仲原かおるのスローキャリアのすすめ 『モーハウス』が実行する「子連れ出勤」で日本が変わる?! ワークライフバランスを自然体でこなす光畑社長インタビュー。

(2009.09.10)
モーハウスの授乳服を選ぶ私:熟練した職人によって一着ずつ手作りされるというモーハウスの授乳服。高機能なのに流行も適度に取り入れて家庭での洗濯にも耐えうるなんて、優秀すぎます!

おしゃれな授乳服のショップ『モーハウス』

妊娠・出産・子育て中につくづく感じたのが、おしゃれ、かつ実用的な妊婦服・授乳服ってなんて少ないの!! という事。おしゃれでないのは、まあ我慢するとしても、ただでさえ、体は辛いし、眠いし、なんだか気分までマタニティー・ブルーだし、って時に不便っていうのは、とっても困るんです。
そういう時に知ったのが、青山の『モーハウス』という授乳服のお店。そこの妊婦服や授乳服は機能性が高い上に流行を取り入れてかわいい作りになっています。くわしくはこちら。

 

授乳服の店らしく?! スタッフが子連れ出勤、授乳しながら接客。

そして、その会社は「子連れ出勤」という現代の日本の会社としては画期的な働き方を実践しているらしい。店員さんが勤務時間中も子供を抱っこしたまま、あるいは授乳服の店らしく?! 授乳しながら接客するという。事務方でも子連れがいるらしく、在宅勤務の人もいるらしい。仕事時間もフレキシブルで決まった曜日のみ午後出勤の人もいるそう。会社組織といえば月―金、9-5時プラス残業という概念を打ち破った限りなくワークシェアリングに近い雇用形態といえるだろう。
会社なのに、接客業なのに、「そういうのアリなんだあー」となんだか力が抜けちゃいました。
もちろんキャリア志向で働きたいという女性もいるだろうが、それ以上に、昨今の不況により、小さい子供がいるからって専業主婦ではいられない、働かざるを得ないお母さん達も増えました。だけど保育所の待機児童問題で働いている間子供を預ける場所がないのが実情。実家も遠くて預かってくれる親戚や友達も近くにいない。という人は多いと思う。そんな時、フルタイムでなくてもいい、子連れでもいい、という働き方が増えれば、雇用の多様性が拡大するだろう。

 

もし子連れ出勤OKの会社がたくさんできたら?

子連れ出勤OKの会社が沢山できたら、会社や女性の働き方や、出産率や待機児童問題や、その他諸々、日本は変わると思う。子供と一緒にいたい、でも働きたい。両方叶えられるのが子連れ出勤。
でも、会社によっては、満員電車や締め切りのストレスの日々で、あのまま働き続けていたら、出産どころか流産していたかも知れないし、そもそも懐妊自体、無理だった。という仕事もあるだろう。
社会や会社が社風を変えて子連れ出勤に周囲の理解が得られても、業種や業務体系、本人の体力、子供の体力・・・などによっては子連れ出勤が無理な人ももちろんいるだろううし、乗り越えなくてはいけないハードルは沢山あると思う。でも、こういう会社もある、こういう働き方もある、という事を知っただけで、何だか嬉しくなる。そこで、『働くママが日本を救う! ~「子連れ出勤」という就業スタイル~』 という本の著者でもある『モーハウス』代表の光畑由佳さんにお話を伺ってきました。

店内はコクーン内部のようなふわふわした作り。授乳服の店らしく、授乳クッションや、授乳スペース、ベビーベッドも完備。かわいい小物も沢山あってママと赤ちゃんがゆったり買い物できる工夫が沢山!
キャリア・ウーマン敏腕経営者というよりホンワカかわいらしい雰囲気の光畑さんでした。

 
自分にとっても、周りにとっても居心地のよいスタイル、子連れ出勤。

実際にお会いして驚いたのがその「気負いのなさ」。転職を重ねた後、自ら事業を起したり、自ら子連れ出勤をして活躍されてきたのだから、キャリア構築やメディア戦略に長けた、英語で言う所の “GO GETTER”で、外見もキリリとした厳しい感じの方を想像していた。が! 取材現場に登場した彼女は、お目目ぱっちりのかわいらしい外見。
「子連れ出勤はどういう経緯で始められたのですか?」という質問に対する答えも、「子連れ出勤を世間に提唱しようなんて思ってなかったんですけど、なんとなく、そうなっちゃったんです。」と、何ともホンワカな感じ。
『モーハウス』を立ち上げた頃は子供を出産したばかりで、忙しすぎて、子供を連れて出勤せざるを得なかった。ボランティアで仲間が手伝ってくれてたが、その人達に対して、子供連れて来るな、などとは言えない。「子連れ」は、自分にとっても、周りにとっても居心地のいい仕事スタイルだった。会社組織として機能し始めても、そのスタイルを続けていたら、だんだん取材依頼が舞い込むようになってきた。というのが、真相のようだ。

