北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 48 - MUSIC BOX」”IMAGINE” (KIKKERLAND)

(2010.03.11)

不況なのだ、と人は騒ぎ立てる。

実際そうなのだろう、と実感することもしばしばである。

そして経済コンサルティングの一面を持つ、オレには日々、「この不況をどう乗り越えたらいいのでしょう」という声が、そしてメールが飛び込んでくる。

というのは冗談なのだが、こんなバカにも不況乗り越え、天城越え相談は本当に毎日のように耳から入ってきてはビールのゲップとともに鼻から口から抜けて行く。

まぁ、何というか、みんな焦っているんだよなぁ、とは思う。

目先の1円に血まなこになって、どうも生来がスロウなブギにしちゃっているぼくにとっては、胃も痛くなれは、来も痛くなるのである。

だから、と言うわけではないけれど、”みんな、もう少し落ち着けよ”というのがぼくなりの不況対応策なのかもしれない。

考えてみると、まあ、不況だの、不景気だのっていう言葉そのものは陰気クサイのだが、ちょっとズラして考えてみると、悪くないもんんだ、とも思えるのではなかろうか?

たとえば、最近、みんな……、というか、ぼくの回りの人たちは口を揃えて言っていることがある。「よく歩くようになった」と。

恵比寿から代官山に行って、打ち合わせをする。その後、代々木公園のそばまで行ってさらに打ち合わせをする。なんてことがあるのだが、これを歩いて済ませているのだ。

で、歩くっていいね、なのである。

小さな店を発見したり、街の雰囲気を眺めながら歩いたり、晴れを感じたり、雨を踏みしめたり、雪にへこたれたり、とまあ青春どまん中ストレートな気分にさえなれる。

そして、これは意外と編者の原点なのではないか? と思ってもみるわけである。

歩いていて、ちょっとばかり淋しいことがある。というか、あったらいいものを感じてしまう。

それはカフェである。

パリに行くと、カフェはほんとにいたるところにあって、ちょっとひと休みでカフェ オ レ、もうちょっと歩いてカフェ オ レ、そんでまた歩いて、今度はビール、で、また歩いて、ワイン。なんてことができる。

そして、このカフェは個人商店であって欲しい。粋なマダムがいたり、ムッシューにカフェを注文したり、という雰囲気もだけれど、これが経済をよくするのではないか? と経済コンサルティングなオレ登場。

日本はアメリカを真似するより、フランスをお手本にしたほうがいいんじゃないかなぁ、とつねづね思っているぼくがいる。

大型店よりも、個人商店の発達こそが景気をよくする、お金を回すのではないか、と思うのだ。

店主という目ききがそこここにいて、個人商店、つまり、魚屋、肉屋、青果店などが個性豊かに物を売り、それを買うことで個々人が満足する、という図式。

“昭和”という時代、街には“社長”がたくさん溢れていた。小さな工場の社長もいれば、肉屋の社長もいた。そして、そんな社長たちのおかげで夜の街も潤った。

それくらいの小さな幸せが点在しているくいが、日本にはちょうどいいんじゃないか?

で、そんな日本に、ぼくはオルゴールをお勧めする。オルゴールの調べは、原曲よりもかなり遅いテンポで聞いたほうがいい。早くなると、興ざめなのは言うまでもないだろう。

こんな小さなオルゴールが奏でる、”IMAGINE”は、ぼくを”ほっ”とさせてくれるし、みんなの心も“ほっ”とさせてくれると思う。

ちょっと遅れるくらいが、不況や不景気を逆転させてくれる気がするのだけれど……。