斉藤弓子のおいしいパリ案内 緑の巨人と
アラン・パッサール

(2012.07.03)

フランスで収穫されるトウモロコシ『Géant Vert』

トウモロコシの季節といえば夏。先日、アラン・パッサール氏によるコーンの缶詰を使った料理が披露されました。その缶詰とは日本語では「緑の巨人」を意味する『Géant Vert(ジェアン・ヴェール)』。フランスのスーパーで見かけるコーンの缶詰で、日本では「グリーン・ジャイアント」という名前で販売されています。トウモロコシの他にも、グリーンピースやアスパラガスなどの缶詰、冷凍野菜を扱うアメリカ生まれです。多くのフランス人にとってコーンの缶詰のイメージは「アメリカ」。しかし、ジェアン・ヴェールでは30年ほど前からトウモロコシの産地である、フランス南西部のランド地方産のものを使用しているそうです。レシピもそれほど豊富ではなく、使うといえばサラダ。そこで、野菜料理で評判の高い三ツ星レストランのシェフ「Alanin Passard(アラン・パッサール)」氏が、シンプルなレシピを考案してくれました。

フードデザイナーのMarc Bretillot(マーク・ブルティヨ)氏による子どものためのアトリエも開催されました。


左・談笑中のアラン・パッサール氏。会場は「緑の巨人の峡谷」をイメージ。
右・フランス南西部、ランド地方産のトウモロコシを使用。ビオなど3種類。

野菜でつくるリゾット「Maïstto」

まず前菜はトウモロコシのヴルーテ。ヴルーテとは「ビロードのようになめらかな」という意味で、スープよりも濃度があり、とろりとした舌触りの料理です。上にはふわりと軽い、ニシンの薫製で風味をつけたクリーム。甘いトウモロコシと独特の風味をもつニシンという、意外なように見えてよく合う組み合わせです。アラン・パッサール氏が好んでつくる料理のひとつが、野菜のみでつくるリゾットですが、今回登場したのはその名も「Maïstto(マイゾット)」。トウモロコシのフランス語Maïs(マイス)とリゾットをかけたもので、セロリ・ラヴ(根セロリ)を使った「セロリゾット」はレストランでも提供されています。マイゾットには、オゼイユという酸味のある野菜を敷き、パセリ風味のソースで仕上げます。材料は、野菜に有塩バター、牛乳、マスカルポーネ、パルミジャーノ・レジャーノという実にシンプル。

パルミジャーノ・レジャーノとマスカルポーネで仕上げたグラタン、そして鶏肉料理。どれもトウモロコシの自然な甘み、食感が生かされていて、大人から子どもまで楽しめそうなものばかり。野菜のもつ色を大切にするパッサール氏らしく、トウモロコシの鮮やかな黄色が映える、目でも味わうことができる、家庭で簡単に再現できるレシピでした。

ヴルーテの「Velouté maïs doux-colza, crème au hareng fumé」
リゾットは「Maïstto crémeux,oseille large de Belle Ville」
トウモロコシのリゾット
『Maïstto crémeux,oseille large de Belle Ville』

材料 4人分(準備時間:10分 調理時間:15分)

Géant Vertの缶詰(doux Ultra Croquant)200g
有塩バター 40g(マイゾット用)
有塩バター 30g(オゼイユ用)
牛乳 15ml
マスカルポーネ 80g
パルミジャーノ・レジャーノ(削ったもの) 10g
オゼイユ 100g
パセリ 1束

作り方
《マイゾット》
1 小鍋に牛乳、トウモロコシ、バターを入れてあたためる。
2 沸騰させて、マスカルポーネとパルミジャーノ・レジャーノを加え、全体をとろりとさせる(絹のような感じ)。
3 別の小鍋を用意し弱火で、バターと一緒にオゼイユに火を通す。
《パセリのソース》
4 沸騰前のお湯でパセリを30秒ほど茹で、水を切る。
5 水とバターを加え、全ての材料を乳化させ、ミキサーにかける。
《仕上げ》
6 くぼみのあるお皿を用意し、オゼイユの上にマイゾットを盛りつけ、パセリのソースをかける。
7 パセリを少々かける。
* オゼイユがなければ、他のもので代用してもおいしそう。ぜひ家庭の夏のメニューに加えてみてください。

トウモロコシをソースにした鶏肉料理「Volaille,hoummos de maïs doux,asprege croquante」
同じ黄色の食材を合わせた「Tarte meringuee au citoron et maïs doux」

L’Arpège:http://www.alain-passard.com/
Géant Vert:http://www.geantvert.fr/