山本嬢の王道と邪道のはざまで case 1 :ヒトクセあるワインを選んでみる。

(2008.06.23)
若いころならギャグで済まされていたことが、最近、そうも行かなくなってきました。
年、とっちゃいましてねぇ。
今は、「年甲斐もなく」という言葉が一番恥ずかしいお年頃です。

ほら、たとえば、病院で知人を見舞ったとき、ホテルオークラ「すっぽんのコンソメ」1缶だけを、まるで缶コーヒーのように握りしめてポイっと渡す、なんてことが昔は許されたんです。
今は、もうダメ。オトナだから。
しかたなく、ホテルオークラ「すっぽんスープ」2人前・瓶入りを2つセットにして渡してんですよ。

って、なんでかいつも、すっぽんなんですけど。

いっそのこと、もっとドーンと老けちゃえばいい。そうなりゃ「年甲斐もなく」=「若々しい」なんて都合のいい解釈で、しらばっくれていられます。
でも、そこへ行きつくには、まだあと20年くらいある。
と思います。
たぶん。

―――ということで。
新居のお披露目会に呼ばれたときなんかもねぇ、ふざけた手土産では済まされなくなりました。ちょいとフォーマルな手土産。先方が食事を用意してくれてる場合が多いので、こちらはたいがいワイン持参です。新居祝いを兼ね、ちょっと気張ったヤツをワイン専門ショップでセレクトしていくわけですよ。

 

ヨーコか信子か、あげまんのシャンパーニュ。

でも、見舞いにすっぽんスープを配り続けるような私が、です。王道まっしぐらなワインに手を伸ばすわけがない。

まずは、相手に失礼のないシャンパーニュにしよう、と決めるまではいい。
次。
どうするか。
会話が途切れたときの予防策として、軽いネタも仕込んでおきたいわけで、シャンパーニュ・パニエ「エジェリ・ド・パニエ」あたりで手を打ちますかな。

「エジェリ」という名は、ローマ神話に登場するニンフ、エゲリアに由来。なんでも、政治家や芸術家の男性にクリエイティブな影響を与える女性のことを指すんだそうです。
サルバドール・ダリにとってのガラ・エリュアール。
ジョン・レノンにとってのオノ・ヨーコ。
それが、エジェリ。

でもこれって、げすな表現すりゃ、ようは“あげまん”じゃ?
……と、この一瞬で、オノ・ヨーコが宮本信子に変わっちゃう不思議。

ま、親しい友人なら、
「今日は、あげまんのシャンパン持ってきたよー」
「なんじゃそりゃっ」
てな掛け合いも許されましょう。
なんてふざけてしまったところで、12世紀の採石場跡でじっくり熟成させた「エジェリ」の味はホンモノ。あげまんという言葉のインパクトを凌駕するほどですので、ご安心を。

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「すっぽんスープ」2人前300g、税込み1995円。ホテルオークラ東京「シェフズ・ガーデン」にて1日10本限定発売。

「エジェリ」は、某大手香水メーカーのブランド担当者が名付け親。ミステリアスなネーミングが、実は味覚の固定観念も破壊してくれると評判は上々だ。パニエの最高級シリーズとして白「Egerie de Pannier Extra Brut 1998」とロゼ「Egerie de Pannier Rose de Saignee」の2種がリリース。(ディス・エクスポール ジャポン 03-5212-3621)