山本貴代の“女の欲望グツグツ” オペラの「オ」はオシャレの「オ」。

(2009.10.14)

秋になって渡邉女史から再びご連絡をいただき、オペラを見に行ってきました。
今回は、ティファニーにお勤めのS女史とともに、『オテロ』です。原作は、かのシェイクスピア。

新国立劇場オペラ『オテロ』(2009年9月)より。
撮影/三枝近志(写真すべて)

ちょっとオシャレして、オペラに行くのは楽しいものです。年々、なのか景気のせいなのか、華やかな格好をして出かけることが少なくなった今、オシャレを意識して、そわそわ出かけるのはとても気持ちが高鳴ります。劇場に入ると、富裕層な臭いのする人で溢れていて、それをみるのもウキウキします。初老のカップルがオシャレしているのはいいですね。逆に、あまり気を使っていない人を見るとがっかり。観客含めてオペラは成り立っているのですから。

さて、『オテロ』ですが、タイトルは知っていても、なかなか内容は理解していない人も多いのではないかしら。私もそのひとりでした。

一言で言ってしまうと、白いレースのハンカチをめぐる罠と誤解と嫉妬の物語。ちょっとした誤解で、国が滅びるとまではいかなくとも、愛と嫉妬とは怖いものだと感じずにはいられませんでした。オテロは、愛する妻を自らの手で殺し、オテロも自らの命を絶ってしまいます。誤解されたまま殺されて、かわいそうな奥様。

とまあ、お話の内容はいいとして、オペラの舞台は毎回目を見張るモノがあるのですが、今回は、舞台に水を張っていて、それをうまーく使ったすばらしい演出でした。そして出演する人の数の多いこと。バードウォッチングばりに数えてみたら、舞台の上だけで、100人近く。オーケストラも入れたら、ものすごい数になりました。120はかたいでしょう。オテロ役のステファン・グールドは、恰幅がよくて、素晴らしい声量。これぞ、オペラという感じが漂っていました。今回も、かなり満足したオペラでした。

まだまだだなあというのは、やはり観客のマナー。最後にカーテンコールのときに、どんどん席をたって帰ってしまう。これは悲しい。焦って帰ってはいけない。国民性ではないでしょう。日本におけるオペラ市場はまだ発展途上なのです。最後の最後まで、オペラを楽しんでほしいなあ、と思うのでした。