトバと多様な音楽的要素を持ち合わせたこの2組のあいだにいったいどんな化学反応が起こるのか、想像しただけで鳥肌がたちそうです。

次から次へと変貌を遂げるマイア・バルーのステージから、今後もますます目が離せません!

 

 

『地球をとってよ!』

ニューアルバム『地球をとってよ!』
2010年1月から全国発売。6曲入り¥2,000/ DQC-408

1. ongaku
2. 小さな奇跡
3. Asia
4. ぽろろん
5. ル・ロマン
6. イノセンス

発売元:ラミュゼ / バウンディ

問い合わせ:Tel. 0422-40-0477(スタマック)