土屋孝元のお洒落奇譚。おいしいものはどこにある? お腹がすいた時の軽食について。

(2014.12.29)
『味助』の思い出のチャシューワンタン麺。昔ながらの醤油ラーメンで美味しかったなあ。© Takayoshi Tsuchiya
『味助』の思い出のチャシューワンタン麺。昔ながらの醤油ラーメンで美味しかったなあ。© Takayoshi Tsuchiya
お昼過ぎや小腹がすいた時
無性に食べたいもの。

年末らしくない年末、師走または、極月とか呼ばれ、お茶ではとくに朧月とも呼ばれるようです。

銀座界隈にいて、仕事でお昼も過ぎ無性に小腹がすいたときに食べたいもの。失くなったお店や今も変わらずにあるお店など……おいしいもののお話です。

「たけのこそば」のお店。この店は銀座、場外馬券売り場の近くにあり、黄色の看板がわかるようなわからないような、本当に間口も狭く中もカウンターだけなので初めての人は入りにくいと思います。銀座の某有名シェフがオススメするお店の一つです。たまには歌舞伎役者を見かけることもあります。「たけのこそば」、これはそばではなくラーメンです。このたけのこうま煮が美味しいのです、細切りのたけのこが甘辛く煮てあり、ラーメンスープに混ざると味がまた変わり美味しく、チャーシューとマッチして……。または、チャーシューワンタンメン、これは言わずもがな先ほどのたけのこそばにワンタンが入ったラーメンです。

チャーシューワンタンで思い出すあの味。

チャーシューワンタンで思い出すのは、今はもうなくなった『味助』です、見た目は、これは塩辛そうなと思う色なのですが、食べると病みつきになり月に一回くらい食べたくなる味でした。スープは見た目ほど辛くはなく 極太のちぢれ麺によく合いました。僕はよく出前で「味助弁当」に「ラーメンスープ」と発注していました。少し辛めのチャーシューにたくあん、キャベツ カツが入ったガッツリ系な弁当で食べ応えのあるものでした。今でも思い出す味の一つです。

『味助』の弁当。ご飯にしみたオレンジの濃いたくあんの味、チャシューの美味しさ、カツのボリューム、食べ応えのある弁当でした。© Takayoshi Tsuchiya
『味助』の弁当。ご飯にしみたオレンジの濃いたくあんの味、チャシューの美味しさ、カツのボリューム、食べ応えのある弁当でした。© Takayoshi Tsuchiya
 
この組み合わせが一番
「肉まん」と「セロリそば」

ここは赤坂にも銀座にもお店がありますが、僕はここ7丁目のお店のこの組み合わせが大好きです。「肉まん」と「セロリそば」、僕はこの組み合わせが一番だと思うのですが一概には言えませんね、味の好みは千差万別いろいろありますから。

ここの肉まんの美味しさはまず第一に皮が美味しい、何もつけずに食べても旨みがあり、辛子醤油など少しつけると甘みが増すのです、この肉まんとセロリそばさっぱりしたスープがよくあって、セロリの歯ごたえもまたよいアクセントです、ワインで言うところのマリアージュでしょうか。こちらはおまんじゅうセットがランチにできて肉まんと小サイズの麺が日替わりで出ているようです。僕のオススメはセロリそばですが……。

コロッケそばと呼ばれる蕎麦。コロッケというのですが大きながんもか鳥しんじょのような具が熱々の汁そばに乗っています。© Takayoshi Tsuchiya
コロッケそばと呼ばれる蕎麦。コロッケというのですが大きながんもか鳥しんじょのような具が熱々の汁そばに乗っています。© Takayoshi Tsuchiya

そしてコロッケそば。この蕎麦屋さんは昔から大好きで、入ってすぐの土間にはテーブル席があり、お店の通り側には畳の間があって、そこでも落ち着けます。2、3階にも広間の和室があり宴会にも対応してくれます。

ちなみに平日の夜8時前になると、着物のお姉さん方が同伴の待ち合わせをしています。このそば屋さんのコロッケそば、コロッケといってもあの揚げたコロッケではなく大きな鶏団子というかがんもどきというか、が入った汁蕎麦です。寒い日には身体が温まります。お出汁にそば湯をもらい薄めて飲むと一段と身体が温まります。

 
手作り感とお店の雰囲気が楽しみ
サンドイッチ。

サンドイッチならば、言うまでもなく、銀座4丁目から新橋へ向かい旧電通ビルの斜向かい。いつもモーツァルトやベートーベン、ショパンなどのクラシックがかかり、昔から変わらないウェイトレスが白シャツに黒いタイトスカートの喫茶店。ここのハムサンド、トーストした厚切りのパンに厚切りのハム、バターとマスタードの微妙な味加減、これがまた良いのです、昔ながらの落ち着ける空間でパンも白いパンかライブレットが選べました。ここの栞を読むのも楽しみの一つです。

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サンドイッチでもう一軒、今も変わらずにはあるパン屋さん。

ここは銀座というより築地ですね、銀座某有名パン屋さんと同じ名前。今はマスターを見かけないので代替わりしたのかもしれません。カウンターにてミルクコーヒーとお店自慢のサンドイッチ、このサンドイッチにはいろいろな種類があり手作りのメニューを見るだけでも楽しくなったものです、僕が好きだったのはトーストしたイギリスパン? にお店独自の卵ペースト 焼いたハムにパイナップルを乗せたハワイアン風のサンドイッチ、手づくりのコールスローも懐かしい味でした。今はちょっと昔とは違うスタイルです。

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懐かしいお店もどんどん変わり久しぶりに行くとなくなってしまったり、あれここにあったのにとか、なんだか前とは違うなあなんてことも多くなりました。思い出の中に記憶された味が一番なのかもしれません。