TOTOSK KITCHEN Vol. 22 ナツメグ 包丁一本でつくる
パテ・ド・カンパーニュ。

(2014.01.20)
写真/黒澤義教
みなさん、こんにちは。
年末年始はおいしいものをたくさん食べましたか?
母お手製のおせちやお雑煮を食べてきました。久しぶりの母の味はホッとしますね。
初詣に出かけた明治神宮で引いたおみくじには「艱難汝を玉にす」
試練を乗り越えることによって立派な人物になる、と。この言葉に身が引き締まりました。
2014年、気持ち新たに、おいしいレシピを考えていきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
今年最初の回は、ナツメグです!

♠ナツメグ料理に合うビアンカ・ジスモンチの音楽

 

肉料理に欠かせないナツメグ。

いきなりですが、「ナツメ」「ナツメヤシ」「ナツメグ」違いがわかりますか? 名前が似ていますが、全く異なるものなんですよ。

まずナツメ(棗)は、クロウメモドキという木で姫リンゴのような果実を乾燥させたものになります。女性が好きな薬膳鍋やサムゲタンには欠かせない食材です。

ナツメヤシは、デーツとも呼ばれる果実を乾燥させたもので、レーズンや干し柿を濃厚にしたような味の栄養価の高いドライフルーツです。

今回の主役ナツメグは、高さ20メートルにも達する常緑のニクズクという木の種子の外皮を剥がして作られる香辛料です。果実ではなく種なんです。削るとなんとも面白い表情をみせます。原産国はインドネシアのモルッカ諸島で、ペッパー、シナモン、クローブとともに世界四大スパイスと言われ、世界中で使用されているスパイスです。成長が遅い植物で果実が実るまでに7年以上かかるそうです。でも1本の木からは多いもので2000個以上の実が採れるようです。すごい!

またナツメグの種子のまわりを包むレース状の皮もスパイスです。こちらは「メース」と呼ばれます。ナツメグとメースが同じ種子だったなんて驚きです。同じ種子なので香りは似ていますがメースの方がマイルドな香りです。

ナツメグは、甘さとほろ苦さが混じった森林の香りがします。ナツメグはNut(豆)・Meg(ムスク)に由来しムスクのような甘い香りを持つ豆という意味があります。

この香りが肉の臭みをとる働きがあるため、ハンバーグや肉料理、ハム・ソーセージに入れるのが一般的な使い方です。ナツメグは、完成した料理に振りかけるのではなく、料理の下ごしらえに使います。火をいれると、苦味が甘みに変わり香ばしさが出てくるからです。

ほかのスパイスやハーブと同じく、ナツメグも昔から生薬、漢方として使われてきました。消化促進効果があるので胃腸薬にも配合されています。また、あの独特の香りは緊張と疲労を和らげてくれるそうです。体を温める効果もあるので、寒いこの季節にはホットミルクにちょっと加えてみるのも面白い使い方だと思います。

ナツメグ
パテ・ド・カンパーニュ

ナツメグを削る豚肩ロース、鶏・豚レバーを1cmにカットする左:ナツメグを削る
右:豚肩ロース、鶏・豚レバーを1cmにカットする

材料4人分
ナツメグ 小さじ1
ローリエ 3枚
玉ねぎ 中1/2個
マッシュルーム 4〜5個
茹でたグリンピース 40g
鶏レバー 30g(ブランデーに浸しておく)
豚レバー30g(ブランデーに浸しておく)
合挽き肉 100g
豚肩ロース50g
スライスベーコン 5〜6枚
卵 20g
ブランデー 小さじ1
オリーブオイル 適宜
塩4g
こしょう 適宜
★型は、8㎝×19㎝×高さ6㎝のパウンドケーキ型

作り方

1. フライパンにオリーブオイルを入れ、スライスした玉ねぎと塩ひとつまみ(分量外)を入れほんのり茶色になるまで炒め、粗熱をとる。マッシュルームは、しんなりするまで炒める。
2. 大きなボールに、合挽き肉、卵、塩、こしょう、ブランデーを入れ粘りが出るまで混ぜる。
3. 2に、1の玉ねぎ、1㎝角にカットした豚肩ロース、ブランデーに浸しておいた鶏・豚レバー、茹でたグリンピース、すりおろしたナツメグを入れて混ぜる。
4. 型にスライスベーコンを5〜6枚、少し重ねるように並べておく。(両端がはみ出るように。)
5. そこに3の半量を入れ、マッシュルームを逆さまに並べる。
6. 残りのペーストを入れ、はみ出したベーコンを内側に折り、ローリエをのせる。
7. アルミホイルを被せて、バット上にのせ、型の8分目までお湯を張り180度のオーブンで40分間焼く。
8. 焼き上がったら重しをして、氷でしっかり冷やして完成。

