島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年7月4日〜7月10日編 『フォルクスワーゲン ゴルフGTIカップカー』『シトロエンC5 セダクション 』

(2010.10.19)

2日の朝に成田に着いて、その日は自宅で仕事。しかし、その翌日にはまたも旅支度を始めていたのだった。
今回は2010年7月4日〜7月10日編です。

 

フォルクスワーゲン ゴルフGTIカップカー 7月3〜4日茨城県 筑波サーキット

長旅の疲れは残りまくりだったけれど、週末は筑波でレースだった。まず土曜日には練習走行。走行安定性を高めるための電子制御が沢山入っている最新のモデルは、サーキットのようなところでは、それが却ってアダになる部分もある。速く走らせようとすると、クルマがそれを危ない状態と認識して、止めに入ってしまうのだ。

そんなわけで操縦は難しく、しかも決勝ではトラブルで途中ストップ。だましだましゴールまでクルマを運ぶだけのレースになってしまった。無念。あ、写真の左手前、カーナンバー「00」が私のレースカーである。

決勝終了後は成田空港に直行。そう、またもドイツの今度はミュンヘンに、BMWのワークショップに参加するため出掛けたのだ。レースのために帰国するなんてカッコいいなぁ、自分。

 
シトロエンC5 セダクション 7月8 東京〜富士スピードウェイ往復

ドイツから帰国して一旦、自宅へ。そこから今度は取材のため富士スピードウェイを目指した。アシとなってくれたのはシトロエンC5だ。
従来の2ℓエンジン+4速ATに代わって、1.6ℓターボエンジン+6速ATを得たこのセダクション。排気量は小さくなったけれど、ターボのおかげで十分な出力を確保し、また燃費も向上している優れモノである。発進時などには多少もたつき感はあるものの、高速巡航時には余裕アリ.シトロエン独自の、コイルばねの代わりに液体と気体を使うハイドラクティブサスペンションは乗り心地も極上で、疲れた身体での移動には最適の1台だと改めて思った。

 
BMW120iクーペ 116i 7月9日 御殿場周辺

この日はBMWのオールラインナップが揃う試乗会へ。まずは1シリーズから攻めた。いずれも動力性能と燃費をともに向上させた、ガソリン直噴の新エンジンの搭載がトピックだ。

従来135iだけが用意されていたクーペに新たに設定された120iは、コンパクトなボディに十分なパワーで走りがとにかく楽しい。あまりに意のままに走るものだから、思わず行くつもりの無かった狭いワインディングロードにまで入って行ってしまった。しかし…なんでこういうクルマにマニュアルギアボックスを用意してくれないんだろう…。

116iは、従来は正直言って動力性能が貧弱に過ぎて、誰にでもお勧めとは言えない感もあったが、新エンジンを得て魅力がグッと高まっていた。今、1シリーズを買うなら116iはいい選択と自信を持って言える。

 
BMW Z4 sDrive35is 7月9 御殿場周辺

続いてZ4に追加された最上級モデルに。3ℓ直噴ツインターボエンジンは、これまでより00ps増しの000psを発生する。
動力性能は文句のつけようが無い。直列6気筒エンジンのフィーリングも上々。オープンにしてゆったり流すつもりでも、ついついアクセルを踏み込みたくなってしまう。但しシャシー性能の面では、直進安定性が今ひとつで、ステアリング操作に対する正確性も物足りない。もう少しどっしり落ち着いた走り味になれば最高なんだけど。

 
MINI クーパーS 7月9日 御殿場周辺

BMWのラインナップと同じく、エンジン変更によって動力性能と環境性能を高めたMINI。乗ってビックリしたのは、それだけでなく走りの質にも更に磨きがかかっていたことだ。何が変わったのかと言われると説明は難しいのだが、あらゆる手応え、反応が洗練されて「いいクルマ」の乗っているんだという感触がグッと高まっている。登場初期のMINIしか知らないという人は、是非お試しを。目からウロコとなるはずだ。

 
BMW130i M-sport 月 325iクーペ 7月9 御殿場周辺

1シリーズのコンパクトなボディに直列6気筒3ℓエンジンを積み込んだ贅沢な存在である130iは、まさに小さな高級車と呼びたい大好きな1台。エンジン含め、今回はそれほど大きな変更は無いが、それでも良いものは良い。そのまま連れて帰りたくなってしまった。
流麗なフォルムの3シリーズ・クーペに追加された325iは、実はエンジンは最新の3ℓ直噴エンジン。パワーは控えめだが、その上質でたおやかなレスポンスはいかにもBMWの6気筒らしく、しみじみ気持ち良くなれる。酸いも甘いも噛み分けた大人のクーペってな感じ。

BMWのワークショップで未来のクルマについてたっぷりと知識を吸収し、更に試乗会で今のBMWにどっぷりと触れる、まさにBMWウィークとなったこの週。今やクルマを語る上ではまずエコが最初に来がちではあるけれど、普段の自分の生活を見回しても、我慢と引き換えのエコなんて長くは続かない。つまり、エコの話をするには、尚更この気持ち良さという要素はセットで語られなければいけないのだ。BMWは走りのイメージが先行しがちだが、実はここに大いに力を注いでいるブランドなのである。