アルゼンチンから静かなる音楽の風
アグスティン・P・ルセーナ来日。

(2010.03.05)

ブラジル音楽への憧れと情景、そしてアルゼンチンの美しい自然の光と風を素晴らしきメランコリーな音の世界で描くギタリスト、アグスティン・ペレイラ・ルセーナ。

アグスティン・ペレイラ・ルセーナの素晴らしい音楽にどれだけ感動をもらっただろうか。

ブラジル音楽を中心にあらゆる音楽を貪欲に吸収していた2000年代に入った時期に出会ったアグスティン・ペレイラ・ルセーナの横顔ポートレイトが印象的なファースト・アルバム。リズミカルなボサノヴァを奏でるガット・ギターの音色にキュートな女性スキャット、マルコス・ヴァーリやゲイリー・マクファーランド、ピエロ・ピッチオーニのようなソフィスティケイトで洗練されたサウンドを好んで聴いていた私はすぐに彼の音楽の魅力に心奪われたのです。

そして彼がブラジルではなくアルゼンチンのアーティストであること、まだ知らぬ国にこんな素敵な音楽があるのかと興味を抱いた時には彼のオリジナル・アルバムは廃盤レコード・ショップの手の届かぬ壁に飾られていました。しかし、その後、日本が誇る音楽の良心“セレスト・レーベル”が彼のオリジナル・アルバムと関連作品も含め一挙7作品を再発するという歴史的快挙を成し遂げ、ビクターからはTonodisk原盤の『CLIMAS』も再発されアグスティンの音楽が日本の多くのリスナーに届くようになりました。

アグスティン・ペレイラ・ルセーナの諸作品を聴くにつれて彼のストイックなまでの音楽への情熱とアントニオ・カルロス・ジョビンやバーデン・パウエルなどの偉大なるブラジル音楽のアーティストへの敬意を感じることができました。

彼の諸作品を聴く中で私が一番に感動を覚えたのは実は彼の後期作品と言われる1988年作『PUERTOS DE ALTERNATIVA』、1998年作『MIRADAS』、2000年作『ACUERDOS』、この3作品を聴いたことです。この3作品には彼が多大な影響を受けたバーデン・パウエルを系譜とするブラジル音楽、ボサノヴァ~サンバの流れを汲みつつも、どこか今までの作品には聴けなかった内省的でスピリチュアルな印象、それはミナス・ミュージックを聴いて光と風を感じるような世界観、そして、よりオリジナリティを増した楽曲やアレンジに、私はこれが彼の音の小宇宙なんだと静かに興奮をしたのです。

当時、ボサノヴァを通過した自分の耳が気付かずに求めていた言葉で表現するには難しい音楽のテイストがアグスティン・ペレイラ・ルセーナのこの3作品に宿っていたのです。私は今も自分の好きな音楽を考えるとき彼の後期3作品をまず思い浮かべます。そしてアグスティン・ペレイラ・ルセーナが1970年のファースト・アルバムから2000年作にかけて一貫してクオリティの高い作品を作り続けたこともまた素晴らしい。

昨年には9年ぶりの新作『42:53』がMDRレーベル(国内盤はP-Vine)より発売。変わらぬ隣国ブラジルへの美しき想いにより奏でられる歌とサウンドに彼が“本当のアーティスト”であることを確信しました。

そしてアグスティン・ペレイラ・ルセーナが遂に来日をします。

 

【Live Schedule】

3月20日(土) 鎌倉/Café Vivement Dimanche(カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ)
Tel:0467-23-9952
19:00開場、19:30開演、4,000円(1ドリンク付)
※スペシャルゲスト:松田美緒(ヴォーカル)♪

3月21日(日) 名古屋/Cafe Dufi (カフェ・ドゥフィ)Tel:052-263-6511
18:00開場、19:00開演、3,000円(前売)、3,500円(当日)(1ドリンク付)
※スペシャルゲスト:松田美緒(ヴォーカル)♪

3月22日(月・祝) 岡山/城下公会堂
Tel:086-234-5260
18:00開場、18:30開演、4,000円(前売)、4,500円(当日)(ともに別途1ドリンク500円)
※フロントアクトに中島ノブユキ♪(岡山公演のみ)

3月24日(水) 大阪/CHOVE CHUVA(ショヴィ・シュヴァ)
Tel:06-6225-3003
19:00開場、19:30開演、3,500円(前売)、3,800円(当日)
※スペシャルゲスト:松田美緒(ヴォーカル)、久家菜々子(フルート)♪

3月26日(金) 名古屋/Cafe Dufi(カフェ・ドゥフィ)Tel:052-263-6511
【ボサノヴァギター・ワークショップ&ミニ・コンサート】
19:00開場、19:30スタート、2,500円(予約のみ)

3月27日(土) 東京/Plaça 11(プラッサ・オンゼ)
Tel:03-3405-8015
18:30開場、19:30/21:00開演(入れ替えなし)、4,000円(1ドリンク付)
※スペシャルゲスト:松田美緒(ヴォーカル)、久家菜々子(フルート)♪

そして私、山本勇樹と音楽文筆家の吉本宏氏が行っております選曲会「bar buenos aires」にも急遽アグスティン・ペレイラ・ルセーナのゲストライブが決定いたしました。

3月19日 (金) 東京 
会場: bar cacoi (バー・カコイ)Tel:03-5456-2522
18:30開場、ゲストライブ:19:30~20:15(要予約)
ライブ・チャージ:2,000円(要別途1ドリンク・オーダー)
ライブ後は選曲会も行う予定です。アグスティン・ペレイラ・ルセーナと宇宙と時空を介して共鳴する音楽を選曲いたします。是非、お楽しみ下さい。

*予約は各会場に直接お問合わせ下さい。

 

【Biography】

ブエノスアイレス生まれ。1970年アルバムデビュー、アルゼンチン・ウルグアイのみならず、ノルウェー、スペイン、ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデン、オーストリア、カナダでも公演、特にノルウェーでは長期滞在し、北欧でも本格的なボサノヴァを初めて紹介したアーティストと評価される。ジャズ畑のアーティストを中心に幅広いジャンルの大物アーティストとの共演を重ね、ベト・カレッティを初めとする若手ギタリストの育成にも貢献している。代表作『エセ・ディア・バ・ア・シェガール』(2004 Celeste)、最新盤『42:53』(2009 P-Vine)など11枚のアルバムのうち現在8枚が日本盤として発売中。