島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年7月18日〜7月24日編 『メルセデス・ベンツML350ブルーテック 』『スバル インプレッサXV 1.5 』

(2010.11.17)

この週も試乗ざんまい。毎日毎日、どこかしらへ出掛けていた。試乗イベントって何で同じ週に固まるんだろうな…と思うのは、いつものこと。新しいクルマに乗れるとなれば、どこへでも行くのが仕事なのだ。
今回は2010年7月18日〜7月24日編です。

 

メルセデス・ベンツML350ブルーテック 7月19日 都内近郊

E350ブルーテックに続くクリーンディーゼルを積んだSUV。かつてのイメージとは違って今のディーゼルは静かでクリーン。しかもパワフルさは変わっていないから、体躯の大きなこうしたSUVと最良のマッチングを見せる。Mクラス自体、穏やかな走りのキャラクターの持ち主だから、のんびりと気持ち良い走りを楽しめた。

 
日産マーチ 12G 7月21日 横浜周辺

タイ生産ということが話題になったマーチだが、本質はそこではない。グローバルカーを標榜した結果として個性が薄れ、新興国をターゲットとしたモデルをほぼそのまま導入しているからクオリティも下がってしまったことの方が問題だ。燃費の良さなど美点もあるが、マーチという名前じゃなければよかったのに、というのが偽らざる実感。

 
トヨタ ヴォクシー ZS G’s Version EDGE 7月22日 河口湖周辺

トヨタの“スポーツコンバージョン”モデルとしてデビューしたG SPORT(G’s)の第一弾はなぜかミニバンのノア/ヴォクシーがベース。マジョリティのユーザーに「スポーツモデルだから自分とは関係ないブランドだ」と思って欲しくなくて、敢えてミニバンからにしたのだという。走りっぷりは、まあ悪くない。でもこのスタイリングは…。メーカーが街のエアロパーツ屋と同じレベルの仕事をしてどうする? たとえば放っておくと輸入車に流れてしまいそうなユーザーを振り向かせるような上質な仕立てなど、メーカーにしかできない仕事というのがあるはずだ。今後に期待。

 
MINI E 7月23日お台場周辺

MINIをベースにした電気自動車のあくまでテスト車。市販の予定は無いのが、このクルマだ。大量のバッテリーで後席や荷室はほとんど侵食されているが、パワフルなモーターのおかげで走りは痛快。ガソリンでも電気でもミニはミニ。ファン・トゥ・ドライブを疎かになどしないのだ。ちなみにこのMINI E、日本でも来年より公道実証実験が始まる。モニターは一般から募るはずなので、興味のある方はwebサイトやニュースなどをチェックしておくことをオススメしたい。ちなみに有償となるはずだ。

 
スバル インプレッサXV 1.5 7月23日 お台場周辺

バンパーやフェンダーなどに樹脂パネルを追加して屋根の上にはルーフレール。インプレッサをベースに“なんちゃってSUV”に仕立てたのが、このXVである。走りの性能は、よってベース車とほぼ同等。しかしインプレッサと言えば、頂点にWRX STIのような超硬派モデルを戴くだけに素のポテンシャルがそもそも高く、実はこうしたモデルでも走りの質の高さは存分に味わえる。あまり真剣に考えず、ファッションとして楽しむにはいいクルマだろう。

クリーンディーゼル、タイ生産のコンパクトカー、メーカー謹製のチューニングモデルに電気自動車と、毎日ネタがまったく違っていたので、とても楽しめたが、こうして振り返ってみると、まあ何と節操なく見えることか。しかしクルマは、これだからこそ面白い。今週もクルマの楽しさを堪能できた。