スウェーデンからの清冽な風。
PEACEBIRDのファーストアルバム。

(2011.10.24)

PEACEBIRD(ピースバード)は、スウェーデン生まれのシンガーソングライター、
ヨハン・クリスター・シュッツの新プロジェクト。

今までに、ヨハン・クリスター・シュッツ名義で3枚のアルバムをリリース。北欧発のボサノヴァ・ミュージックが新鮮で、日本の大型CDショップでは異例のセールスを記録。土岐麻子さんのアルバム「TOUCH」(2009)に「Let the sunlight in」を提供するなど、作曲家としても注目を浴びました。

その後、ヨハンは日本人女性との結婚を機に日本移住。2011年からはPEACEBIRD名義での活動をスタート。3月にはシングル「PEACE!」がJ-WAVEのミュージックチャートTOKYO HOT 100で最高位28位を記録。

10月5日にはファースト・アルバム『PEACEBIRD』をリリース。収録曲「SLOW DOWN」が10月度のFM802の ヘビーローテーションなどに決定し、PEACEBIRDの音楽がFMラジオから流れてくる機会も多くなりました。

新作では、ティーンエイジャーの頃から影響を受け続けているCat Stevens、John Martyn、Van Morrison、 Stevie Wonderら、70年代のソウルミュージックにインスパイアされた音楽をベースに、よりピュアでナチュラルな表現を追求。ヨハンのソングライターとしての才能の素晴らしさを証明する名曲揃いのアルバムが完成しました。

PEACEBIRDの音楽は、以前のボサノヴァ的な音楽から、より疾走感に溢れ、グルーヴィーなバンドサウンドに進化し、キラキラとした輝きを放っています。(ネオアコやギターポップという要素も見え隠れ)サウンドのアプローチは変化しても、独特のビタースウィートな声の魅力は今作でも健在!

多忙に過ぎ、自己中心的になりがちな現代において、もっとスローダウンを、自然の些細な事柄や他人の想いに気付ける心を持って欲しい、というヨハンの想いが込められています。

初めてPEACEBIRDの音楽を聴いた時、都会の喧騒の中に、一連の清冽な風が吹き抜けたような印象を感じました。穏やかな中にも芯のある彼のまっすぐでポジティブなメッセージは心を撃つものがあります。そんなPEACEBIRDの魅力を感じてもらえたらと思っています。

リリースにあたって、ライブのサポートメンバーであるMinuanoの尾方伯郎さん、そしてヨハン・クリスター・シュッツ本人からメッセージが届きました。


ヨハンとの出会い~レーベルメイトへ

今やすっかりポピュラーになったSNSですが、今から遡ること数年前、Facebook以前に世界を席巻していた音楽系SNSがありました。試聴機を備えたMyspaceという名のこのサイト、自分達の音楽を沢山の人々に届けられる場として、東西問わず多くのミュージシャンに利用されています。確か2006年頃、ヨハン・クリスター・シュッツ(以下、ヨハン)との最初の出会いも、このMySpaceを通じてでした。

スウェーデンのミュージシャンだと名乗る彼のメッセージは、にこやかなプロフ写真(それはヨハンのソロ名義2ndアルバム『ブリサ・ノヴァ』のジャケット写真だと後に知りました)と共に届きました。趣味の近いミュージシャン同士でコンタクトを取り合う文化のあったMySpaceでは、海外ミュージシャンからメールが来ることは珍しくなかったのですが、あまりにも屈託のないその笑顔とポジティブな姿勢は群を抜いて印象的でした。

メッセージの内容は「日本でライブが出来るカフェを教えてほしい」といった類いの物だったと記憶していますが、ライブよりも制作活動に重点を置いていた私はこれといった場所も思い当たらず、この時は全く役に立たない返事を書いたかと思います。しかし、ネットワークを介して活発に動いていた彼の姿勢は、『ブリサ・ノヴァ』の笑顔と共に私の脳裏にジュッと音を立てて焼き付けられたのです。

そして時は流れ、彼が幾度かの来日ツアーを敢行したらしいという話も伝わって来て、ああ、あれからずっと頑張っているんだなと、ちょっとした感慨に耽っていたのも束の間。ある日、モーテルブルーのS氏から「ヨハンというアーティストの作品をうちから出すつもりです」聞かされた時はちょっと吃驚しました。私事ですが、私のバンドMinuanoは、モーテルブルーから2枚のアルバムを発表済み。あの時の彼が、数年の歳月を経てレーベルメイトになるなんて!

