島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年6月20日〜6月26日編『マセラティ グランカブリオ』『アウディRS5クーペ』

(2010.10.04)

またも海外に出掛けたこの週。6月20日に日本を発って、帰国は7月2日という結構な長旅だった。内容も毎日盛り沢山。楽しいけど正直言って疲れる。でも…そういう機会があることに感謝しながらやらないとね、というわけで、いざ。
今回は2010年6月20日〜6月26日編です。

 

マセラティ グランカブリオ 6月21日 ドイツ ケーニッヒシュタイン周辺

イタリアのマセラティがドイツ人ジャーナリストのために開いていた試乗会に、ドイツ在住の若手モータージャーナリスト、Alexander Ostern君と一緒に参加した。色気たっぷりのクルマに男2人はちょっとね…な見た目だったに違いないけれど、夏のドイツの気持ち良さを満喫。年を重ねたら、こういうクルマでこういう土地に…なんてベタなことを思う。
試乗の基地となったホテルは、元々はヴィルヘルム・カール・フォン・ロスチャイルドの別荘として建てられたVilla Rothschild Kempinskiだった。来たのは実は2回目だけど、こんなクルマには、本当に相応しい。でも…ここちょっと怖いんだな、壁の肖像画に見られているような気がしちゃって…。

 
アウディRS5クーペ 6月22日 フランクフルト〜ポツダム往復

この時点ではまだ日本未導入だったRS5は、美しいA5クーペに最高出力450psのV型8気筒エンジンを積み込んだ超高性能バージョン。各種電子デバイスを満載して無類の操縦安定性を実現している。
実際、この日は朝7時過ぎにフランクフルトを発って、昼過ぎにはポツダムへ到着。現地で半ドイツ人の木村好宏氏と合流して別のクルマに乗り、夕方に氏をベルリン空港に送り届けた後、何と市内GipsstrasseのCocolo Ramenにて自家製麺のとんこつラーメンをいただき、そこからフランクフルトまで飛んで帰るという凄い1日だった。
1日の往復走行距離は1100km。休憩などを除く走行時間は、ざっと9時間を切る辺りだから、平均時速は120km/h以上。街中は渋滞もしてたし…と考えると、さすが自動車王国ドイツ! という感じだ。
RS5は、まさにこういう使い方に最高のモデル。ひたすら速く、安定している。時間をお金で買える国のクルマである。

 
アウディA1 1.4TFSI 6月22日 ポツダム周辺

アウディが来年に日本に導入予定の、現在のエントリーであるA3より更にコンパクトなモデルがA1だ。小さいけれど内外装のつくりや素材、また塗装等々は上級モデルとまったく変わらないハイクオリティ。一方、走りっぷりは上質感と、サイズなりの快活さが混ざり合った、なかなかイイ感じの仕上がりだ。そうそう、アイドリングストップシステムも付いている。
おそらくコレ,それなりの価格にはなるだろうけれど、日本でも売れるだろう。アウディにとっての課題は、これで裾野を増やしつつ、上級モデルを今以上に売っていくことなのだ。

 
ポルシェ パナメーラ/パナメーラ4 6月24日 ケルン周辺

今度はケルンに移動して、ポルシェの国際試乗会に参加した。初日は、ちょうどデビュー1年となったパナメーラに追加されたV型6気筒3.6ℓエンジン搭載モデルに乗った。
これまでのV型8気筒4.8ℓ、同ターボに較べれば、それは当然非力。でも実用域での力強さは十分に出ているし、エンジンを回すよろこびもある。しかも遅くなんかあるわけはなく、200km/hオーバーの巡航も余裕でこなす。
でも何より嬉しかったのは、そのフットワークの良さ。後輪駆動のパナメーラと4WDのパナメーラ4があるうち前者はなどは、あまりの軽快感に自分が今、ボクスターに乗っているんじゃないかと勘違いしてしまいそうなほどだった。
これまで、値段のせいもあるけれど、ちょっと縁遠く思っていたパナメーラだが、今回乗って欲しいクルマになった。…と言っても5年後くらいに、中古でだけど。

 
ポルシェ カイエン 6月25日 ケルン周辺

翌日は新型カイエンの、やはりV型6気筒エンジン搭載モデルに。実はパナメーラとカイエンは、V型8気筒4.8ℓと同ターボのふたつのエンジンを共有している。しかしこのV型6気筒は別。カイエンのV型6気筒は高さがあるのでパナメーラの低いボンネットの中には入らないのだ。
果たしてカイエンはと言えば、先代よりだいぶ軽量化されたことから、このV型6気筒でも全然不満の無い加速を見せるようになった。排気音も野太くなって、これで十分満足! という感じ。フットワークの麺でも、この背の高さからは想像できないぐらいよく走る、本当に完成された1台と言える。売れ行きも絶好調のようである。

ちなみに今回滞在したのは、ケルン近郊GladbachのGrandhotel Schloss Bensbergというホテル。ここも実は2度目だったりして…。しかも門まで来て、やっとそれに気付いた次第。麻痺してますね、本当にもう。

到着した翌日から、ここまではまさに怒濤の日々。毎日色々なところへ行って、色々な人に会って、色々なクルマに乗った。満足。翌日、ポルシェの試乗会のために来ていた人達と別れて、ひとりケルン駅からフランクフルトへ向かった。週末はホテルで原稿を書いて過ごす予定。でも、この時期はそう、サッカーのワールドカップが行なわれていた週で…。