加納忠幸のワイン飲もうよ 秩父ワイン@埼玉県小鹿野町。

(2010.02.15)

ワインの商売が最盛期を迎える直前の昨年11月初旬、
埼玉県秩父郡小鹿野町の「源作印」で知られた
秩父ワインへ行ってきました。

秩父ワインへうかがうのは今回で2回目ですが、
当店で非常に良く売れているワインにもかかわらず、
前回うかがったときにはお話を聞くことができなかったので、
今回は専務の島田昇さんにアポを取ってうかがいました。

今回は秩父に泊まる予定でしたので、11時頃出発。
高速に乗らずに途中で食事をしたりしてと、ゆっくり行ったら
思いの外時間が掛かり、到着は15:30頃に。

ワイナリーの前には大きな木の樽が3個並んでおり、目印に。

売店に入ると古いレジが置かれており、歴史を感じます。
私たちが滞在している間、お店にはひっきりなしにお客さんが。
地元の方に愛されているのがわかります。

秩父ワインでは甲州、マスカット・ベリーAといった、
山梨県と同じ品種のワインのほか、
山葡萄のワイン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランを使った
ボルドータイプのワインなどを造っています。

ワイナリーの内部は、新旧の機器が並んでいます。

こちらは、温度調整機能つきのタンク。
ベリーAをつくる時、発酵前に1週間ほど摂氏4度で発酵させないまま
漬け込むのだそうです。

これによって、マスカット・ベリーA独特のキャンディ香が、
より洗練された香りになるとのこと。
確かに源作印の赤は、私が苦手なキャンディ香がありません。

また、白ワインでは甲州をつくる時、
シュールリーの期間を10ヶ月と、
山梨県の倍とるのが特筆すべき点。

シュールリーの期間を長く取ることによって、香りを良くし、
酵母のうまみをすべてワインに移すのが目的とのこと。

ワイナリーを見学した後は、畑を見せていただきます。
葉には、ボルドー液を散布した白い斑点が多く見られます。
収穫後までなぜこのようなボルドー液の痕が残っているのかといえば
収穫後にボルドー液を散布するからだそうです。

収穫後もボルドー液を散布しないと、
翌年に悪い影響が出るため、散布するとのこと。

また、除草剤を使わず草性栽培を
牧草の種をまくことで行っているのだそうです。

自社畑の垣根栽培のぶどうは、
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなどの
ボルドー品種。

こちらは、棚栽培。
一文字短梢の変形のスマート法という剪定方法なのだそうです。
棚栽培では、山葡萄、アリカント、甲州などをつくっています。

このあたりは防獣対策も必要。
畑の周りは金網で囲われています。
というのも、イノシシ、狸、ハクビシンなどの獣が
収穫前のぶどうを食べるのを防ぐため。
本当にご苦労様です。

畑から、ワイナリーへの道すがら、ふと横を見ると
こんな建物が。
横の看板を見ると、「甲源一刀流」の道場なのだそうです。

この「甲源一刀流」は幕末にはやった剣法の一つで、
北辰一刀流の千葉周作が道場破りに来た時、
相打ちだったので道場が残っているのだとか。

ただ、道場の大きさが大きくないのは、
当時テロリスト養成所になりかねない剣法の道場は、
大きくするのが基本的に許されなかったためとのこと。

ワイナリーへ戻ってからは、お勧めワインの試飲。
この中では特に一番右の、「甲州樽発酵2002」が
印象に残りました。

今まで、山向こうの山梨県から買ったぶどうで
つくっていたワインも多かったのですが、
今後は自社畑のぶどうでつくったワインを増やしていきたい。
特にヨーロッパ系の赤ワインで良いものをつくりたい。

また、味わいとしては食事に合った味を追求したい。
たとえば、一番ベーシックな源作印(上の写真の左端)の白も、
以前に比べて辛口仕立てにした。

確かに、私が持っていた源作印の白は
ほのかに甘味の感じられる味わいでしたが、
今回試飲させていただいたものは、
きりっとした辛口になっていたのでびっくり。

寡黙で真面目な島田さんは
これからもっと私たちの期待に応えてくれる
ワインをつくって下さると思います。

 

秩父ワイン

埼玉県秩父郡小鹿野町両神簿41
Tel: 0494-79-0629