音楽に映し出されたスピリッツ

ヨハンのライブを見たり実際に話をされた方はお分かりでしょうが、彼の立ち振る舞いや態度物腰は和やかで朗らか、押し付けがましさも妙な腹芸もありません。私はPEACEBIRDのバンドライブでパーカッションを担当しましたが、彼のリハーサルは、サポートミュージシャンへの具体的指示が少なくてやや拍子抜けするほど。しかし、ああしてこうしてと自分の世界感に固執することのない柔軟なリーダーシップがバンド内に自由で安寧な空気を生み出し、メンバーの奏でる各パートは有機的に結びついて堅固なサウンドに形を変えていきます。彼には、こうして周囲の人達を巻き込んでいく天賦の才能があるのです。

今回、新たに始動したヨハンのプロジェクトPEACEBIRDは、自身のルーツに立ち返ったというソウル・ポップ路線。入念に構築されたバンドサウンドの上で踊る軽快なボーカルに込められた彼のメッセージには、何の衒いもありません。例えばプロジェクト名にも含まれる「PEACE」という言葉には、一切の反論を許さない絶対的な正義が伴います。それだけに、曲中に盛り込む際にはよほど明確な志と心意気がなければ聴き手のハートに届かないと私は思っていますが、ヨハンは何の気負いもなく、全くの自然体でそれを体現します。柔和だけれども力強く、切れ味鋭いけれども暖かく。その根底に見えて来るのは、人間を見つめる優しい眼差しと生へのひた向きさです。

音楽に人柄が表れるというのは最早ひとつの常套句でもあり、一面の真理を突いているのは間違いありませんが、実情はそこまで単純でもありません。人当たりが良くていい音楽が作れるなら、私なんぞとっくの昔にグラミーウィナーです。しかし、ことヨハンに関して言えば、その心根が音楽に映し出されているのは明白でしょう。PEACEBIRDの音楽をひとたび耳にすれば、ただ明るく穏やかなだけではない個性が音楽の中に浮かび上がって来るのを誰もが体感するはず。柔らかさ、しなやかさと表裏一体となって存在する確固たる意志は彼の内に秘められ、音楽や人生そのものへの情熱の炎となって青く静かに燃えているに違いないのです。(文/尾方伯郎)

尾方 伯郎(おがた・たけろう)
榊原香保里(Lamp)をボーカルに迎えたプロジェクト、Minuanoを主宰するパーカッショニスト/作曲家。PEACEBIRDやLampをリリースするモーテルブルーから、『Love Logic』と『ある春の恋人』の二作品を発表。一般にMPBと呼ばれるブラジリアンポップスや70年代に一世を風靡したクロスオーバー、そしてシティポップスやソフトロック等を咀嚼して消化して独自視点のアウトプットを行いつつ、2011年秋現在、来年度中のリリースを目指して3rdアルバムを準備中。

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ひとりひとりがピースになれるピースバード。
By Johan Christer Schutz

My songwriting has been passing through many phases. For me, ”PEACEBIRD” is both something new and, at the same time, a return to my musical roots. When I was a teenager I discovered singer/songwriters like Cat Stevens, John Martyn, Van Morrison and Joni Mitchell. I had played guitar for many years, but it was first when I discovered that kind of melody-and-lyric-based music that my passion for music really awoke and I started writing songs. I always loved artists whose music seemed to pour straight out of their heart.

Since that time, I have made acoustic, pop, blues, bossanova, world music, jazz songs, and with Peacebird I think that everything is coming together, finally. I started writing the songs for the album just before I moved from Stockholm, in an apartment with only a bed and a piano. I said goodbye to friends, ending a chapter in my life, and entering a new, unknown chapter. I think it’s healthy to sometimes move and start over somewhere else. It makes us re-define ourselves and understand what’s important in life.
 

Now when I’m writing songs, I let it come naturally, I really try not to think ”This is not suitable for me” or ”I can’t write a melody like this”. If the melody comes to me, I believe there is a reason, and I welcome it. All the songs on ”PEACEBIRD” came to me in that way. I didn’t try to write songs in a special style or with a special sound, I just wrote down what came to me.

It was the same thing with the name Peacebird, I didn’t think about it before. But one day when I was walking in the sunshine the name just came to me. And, I am a pacifist since childhood, I had a band called Peaceflowers when I was 18-19 years old, I didn’t do military service, etc. I felt that ”Peacebird” was perfect to mark the change of my musical direction.

It sounds simple, but it took me all my life to reach this point. Before, I was thinking too much, but as soon as you start thinking about what you do or why you do it, you loose your unique perspective, your personal touch. As long as we just are aware of what we do, I think it’s fine.

I definitely want people to relax and slow down their speed of life. But if we relax too much we fall asleep and then we’re not aware of the world around us, which would be a shame, because this world is really such a wonderful place! Even if it sometimes is also very scary, there’s no reason to stop trying to improve it. Most problems in the world are caused by the human ego, and I think that’s why we many times waste our life on unimportant things. Peace is not only the opposite of ”war”, peace is a state of mind. If more people had peace in their minds, I think the world would be very different. Maybe we all need to slow down first, before real peace can settle.

