加納忠幸のワイン飲もうよ コルク回帰?

(2010.03.01)

ここのところ、コルク臭(ブショネ)の発生を避けるため、
スクリューキャップを採用するワイナリーが増え、
これを読んでいる皆さんもスクリューキャップに対する抵抗感は
なくなりつつあるのではないでしょうか。

ところが先日、フランスはアルザス「ヒューゲル」社のセミナーで、
スクリューキャップ化のトレンドとは全く異なるお話があったので、
ここでご披露。

講師はヒューゲルの営業担当、エティエンヌ・ヒューゲルさん。
以前ヒューゲル社を訪問したとき、案内していただいた方です。
さすが営業担当で、お話が上手、セミナーは英語でした。

ヒューゲル社もコルク臭に悩まされているのは他のワイナリーと同様。
そこで、スクリューキャップを試したところ、
ヒューゲル社ではできあがったワインを横に重ねて高く積み、
瓶熟成をさせてから出荷するため、
スクリューキャップに圧力がかかってワインが漏れてしまうことが判明。

そこで採用したのが、DIAMコルク。
このコルクは一度天然コルクを砕いた後、
特殊な高圧炭酸ガス処理により
コルク中のコルク臭の原因といわれるTCAを除去し、
もういちど圧縮成型してコルクの形状にもどしたもの。

これをまず2004年ヴィンテージのハーフボトルで試したところ、
コルク臭がついたワインが出ない上に、
ハーフボトルだとフルボトルよりも速く熟成するのが普通であるが、
フルボトルとほぼ同じ同じどころかもっとゆっくりとした
熟成スピードとなることが判明。

そこで、2007年からは、ヒューゲルワインのハーフボトルすべてに
このDIAMコルクを採用。
フルボトルについては現在クラシックレンジに採用しているとのこと。

これが、ヒューゲルが使っているDIAMコルク。
DIAMのロゴが入っているところが、
低価格ワインに多く使われている砕いたコルクからつくった、
通常の圧縮コルクと違うところ。

これは必要ないと思いますが、天然コルクのような模様も入っています。

さて、このDIAMコルク、
ヒューゲル社以外にも採用するワイナリーが増えてきているようで、
なんと日本でも中央葡萄酒が採用していることが判明。

「グレイス甲州」、「グレイス甲州茅ヶ岳」等では、
このDIAMコルクを使っているとのこと。

私も以前から何で中央葡萄酒ともあろうところが、
安っぽい圧縮コルクを使っているのかと不思議に思っていたのですが、
実はただの圧縮コルクではなかったのでした。

ちょっと話は余談になりますが、ヒューゲルはアジア市場に熱心。
ホームページも、日本語、中国語、韓国語を用意。

こんな、箸や、箸置きといった販促品を用意しています。
今まで販促品でソムリエナイフ、ワイングラスや、ワインクーラーといった、
ワインと直接関係があるものは良く見たことがありますが、
こんなものがあるとは驚き。

ここまで力が入るのは、アルザスワインとアジア料理との相性が、
大変良いということなのでしょう。

なお、DIAMコルクに興味のある方は、下記をご覧ください。

 

DIAMのサイト
DIAMの日本の輸入元永柳工業株式会社のサイト