仲原かおるのスローキャリアのすすめ スローキャリアの極意:楽しい仕事のみ、やる!

(2009.05.27)

ワークライフバランスを考えよう

ママになって、もちろん子育てを存分に楽しむのは当然だけど、その一方で、これまで積み上げてきたキャリアも細々とでもいいから継続して積み上げて行きたい! または、もう一度働いてみたい! という方は多いと思います。

日本は、女性と仕事に対する考えかたや、雇用制度、家族のあり方ナドナド、社会の仕組みそのものが、まだまだ高度成長期の頃の3歳児神話、専業主婦、男女役割分担を前提にしています。

それに妊娠出産育児は、経験してみて思うけど、本当に大変で、時間に終われてキリキリする事無く子育てを思う存分楽しみたいと思ったら、私のような不器用な人間は(そうではない方も沢山いると思いますが!)「人生は理解する為でなく楽しむ為にある!」というモットーのもと、人生の季節の移ろいに合わせて、キャリアをシフト・チェンジが自然。

自分に気持ちいいワークライフバランス(労働者の仕事と生活のバランスのこと くわしくはhttp://www.jil.go.jp/tokusyu/worklife/index.htm)を探求したら、必然的にスローキャリア(仕事はホドホド子育て満開)になってました。

厚生労働省でもライフワークバランスを検討しているらしいことが厚生労働省のHP「平成19年版労働経済白書 労働経済の分析」を見るとわかります。(検討だけじゃなくて具体的施策を即急にお願いします!)

第2章 人材マネジメントの動向と勤労者生活の第4節ワークライフバランスの各国の動向とか、第3章 変化する雇用システムと今後の課題の第3節ワークライフバランスと雇用システムの展望など興味深い内容盛り沢山。

政府の施策を待っているだけでは仕方ないので、とりあえず、日々私なりにスロキャリを楽しみたいと思います。

 

子育てを満喫しつつ、楽しくお仕事、がスローキャリア

子供がいなかった頃のように、取材で2ヶ月間イタリア行ってきまーすとか、編集で3日間スタジオにカンズメOKといいうわけにはいかない。

スローキャリアの極意は「楽しめそうなお仕事のみお受け致しますねー☆」というスタンス。その点フリーランスの通訳は基本日雇いなので、その基本理念を実行に移しやすい。好みの仕事が来たら受ける! そうでないのは断る!

現在スローキャリア満喫中な私。最近はおばあ様に頂いた5月人形のオルゴールを鳴らしたりしながら、お家でノンビリ赤ちゃんと戯れています。そんな週末の午後、携帯に一本の電話が。

なんと、憧れの有名人の通訳の依頼です。
行きます! 行きます! 行きまーす!! なんなら現場までワープしてしまいたいくらい!早く会いたいなあー。ウキウキ、ウキキキキー☆

こうやってスローライフに時々ミーハー根性丸出しの刺激を加えることで、普段のスローッぷりの満喫度も増すというもの。こういう仕事がある度に思う。英語しゃべれて良かったなあ! 憧れの人に会えるなんて通訳冥利に尽きる! と心から感激。

もともとTVでディレクターをしていた経験や人脈を活かせる今の仕事が大好きです。ディレクターだった時代は収録後の編集や音入れ、テロップなどなど様々なVTR作りの工程があって、それこそ連日徹夜は当たり前!

それで体を壊して業界を去っていく人も多いくらいにテレビの奴隷状態。でも奴隷たちはとても楽しんでいるのです。私もチーム一丸となって番組を作り上げる為にバリバリ働いている爽快感や生放送中のアドレナリン大放出な緊張感が大好きでした。

ディレクター時代も通訳の今も仕事は自分の興味最優先で選んでるので、基本仕事大好きです。

 

楽しい通訳業。欠かせないのは人物予習

通訳たるもの資料として送られてきた番組の台本に目を通すだけでは不十分。言われなくても担当する方のプロフィールや著書、以前の取材記事、出演番組その他を予習し、その人の言いそうな事や主張を事前に頭に入れておく必要があります。背景知識を出来る限りインプットしていく事で、自然にその人の思考の波に乗れるというか、英語と日本語の変換が自動操縦的に口をついて出てくるというもの。(まあ、理想ですが)

どんなに予習してもその成果が本番で発揮されるかどうかは?! でもまあ予習しないと不安なので手は抜きません。

不安は声に出ます。オドオドしている通訳ではいくら内容が正確でも聞いている方は大丈夫かしら? という気分になってしまう。できれば相手の声のトーンまでも通訳してあげたいもの。自信満々な話し方の人の通訳をする時は自信満々な声の張りまでも伝わるように。人間同士が会話する時には話す内容も大事だけど、それをどんな調子で言うかっていうのもスゴーク大事。