ぼくの楽曲作りはいくつもの段階を経て完成する。『ピースバード』は新しい試みであると同時に、ぼくの音楽の原点を振り返るアルバム。ティーンエイジャーのころ、キャット・スティーブンス、ジョン・マルティン、ヴァン・モリソンやジョニ・ミッチェルなどの音楽と出合いました。以前からギターを弾いていましたが、彼らの音楽と出合って初めて、自分の音楽への“パッション”に改めて気づき、歌を作り始めたのです。以来ずっと、ストレートに心に響く彼らの音楽を愛してきました。

その後、アコースティック、ポップス、ブルース、ボサノヴァ、ワールドミュージック、ジャズなどさまざまな音楽を作ってきたのだけれど、『ピースバード』にはそれらすべてが詰まっています。このアルバムは、数年間過ごしたストックホルムを離れる直前、ピアノとベッドだけの小さなアパートで作りました。友人たちにさよならを言い、人生のある一章に終止符を打ち、まだ見ぬ新しいステージに入る……。居場所を移して新しいことを始めるのは、とてもいいことだと思う。それによって自分自身を再発見したり、本当に重要なことが見えてきたりするから。

曲を書くとき、ぼくは自然な流れにまかせます。「これはぼくらしくない」とか「こんなメロディは書けない」と考えない。ふと頭に浮かんだメロディにはきっと何か意味があるんだろう、だから歓迎しよう、と。『ピースバード』の楽曲は、このように自然に生まれたものばかり。

『ピースバード』の名前も同じく、ある晴れた日に散歩をしていてひらめいたもの。ぼくは子どものころから「平和(ピース)主義者」で、ピースフラワーズというバンドをしていたこともあった……。音楽の方向性を少し変えるいま、『ピースバード』という名前は完璧だなと思いました。

自然にまかせることは、簡単だと思うでしょう。でもここにたどり着くのにぼくのすべてをかけてきたんだ。それまでは少し考えすぎていたと思う。何を、なぜそうしているかを考え過ぎると、個性や感性は失われてしまう。やってていることさえわかっていれば、それでいいんじゃないかな。

ぼくの音楽を聴く人にはリラックスして「スローダウン」してほしい。あんまりリラックスすると居眠りしちゃうけど……。ときどきみんなが世界のことにあまりに無関心で、とても残念だと思う。世界は本当にすてきなところ。ときには恐ろしいこともあるけれど、より良い世界を作ろうとすることはやめないでほしい。世界中の問題の原因は、ほとんどが人間のエゴ。エゴのために人生を無にするなんてもったいない。“ピース”は戦争の反対語じゃない。心の状態。よりたくさんの人がピースになれば、世界はもっと違ったものになる。だからぼくたちみんながスローダウンすることこそ、本当のピース(平和)へ第一歩かもしれない。

 

PEACEBIRD (ヨハン・クリスター・シュッツ)

1976年スウェーデン生まれのシンガーソングライター/作曲家/マルチプレイヤー 。音楽活動の為にロンドン、及びストックホルムに住む。現在は日本在住。これまでに、ヨハン・クリスター・シュッツ名義で3枚のアルバムをリリース。2007年初来日。2009年には土岐麻子さんのアルバム『TOUCH』に 「Let the sunlight in」を楽曲提供するなど、作曲家としても活動。2010年、日本に移住。2011年、PEACEBIRD(ピースバード)名義で新たに活動をスタート。2011年10月5日にファースト・アルバム「PEACEBIRD」をリリース。
PEACEBIRD Official Web

 

PEACEBIRD「PEACEBIRD」

2011.10.05 発売
2,500円(税込)
レーベル:MOTEL BLEU/ポリスター

【Track list】
1. Slow Down
2. Baby Just Relax
3. Anything For You
4. Pickin’ Up The Pieces
5. Let The Sunlight In
6. A Little Bit More Real
7. Don’t Bring It Up
8. I Love You
9. After The Rain


【Live Information】

10月30日(日)Open/Start  16:00
場所:福島 いわき Bar AYANAI
チケット代:2,500 円

11月5日(日) 16:00 Start
PEACEBIRD”発売記念インストア・ライブ 入場フリー
場所:タワーレコード新宿9F

11月6日(日)1部 Open 15:30/Start 16:00 2部 Open 18:30/Start 19:00
場所:名古屋 Myschica(ミュシカ)
チケット代:3,000円 (Drink & Swedish Food付)

11月12日(土) Open/Start 18:30~ midnight
場所:渋谷 SARAVAH東京
出演:PEACEBIRD、次松大助、ヒロチカーノ(La Bossa)、弓来英梨乃、和知里
チケット代:2,500円(23:00~2000円)

11月13日(日) Open 18:30/Start 19:00
場所:東京 等々力 巣巣(SUSU)
チケット代:2,500円(Tea & Swedish Cake付き)

11月25日(金) Open 18:00/Start 19:00
場所:神戸 Rough Rare
出演:赤い靴、mamerico with PEACEBIRD
チケット代:2,800円(前売) 3,000円(当日)※1Drink別

12月11日(日)Open 18:00/Start 18:30
場所:仙台 SENDAI KOFFEE
スペシャルゲスト: 次松大助 (ピアノ/ボーカル)
チケット代:2,000円 ※1Drink別