Umitaro ABE and nakaban presents 博物館コンサート「洋梨の考古学」幻燈と音楽で、洋梨のような空を手にしてみませんか。

(2014.11.15)
  
Photo:Takehiro Goto  
阿部海太郎さんとnakabanさんが温め育ててきた「洋梨の考古学」の発掘作業は時空を超える。

東京では2年ぶりとなる阿部海太郎さんのコンサートが開催されます。2年前、東京・上野の博物館内のホールで開催された、画家・nakabanさんの幻燈とともに楽しむアンサンブル編成のコンサートは、聴く人すべてをどこか遠いところへいざなうような素晴らしい音と映像の世界を生み出しました。それから2年、ふたりがじっくりと温め育ててきた「洋梨の考古学」の発掘作業がようやく結実します。今回は、シンガー・ピアニスト・作曲家のJanis Crunchを迎えての小オーケストラによるコンサート。秋の終わりに時空を超えた音の世界に浸ってみませんか?

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僕は博物館が好きです。昔の誰かが大事にしてきたものがたくさん並んでいる。
時々、ごく限られた人にとってしか大事でないものも置いてあります。それもまた、見ていて愉しい。
そんななか、どの博物館にも決して置いてないものがある、と考えたことがあります。
つまり誰かにとって大事な出来事のことです。例えば、メソポタミア文明の遺品はあるけれど、
彼らが見た「太陽」のゆらめき。「ハイリゲンシュタットの遺書」は残っているけど、そのときベートーヴェンが聞こえない耳で聞いていたペンの音。
これらは、時間のなかでしか存在しません。そいういった出来事は、決して陳列されることはなく、ただイメージでしか得ることができません。
国立科学博物館日本館講堂。普段は入ることのできない部屋です。
僕の音楽と、nakabanさんの幻燈(マジック・ランタン)が生み出す時間のイメージでその部屋を満たして、一日限りの博物館の扉を開けたいと思っています。

阿部海太郎

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「今日の空はまるで梨のようですね。」
「そう。洋梨のような空。あなたが手にしているような。」

海太郎さんが2年前の博物館コンサートで読み上げてくれた言葉の片隅。
そこには既に洋梨が転がっていたのでした。

目に見えない洋梨を手にして、そこから連想するのは誰もいない薄暗い部屋。
窓の外は曇り空なのか、明け方なのか、洋梨はその中で人知れず香りを放っています。
その色彩は鮮やかな緑から褐色へとうつろい、同じ瞬間は二度とありません。
ピアノの音一つ、鉛筆の線一本にも同じことを思います。

それらが博物館に収められたとしても、そこには既にそれは無い。
だからこその博物館コンサート。

nakaban

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博物館コンサート「洋梨の考古学」

  
  

日時:2014年11月23日(日) 一部13:30開場/14:00開演、二部17:00開場/17:30開演(2回公演)
会場:国立科学博物館 日本館2F講堂(東京都台東区上野公園7-20)
料金:一般/前売り・ご予約 4,000円、当日 4,500円
メール予約: theatremusica@gmail.com (件名を「博物館コンサート」として、本文に氏名(代表者)2.希望公演回(1or2)3.予約人数 4.電話番号を明記)

出演:Umitaro ABE and the Orchestra
ピアノetc.:阿部海太郎
ピアノ、ヴォーカル:Janis Crunch
ヴァイオリン:春日井久美子、小寺里枝、佐藤恵梨奈、春日井恵、ヴィオラ:飯野和英、チェロ:越川和音、夏秋裕一、コントラバス:木幡奈緒美、マンドリン:葛城梢、オーボエ:本多啓佑、クラリネット:尾上昌弘、ファゴット:宮地杏由美、パーカッション:BUN Imai
幻燈:nakaban