 

流れに身をまかせ、緩やかに前進するのが光畑流。

さらにお話を伺う内に、その「とりあえず自分が楽なようにやってみて、後は流れに身を任せる」式の柔軟性が光畑さんの強みなのだなあ、と納得した。
全てにおいて、こうしたい、こうあるべき、という確固たる信念をいい意味で持たないのが緩やかに前進するパワーの源らしい。「ほら、最初にあんまり決めちゃうと、自分で自分をがんじがらめにしてしまうでしょう?特に女性の場合は出産とか子育てだけじゃなくて、夫の転勤について行ったり、自分の意思とは関係ない部分に影響される事も大きいから、それを全て計算して動くのは無理だと思うんです。若い時から、あまり目標を絞りすぎずに、今、好きな事、できる事2-3個の中から臨機応変に仕事をした方が楽ですよ」と笑う。
進学も就職も絶対コレ! と決めてというより、これも好き、あっちもいい、の中からその時の自分を受け入れてくれた所、その時の自分が楽しく過ごせそうだと思った所に自然と流れていったら今に至ったのだそう。
考えてみれば小さい時から好きな事が絞られている天才肌の人って少ないと思う。そういう人は、周囲がどんなに反対してもその方向に進んでいくのだと思う。今は「好きを仕事に」というのがもてはやされているけど、自分が何が好きかあまり良く分からない。という人の方が多いかもしれない。

 

起きてる時間は常に仕事。自然体=のんびり、ではない。

とはいえ、ここまでの成功を収めた光畑社長はやっぱり、仕事大好き人間だと感じた。ワーク・ライフ・バランスを光畑さんはどうとっているか? との質問に、「起きてる時間は常に仕事してます。」という答えが、あっさり返ってきたからだ。自然体イコールのんびりしてるって訳ではないんですね。根が働き者体質なのでしょうか?!
しかし、女性の殆どは専業主婦至上主義・3歳児神話・男女分業思想の洗脳もしくは夫の転勤や待機児童問題という様々な社会的要因から、出産を機に「子供を保育園に預けて仕事復帰か・キャリアは捨てて専業主婦になり育児に専念するか」という究極の選択を自分自身に迫るもの。その中で、なぜ光畑さんは「子連れ出勤」という、その中間を選ぼうと思えたのか?
「実家が商店をしていて近所の友達とかもそうでしたが、仕事場に子供がいるのが普通の状況だったのです。私の世代は男女雇用均等法が施行された世代で、そういう意識が芽生えた頃でしたし。子供を産んでも仕事をするという考え方が当然の大学でした。初めての就職先もそういう社風で。バブルの頃だったので、欲しいものはみんな手に入って当然という考えだったんですね。様々な影響の結果、無理せず、自分が居心地いい形で働きたいと思ったんです」とあくまで自然体。

 

子育ても仕事も、どっちも欲しい。

「仕事と生活を分けて考えず、子供をおんぶしながら、家事をするように、育児をしながら仕事をする。仕事と生活は混じっていて分けられないものだと思うんです。親も私が子供時代、忙しい時は休みは月1回だったりしましたが、自営業だったので日中ちょっとした暇をみつけては適当に息抜きしていましたよ。私も、子供にごはん食べさせながらパソコン叩いていても、それがおかしい事だとは思いません。」と話す光畑さん。「だって、どっちも欲しいから」と言った時の楽しそうな笑顔が印象的でした。

『モーハウス』には「子連れ出勤で働かせて下さい」という応募が沢山あるそうだ。ボランティア団体でも政府機関でもない一民間企業の『モーハウス』が、応募者全員を雇用するのは無理だろう。でも、これからも、光畑さんらしい自然な形で、働きたい女性を応援し続けて欲しいと思わずにはいられませんでした。

 

『モーハウス』から授乳服のプレゼントはこちら

 

青山246沿い、国連大学並びのオーバルビルに『モーハウス』はあります。

モーハウス

Tel. 03-3400-8088
東京都渋谷区神宮前5-52-2
青山オーバルビル1F
10:00~19:00
年中無休(臨時休業あり)