1. フライパンにオリーブオイルを入れ、スライスした玉ねぎと塩ひとつまみ(分量外)を入れほんのり茶色になるまで炒め、粗熱をとる。マッシュルームは、しんなりするまで炒める。2. 大きなボールに、合挽き肉、卵、塩、こしょう、ブランデーを入れ粘りが出るまで混ぜる。
3. 2に、1の玉ねぎ、1㎝角にカットした豚肩ロース、ブランデーに浸しておいた鶏・豚レバー、茹でたグリンピース、すりおろしたナツメグを入れて混ぜる。4. 型にスライスベーコンを5〜6枚、少し重ねるように並べておく。(両端がはみ出るように。)
5. そこに3の半量を入れ、マッシュルームを逆さまに並べる。6. 残りのペーストを入れ、はみ出したベーコンを内側に折り、ローリエをのせる。
7. アルミホイルを被せて、バット上にのせ、型の8分目までお湯を張り180度のオーブンで40分間焼く。8. 焼き上がったら重しをして、氷でしっかり冷やして完成。
ナツメグは、毎回削って使うタイプをおすすめ。

ナツメグはパウダータイプのものではなく、種子のままをおろし金でその都度削って使ってみてください。おろしたては香りが全然違います!

使う量はお好みですが、加減しないとおいしくなくなってしまうので要注意! 今回のパテに小さじ1のナツメを入れるところを小さじ2で試したら苦くなってしまいました。

ほうれん草やキャベツといった野菜の甘みを引き出す効果もあるので炒めるとき少しいれてもいいですね。またこの甘い香りを活かして、プリンやフルーツパイなどに入れるのもおすすめです。

またパテは、できたてよりも、1日置いた方が味が馴染んでおいしくなります。さらに2、3日置くととても濃厚な味わいになります。ただし4日目以降はいろいろな香りが飛んでしまったので、ぜひ少しだけ熟成してから召し上がってください。

パテ・ド・カンパーニュ

まばゆい光に包まれたビアンカ・ジスモンチの音楽

 
layoutdigiBianca_corte2.inddナツメグと聞くとなぜか魅惑的な香りを漂わせる不思議な女性のイメージを抱いてしまいます。その独特の香りは、ちょっぴり刺激的で夢想の世界へと誘われるような感覚をおぼえます。

ブラジルのピアニスト、ビアンカ・ジスモンチの音楽は、アルバム・ジャケットの光のように音がつぎつぎとこぼれてくるような瑞々しさを感じさせます。彼女のキラキラと跳ねるピアノはパテ・ド・カンパーニュを印象的に仕上げるナツメグのようです。

父である偉大なエグベルト・ジスモンチに捧げられた「Festa no Carmo」の躍動感のあるリズムの上で軽やかに踊る彼女のピアノに、おもわず身体が動き出してしまいます。音楽に囲まれた環境の中で育った彼女にはリズムや音感が自然に身についていて、彼女から発せられる音はほんとうに自由で楽しいのです。そして、彼女はピアノだけでなくその歌声もナチュラルで、旋律の中を気持ちよく泳いでいきます。ブラジルから生まれてくる音楽の豊かさにはいつも驚かされるばかりです。

寒い日々がつづく冬の日本から、彼女の音楽に耳を傾け遠い南半球のブラジルに想いを馳せていると、心の中はいつもより少しばかり温かくなってきます。   

文/吉本 宏

Bianca Gismonti / Sonhos de Nascimento

TOTOSK KITCHEN
手作りの味を大切にし、食べるとちょっと幸せになるお料理をつくっていきたいと思います。
デリ/カフェ&レストラン/ケータリング/製菓/キッチンスタジオ
場所:文京区水道2-8-3 1F(江戸川橋3番出口/大きな道路を渡って華水橋信号門)
連絡先:totoskkitchen [at] gmail.com ( [at] を@に替えてメールしてください)
Deli
OPEN : 水〜金曜9:00〜17:00 土曜11:00〜17:00
スープセット¥680、ランチ¥850、コーヒー¥400
On the table
■Afternoon Tea set (3日前予約)
アフタヌーンティーセット(2〜10名様)1名¥2,000(ドリンクおかわりOK)
■Dinner & Party 貸切り(1週間前予約)
着席(6〜10名様)1名 ¥4,000〜
立食(15〜20名様)1名¥2,500〜(フィンガーフード)
*ドリンク持ち込み可(グラス使用料1名300円) *自家製サングリア(要予約) *自然ワインを中心にご用意いたします。

Take away
■ Anniversary cake 記念日のケーキ(3日前予約)
15㎝(4〜6人分)¥2,000〜 / ボストンケーキ 15cm¥1,800〜
☆ウェディングケーキほか、お気軽にご相談下さい。
■結婚式の引き菓子、発表会など特別な日のプレゼント菓子(2週間前予約)