島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年2月21日〜2月27日編

(2010.05.25)

前週、ヨーロッパに行っていた分、仕事が溜まっており、週の前半はもっぱらそれを片付ける日々。では後半はと言えば、実は再びヨーロッパに向けて旅立ったのだった。徐々に忙しくなってきた感じ。
今回は2010年2月21日〜2月27日編です。

 

メルセデス・ベンツE350アバンギャルド 2/21 東京〜千葉方面

昨年フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの主力モデルは、2世代続いた丸型4灯ヘッドランプを角型に改め、スタイリングも直線基調のシャープなものへと変身させた。印象としては、これまでエレガントな雰囲気だったのが、少しビジネスライクな方向に揺り戻されたというところだ。

乗ってみての印象に鮮烈なものは無い。しかしメルセデス・ベンツの場合、それはホメ言葉。最初は正直、変わり映えがしないなとか、退屈だなとか思うわけだが、気付けばすぐに身体に馴染んで、徹底的に良き道具として働いてくれる。そして仮に他のクルマに乗る機会があったりすると、普段乗っている自分のメルセデス・ベンツはいかに優れた機械なのかと思い知ることになるというわけである。

 

メルセデス・ベンツE250CGIブルーエフィシェンシー クーペ 2月22〜25日 都内近郊

そんなEクラスには実はクーペが用意されている。しかも驚くべきことに、素晴らしく流麗なスタイリングをまとったクーペが。例のフロントマスクなど、Eクラスのアイデンティティを確かに、色濃く漂わせながら、まったく別物のスペシャルティ感を演出した、そのデザイン力には脱帽である。

走らせても、これまた素晴らしい。1.8ℓターボのエンジンは日常良く使う回転域から力強く、アクセルを深く踏み込まなくてもスッと軽快に発進、加速できる。となればもちろん、燃費も上々だ。しかも試乗車はオプションの電子制御式サスペンション付き。普段のとろけるような乗り心地と、いざとなった時のシャキッとクーペらしい走りを両立させている。

ちなみに黒ボディに茶内装、AMGスポーツパッケージという試乗車の組み合わせは、吊るしでは用意されていない注文生産のもので、実は筆者のイチ押しの組み合わせだ。せっかく華やかなクーペを手に入れるなら、こんな風に是非、自分だけの1台をどうぞ。

 

メルセデス・ベンツEクラス カブリオレ 2月27日 スペイン マヨルカ島

金曜日に日本を発ち、フランクフルト、バルセロナを経由して、ということはつまり2回乗り換えして現地時間の夜11時頃、ようやく辿り着いたのはパルマ・デ・マヨルカ。地中海に浮かぶスペイン領のマヨルカ島である。目的は日本でも先日発売が開始されたEクラス・カブリオレの試乗だ。

ベースとなっているのは出発前日まで乗っていたEクラス・クーペ。キャンバス地の電動開閉式ルーフを備えた贅沢な4人乗りオープンカーに仕立てられている。走行中の室内への風の巻き込みを抑える新機軸の採用などで、四季を通じて乗員4名が快適にオープンエアモータリングを楽しめるというのが、そのセールスポイントである。

まあ、そんな講釈の前にこのスタイリングを見れば、魅力を感じる人はもう理屈抜きに惚れてしまうかもしれない。そのぐらい美しいこのカブリオレは、走らせても実に気持ちの良い1台だった。詳細は、また改めて。

振り返るとこの週は、日本とスペインに股をかけて、すべて別のEクラスに乗っていたのだった。個人的に特にそのクーペとカブリオレは、今のメルセデス・ベンツのラインナップの中でもっとも美しいスタイリングをもち、そしてもっとも自分のものにしたい! と思わせるモデルだけに、乗るのも評価するのも楽しく、充実していたように思う。