TOTOSK KITCHEN Vol. 8 セージオニオングラタンスープと
緑色のクリームソース

(2012.11.26)
写真/黒澤義教
みなさん、こんにちは。だいぶ寒くなってきましたね。
空気がとても乾燥していて、お肌のいたるところで乾燥注意報が出ています。
秋から冬にかけての季節の変わり目は、もっとも風邪をひきやすい時期ですね。
街はすでにクリスマスイルミネーションが華やかな11月。
こんな楽しい時期に風邪をひいてしまったらたいへん。
そこで今回は、殺菌作用の強いセージを使った
身体ぽかぽかオニオングラタンスープを作っちゃいます。
中から身体を温めて風邪なんか吹き飛ばしてしまいましょう!

♠セージ料理に合わせたい「ベンジャミン・フランシス・レフトウイッチの音楽」by 吉本 宏

ベルベットのような触り心地の銀色の葉を持つハーブ、セージ。

セージ(英名)別名薬用サルビアは、毎年花を咲かせるシソ科の多年草。あまり知られていませんが、セージはみなさんもご存知の植物のサルビアの仲間です。カラフルな花や葉をしている品種も多いので、観賞用に花壇や鉢植えにされるようです。葉は、灰緑色でベルベットのような繊毛でおおわれていて、表面に細かい縮れがあります。

セージの語源はラテン語のサルワーレsaivare(治癒する)や、Saivus(健康)という意味を持ちます。寒さに強くて殺菌作用があり、古代ギリシャ時代から薬用、香辛料として利用され、『セージを植えている家には病人は出ない』と言われたほど。

風邪や扁桃腺炎、気管支炎といった呼吸器系の感染症の初期に効果があるそうなので
温かいお茶にして飲むのもいいと思います。

17〜18世紀の中国ではセージが流行し、そこに目をつけたオランダ商人はセージを輸出して3倍の量の高級茶葉を輸入したとされています。中国の人は、やはりお茶にして飲んで風邪予防をしていたのでしょうか。

セージのお茶は銀色の葉の部分を使用します。フレッシュのときは洋服ダンスの防虫剤の香り(樟脳)に似ていて、口に含むとほのかな苦味をもちます。ツジョンという毒性物質も含むようなので、2週間飲んだら2週間飲まない方がよいとされています。あの禁断のお酒アブサンは、セージ精油成分を含むそうですよ。

セージ
オニオングラタンスープ

砂糖を入れてこげないように炒める

材料 4人分
セージ 3茎
バター 25g
オリーブオイル 大さじ1     
玉ねぎ(スライス) 大4個
砂糖 1つまみ
小麦粉 25g
ブイヨン 1.25ℓ
白ワイン 200ml
ウスターソース 大さじ1
ブランデー 大さじ1
タバスコ お好みで  
塩 適宜
こしょう 少々

バケット 適宜
お好きなチーズ 適宜

作り方
1.薄切りにした玉ねぎを、お皿にのせ電子レンジに10分かける。

2.大きな鍋にバター、オイル、を入れ(1)の玉ねぎを中火〜弱火であまり焦がさないように10分炒める。

3.砂糖を入れ15分炒め、さらに小麦粉を加え1分炒め、セージ、白ワイン、ブランデー、ブイヨン、ウスターソースを入れ、蓋をして30分煮る。

4.セージを取り出し、塩、こしょう、タバスコで味を整える。

5.耐熱容器に、スープを注ぎ1㎝ほどにカットしたバゲットを入れ、チーズをのせ250℃のオーブンでお好みの色になるまで焼いて完成。(トースターでも魚グリルでもよい)

ほうれん草とセージの緑のクリームソース

材料 4人分
セージ(みじん切り) 大さじ1
ほうれん草(ざく切り) 1束
ブイヨン 100ml
スキムミルク 大さじ2
バター 50g
ひよこ豆(缶詰) 100g
塩 少々
こしょう 少々
パルメザンチーズ お好み

作り方
1.鍋にバターを溶かし、セージを入れ香りを出しほうれん草を入れ炒める。No.020
2.スキムミルクを入れ軽く炒め、ひよこ豆、ブイヨンを入れ一煮立ち。 No.022
3.(2)をミキサーに入れ攪拌し、塩、こしょう、チーズで味を調え再度攪拌したら完成。

セージ&たまねぎパワーで元気に。

今回、クリームソースを茹でたじゃがいもにかけましたが、ホワイトソースの代わりにグラタンやラザニア、パスタにからませてもおいしいですよ。

風邪をひいたかなと思ったら、セージの殺菌作用と玉ねぎの発汗作用と解熱作用のダブルパワーのオニオングラタンスープを飲んでぐっすり眠りましょう。

フランスを代表する冬の家庭料理オニオングラタンスープは、ちょっと手が込んだように見えるのですが作り方は意外にもシンプル。クリスマスパーティのおもてなしにもぴったりですよ。今から練習しておきましょう!

最後に、今回は玉ねぎをたくさん使ったので、その皮もたくさん出ます。たまねぎの皮は煎じて飲むと高血圧に効くそうです。また高酸化作用もあるので、アンチエイジングにも効果があるそうですよ。実はよいお出汁がとれるので、私はカレーやシチュー、お味噌汁を作る際に皮も一緒に煮出してしまいます。捨てずに是非使ってみてください。でも、仕上げる前に皮は必ず取り出してくださいね!

セージのオニオングラタンスープ
ほうれん草とセージの緑のクリームソース

心を温めてくれるベンジャミン・フランシス・レフトウイッチの音楽

吐く息が白くなりはじめる季節。温かいスープのボウルを両手で持って顔に近づけると、優しい香りの湯気に包まれてなんだかホッとします。セージをつかったオニオングラタンスープはとっても香りがよいので特におすすめです。スープという食べ物には人の身体と心を温めてくれる不思議な力がありますね。

イギリスのヨーク出身のシンガー・ソングライター、ベンジャミン・フランシス・レフトウイッチの音楽は、そんな冬のスープのような温もりを感じさせてくれます。まだ23歳という若さながら、その歌はすでに彼独自の世界をつくりあげています、まず何よりもその優しさに満ちた歌声に惹かれます。アコースティック・ギターを柔らかく鳴らし、耳もとでささやくように歌う吐息まじりの声は、リスナーを大らかに包み込んでいきます。

好きなシンガー・ソングライターとして、若くして亡くなったイギリスのニック・ドレイクやアメリカのエリオット・スミスの名を挙げていますが、ベンジャミンの音楽には彼らの音楽と共通する繊細な感情を美しく表現する魅力があります。けれど、彼の音楽は決して内省的にはならず、歌の奥底に真冬の雲の合間から光が射すような“希望”を感じ取ることができます。

冬のある日、街角の交差点で立ち止まりマフラーを巻きなおしていると、ふとヘッドフォンからベンジャミンの歌が。彼の歌を聴きながら歩き出すと、なんだか心まで温かくなってきました。

文/吉本 宏

Last Smoke Before The Snowstorm / Benjamin Francis Leftwich