今はネットというとても便利なものがあるので、予習ではとても重宝しています。
今回のように相手が国際的にも有名な社長さんや芸能人だったりすると色んなところでインタビューに答えているので、日本語、英語ともにウェッブに出てたりして、本番でも似たような質問やコメントが出るので、予習は時間をかけてそれらを出来るだけチェックするようにしています。
ネットがなかった時代にはどうやって予習をしていたのか? と不思議になるくらい。

 

楽しい通訳業、必須アイテム

通訳翻訳のお仕事道具は、というと私の場合、ワイヤレスネット接続されたラップトップ、ICレコーダー、電子辞書、そしてヘッドフォン。

ワイヤレスネット接続されたラップトップ
TV局入りの映像翻訳の場合など、現場に使い慣れた自分のパソコンを持ち込んだりするし、在宅のお仕事だとDVDなどそのまま再生して訳しつつネットで資料を検索したりして、PCだけで作業が完結する事も。リビングソファ、ダイニングテーブル、書斎、ベッドルームを遊牧民的に部屋移動して家族と一緒にいながらも仕事は続けられる! からデスクトップよりラップトップ派でデルのインスパイロン TM 710を使用。次はもっと小さいモバイルにしようかなあー。

ICレコーダー
インタビュー通訳などの時に音声起しや自分のパフォーマンスチェック反省会用に。PCに直接つなげられるUSBタイプ、しかもノイズ除去機能、インデックスマーク、音声起動録音、連続再生、少し前再生や9段階の早聞き遅聞き再生が可能で便利! なIC レコーダーオリンパス ボイストレック V-41 を愛用。

電子辞書
広辞苑から類語辞典まで、何冊もの辞書がコンパクト&軽量になっている電子辞書を一度使ったら、もう紙の辞書には戻れないかも!? コンテンツプラス機能や複数辞書検索が便利なカシオの電子辞書エクスワードデータプラス2XD-GT9300

ヘッドフォン
そして長時間つけていても耳が痛くならないようにパッドがあつい本格派のヘッドフォンは必須です。 私は3D方式ウィングサポート、肌触りのよいベルベット調の布製イヤパッド採用、圧迫感を低減するトータルイヤフィット設計によりさらに快適な装着感を実現したというオーディオテクニカ のエアーダイナミックヘッドホンATH-AD300

そして YOUTUBEに代表されるような、無料動画サイトという、とても便利な文明の利器のお陰で、以前放送されたNHKや民放の番組をネットで見れました。彼女の話し方も声のトーンもわかって断然安心!通訳は書き言葉でなく話し言葉を声を出して訳すので、実際にその人のアクセントや話すスピード声の高さ強弱のつけ方などが事前に分かると、とっても助かるのです。

予習の流れとしては送られてきた収録台本をまず読んで、番組の流れ上出てきそうなコメントや話題、人物の経歴などをなどをネットで拾います。彼女の書籍の内容もチェック。

その人のいつも言う「決まり文句」のようなものもありますし、言うべき事も多分ついているPR会社などとの会議である程度決まっている場合もあるのでしょう。社長が言いそうなその会社の基本理念とか。

大統領選挙などの選挙演説とかでもそうですよね。
政策の柱となるような事など日本語の定訳もできるくらいにその人の決まり文句がある。それはきっちり出してあげないといけないので、単語レベルでなく文章丸暗記します。

相手がどのような事をいいそうか?こればっかりは山勘です。沢山集めた資料の中で出てきそうな決まり文句そうな文章は丸ごと「当たるといいなあー」と思いながら覚えてしまう。
日々試験勉強な気分。多分現場経験を多く積むと経験に裏打ちされた山勘が働くようになって、当たる確率も増すのだと思います。日々鍛錬ですね。

相手が科学者だったりすると論文をチラッと読んで(真剣に読もうと思ったら多分大学院に入学&卒業しなくてはならなくなります)大事そうな単語を調べたり。

最後の仕上げに送られてきた台本をベタ訳してこれまでのQ&Aから想定される彼女の答えを赤ちゃんに向かって英語でしゃべってみる。

赤ちゃんは「何のこっちゃ?!」という顔で私を見つめている。

その顔がまた、かわいいんだな。「明日お母さんは、お仕事行って来るね☆帰ってきたらまた、たーくさん遊びましょーねー」

皆さんからのスロキャリ・アイデアもお待ちしていまーす☆

 

翻訳必須道具たち。
ICレコーダーはオリンパス ボイストレック V-41。
電子辞書はカシオの電子辞書エクスワードデータプラス2XD-GT9300。