根本貴弘のどうニモ靴好きなもので 孫の代でも、デッドストックは不滅です。

(2008.07.29)
先日、バイクで柏の古着屋さんに出かけただけで、手首に白い時計の日焼けのあとが残りました。

夏ですね。

毎週末、古着屋や紳士靴店、スポーツ用品店などに出かけては何か面白い靴はないかと探検家気分に浸っている私ですが、先週はたまたまその柏の古着屋にて50’sのデッドストックのスウェードのモンキーブーツを発見! ちょうど世の翁方が私と同じ年の頃の品。
いやはや、これがホワイツやレッドウイングのブーツとかではなく50’sに大量生産されたどこのブランドともわからぬ靴なんですがそれがまた非常にかっこよい! チープながらも心をくすぐる昔ならではの毛羽立ったスウェードにグッドイヤーウエルト製法で質実剛健に縫い上げられたソール。さらにソールは白のコルクソールという当時のセンスに脱帽して、一目見てとりこになってしまいました。

約1年前には同じく50’sのワークブーツは購入したのですがこちらはさらにチープなレザーにコルクソール、そして野暮ったいシルエット。

しかし、なぜだろう。チープで野暮なはずなのにどこか品格がある。確かに現行のワークブーツによく見られるトゥ部分につま先を保護する鉄板が入っていないためシルエットがドレッシー気味ではありますがそんな単純な理由だけではありません。長い時間を経ても色あせない存在感があるのです。
「いいものはいつの時代に見たってかっこいいんだぜ!」
「普段1万円もはたいて買っている運動靴がお前の孫の時代でも俺達みたいに輝くと思うか?」
と言わんばかりの存在感。戦勝国ムードの中でよいものがたくさん作られたのでしょう。

デッドストック(死蔵品)をあなどることなかれです。

 自分がこれまで見たこともない靴と出会うことでこれまで想像することのなかった時代の一部を経験的に垣間見られるのですから靴はたまりません。

それにしても暑さのせいでしょうか。最近そんな週末がなんだか最近は小学生の頃宝探しに出かけた夏休みのように思えます。木漏れ日がきれいな雑木林に友達と遊びに行っては石ころやセミの抜け殻を拾って大事に持ち帰った。。。

なんてノスタルジーはこの暑さでのぼせているからでしょう。

皆さま熱中症にはご注意を!

 

【今週の豆知識】
コルクソール…ゴムにコルクの粒を混ぜて作られたソール。耐磨耗性に優れ、滑り止めの効果あり。古い靴によく見られるソール。

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一目惚れした50’sのモンキーブーツ。きっとこの靴に茶色のコルクソールを合わせていたらここまで感動しなかったかと思います。面構えがどことなく犬っぽく思えるのは私だけでしょうか?

50’sのワークブーツ。すぐにヒビが入る安っぽいレザー。それが味だといわんばかりに特にケアをせずガンガンに履いていたある日、上野アメ横を歩いていたら、ディープなアメカジ好きの方にご指摘を受けてからは大切に手入れをして履くようにしています。やはりどんな革靴でもそれなりの手入れをしてやらないとかっこよくならないことを今更ながら学んだ一足です。

茶色と白色のコルクソール。ヒールはセパレート。ちなみにそんな彼らは団塊世代。