日本人栽培醸造家がNZでプロデュース アタマイビレッジの
パーマカルチャーエコビレッジワイン

(2014.06.05)

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雄大で手つかずの大自然が広がる国、ニュージーランド。クリーン&グリーンでも知られるニュージーランドには原子力発電所はひとつもなく、自然再生エネルギーで70%の電力をまかない、2025年には90%を目指しています。人口はわずか450万人と北海道の人口よりも少ない人たちが日本の約70%にあたる国土に暮らしています。

ニュージーランド南島の北部にネルソンという町があります。ここはサニーネルソンの愛称でも親しまれるように、オセアニア屈指の日照量を誇る穏やかな町です。ワイン産地としても有名で、ニュージーランドの最も得意とするソーヴィニヨンブラン、ピノノワールに加え、アロマ品種と呼ばれるリースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネールなどが注目されています。

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この町に「パーマカルチャー」の考えに基づいて運営されているエコビレッジがあります。『アタマイビレッジ』と名付けられたそのビレッジはネルソン空港から車で約1時間ほどの距離。アタマイとはマオリ語で「フェアネス」や「公平」を意味します。このビレッジの目的は自然と共存し資源の循環を行う永続的な暮らしをHAPPYに実現する事。例えば電気は各家庭にとりつけた太陽光パネルから供給し、電力会社からは電気を全く購入していません。生活用水は雨水を活用し、飲み水に関しても雨水を3度濾過する程度で飲めてしまうというから驚きです。

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ニュージーランド南島の北部 ネルソン。『アタマイビレッジ』ネルソン空港から車で約1時間。自然と共存し資源の循環を行う永続的な暮らしを実現することが目的。

 

ビレッジ内では住人はそれぞれの得意分野で果樹園、牧畜、野菜畑などの世話もします。野菜が欲しければ野菜畑で仕事の手伝いをする。将来的にはビレッジ内の通貨も検討する予定だそうです。日本でも「里山資本主義」という本がヒットしたり、各地でもエコビレッジと名のつく場所が増えているように思います。そもそも「パーマカルチャー」は日本古来の「里山」で実践されてきた生活様式を参考に生み出されたものだそうです。アタマイビレッジはニュージーランド流にカスタマイズされた古き良き日本の生活様式と言っても過言ではないのかもしれません。

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そもそも「パーマカルチャー」は日本古来の「里山」で実践されてきた生活様式を参考に生み出されたものだそう。
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アタマイビレッジの新規事業、葡萄畑の運営をプロデュースするのは日本人・小山浩平氏。
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ビレッジ住人も総出で行われた初めての収穫。ファーストヴィンテージではソーヴィニヨンブラン、ピノグリ、リースリングの3種類がリリース予定。

そんなアタマイビレッジの新規事業として葡萄畑の運営が始まりました。そしてこの事業をプロデュースするのはなんと日本人・小山浩平氏。「日本人栽培醸造家がNZでプロデュースするパーマカルチャーエコビレッジワイン」というコンセプトのもと今年初めての葡萄の収穫に漕ぎつけました。小山浩平氏は大学卒業後、東京、ロンドンでビジネスの世界を11年間経験した後、2011年にニュージーランドに渡ります。南半球で最も古い世界的な研究機関でもあるLincoln大学のブドウ栽培・ワイン醸造学科をなんと首席で卒業し、NZ、カリフォルニア等にて栽培・醸造を経験。縁あってこのアタマイビレッジに移り住み現在に至ります。オーガニックワインやビオワインなどの有機認証を持つワインは数あれど、パーマカルチャーエコビレッジ内の葡萄畑から生まれるワインはとても珍しいのではないでしょうか。

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パーマカルチャーエコビレッジ『アタマイビレッジ』の葡萄畑からのワインは今年の10月頃に日本でも発売予定。どんな味わいのワインになるのか楽しみ。

ビレッジ住人も総出で行われた初めての収穫。ファーストヴィンテージではソーヴィニヨンブラン、ピノグリ、リースリングの3種類がリリース予定となっています。収穫後は皆で集まりガーデンパーティの開始です。自然酵母で醗酵させた自家製パンや、ビレッジ内で放牧している豚などを素材とした料理の数々。大自然の中、歌や楽器演奏のステージもあり盛り上がります。自然と共存し永続的に幸せに暮らす事を目的としたビレッジだけに、住人の表情が本当に穏やかで柔らかかったことが忘れられません。

そんなパーマカルチャーエコビレッジの葡萄畑から、日本人の手で生み出されるワインは今年の10月頃に日本でも発売予定。どんな味わいのワインにどんな想いを込めて届けてくれるのか今から楽しみでなりません。

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