Another Quiet Corner Vol. 07 優しいギターとイノセントな歌声
UKの新星 Lianne La Havas

(2012.02.01)

英国の新人シンガー・ソングライター。

Lianne La Havas ――リアンヌ・ラ・ハヴァスと読むのでしょうか。この名前を初めて目にする方もいるかもしれません。フリーペーパー「Quiet Corner」執筆陣でもある吉本宏さんから「コレ、いいよ」と教えてもらって僕自身も最近知った、新人の女性シンガー・ソングライターです。

ということで、早速、彼女のFacebookを開いて、どんな人物か調べてみました。イギリス・ロンドン出身で1989年8月23日生まれ。好きなアーティストに、エリカ・バドゥ、ローラ・マーリング、リトル・ドラゴン、エラ・フィッツジェラルド、プリンス、サイモン&ガーファンクルなどを挙げています。若いですが、幅広い音楽を聴いているようです。彼女は、昨年の11月に5曲入りEPを発表して、今のところ作品はこの一枚のみです。しかし、彼女の名刺代わりには十分魅力的な一枚でした。早速、虜になってしまったというわけです(キュートなルックスも含めて)。

デビュー作『Lost & Found』

淡々とつま弾かれるアコースティック・ギター、浮遊感ただようイノセントな歌声、リヴァーブを効かせた独特の音響……。カナダのSSWファイストのデビュー時を思い起こさせる世界感を感じました。女性らしい柔らかな温もりを感じつつも、どこか寂しげで影のある雰囲気……。しかも声質までとても似ているんです。しかし、「ファイスト・フォロワー」などという常套句は避けた方がよさそうです。リアンヌ・ラ・ハヴァスには、いわゆるフォーキーな女性SSWたちとは一線を画す、光る“何か”を感じます。このEPではギター、ピアノ、ベース、ドラムというバンド・サウンドを聴かせてくれますが、たぶん彼女はアコースティック・ギター1本、しかもノンマイクで歌っても絵になり聴く者を魅了するに違いない、そう感じさせる“何か”をもっているのです。

収録曲は、イザベル・キャンベルとのコラボ作でも有名なニューヨークのSSWウィリー・メイソンとのデュエット「No Room For Doubt」(そういえば、リアンヌとイザベルも同じイノセントな空気感を感じます)をはじめ、どこか懐かしさを覚えるようなピアノの音色がメランコリックな「Lost & Found」、コリーヌ・ベイリー・レイのようなメロウ感が心地よい「Age」(個人的にはベスト・トラック)など、全5曲ながら彼女の多彩さを十分に感じることができる、フルアルバムのような満足感があります。近いうちにフルアルバムが発売になるのでは……。今からとても楽しみです。

そういえば、リアンはBBCの音楽賞「Sound of 2012」にノミネートもされていたのですが、その中で大賞を取ったのがマイケル・キワヌカという黒人のSSW。まるでテリー・キャリアーの遺伝子を受け継いだようなフォーキーでソウルな歌とサウンドを聴かせてくれます。今春にはファースト・アルバム『Home Again』が発売されるので、今後「Quiet Corner」で紹介したいと思っています。