島下泰久の世界の車道から – 今週はコレに乗った - 2010年2月7日~2月13日編パート1 『スバル インプレッサR205』『ボルボC30』など。

(2010.04.13)

2月には毎年恒例でJAIA(日本自動車輸入組合)合同試乗会が開催される。インポーターが一堂に介したこのプレス向け試乗会、乗り逃していたクルマに乗っておける貴重な場なのだが、取材&撮影も込みになると凄まじく忙しい1日となる。なにしろ人気車は1枠45分の間に撮影と試乗を行なわなければならず、それが丸1日続くのだ。おかげでこの週も、更新ペースがガクッと鈍るほどの台数に乗るはめに……いやいや、乗ることができて嬉しかった。

今回は2010年2月7日〜2月13日編パート1です。
 

スバル インプレッサR205 2月8〜9日 都内近郊

スバルの武闘派系スポーツマシンのインプレッサWRXをベースに、WRC(世界ラリー選手権)などでもお馴染みのスバル直系チューナー、STIが手を入れた限定車。武闘派+STIの組み合わせは相当ハードな1台を想像するが、実際はまるで正反対で、元々の高い性能に、それこそヨーロッパのプレミアムカーのようなしっとりとした乗り心地や懐深い走行性能をブレンドした、素晴らしく上質なタッチのクルマに仕上がっている。

考えてみればラリーの舞台は公道。つまり世界の道を知り尽くした人がつくっているんだから、単にハードなだけのクルマになっていないのも納得できる。ちなみに価格は473万5500円で、ベース車のざっと100万円増し。4月25日までの限定販売だが、もう残っていないかも?

ボルボC30 2月10日 大磯

個性的なリアビューで憎からず思っていたC30がフェイスリフトを受けて、より強い目力をもった顔つきを得た。ボディやホイール、内装色の組み合わせはポップなものがアレコレ用意されて、ますます独自のキャラクターが際立った。

関心させられるのが穏やかな走りっぷりだ。こちらが1操作すれば1、5操作すれば5、正確にクルマの挙動に再現してくれる様は、朴訥だけど誠実で、付き合っていてとても気持ちが良い。派手ではないけれど、味のあるクルマだ。

いま乗っているミニの次、一体何に乗ろう? なんて思っている方に是非見てみてほしい1台。デザインも走りも、いかにも北欧モノらしいこの感じは、あるいは男性より女性の方が、親しみがわきやすいのかも。

向こうにあるのは同じボルボのV70ノルディック。出た頃は高いというイメージのあったV70も、400万円台中盤で狙えるようになって、じわり人気上昇中とのことだ。

 
フィアット500C 2月10日 大磯

愛らしい姿で人気のフィアット500=チンクェチェントに追加されたキャンバストップルーフ仕様。昔のようにくるくると巻き上げなくても、オープン/クローズはワンタッチでオーケーだ。

ルーフを閉めていても何だかバタバタするのはご愛嬌。開けた状態ではご覧の通りリアウインドウがほとんど塞がってしまうが、このクルマでルーフを開けてまで飛ばそうって人は居ないよね? ということで、問題はナシとしよう。

プジョー207style 2月10日 大磯

売れに売れた前身の206に較べて、顔が可愛くなくなったとか、値段が高くなったなどという理由で苦戦を強いられていたプジョー207。昨年秋のフェイスリフトで大きく開いていた口がちょっとすぼまり、価格も200万円切りの値頃感あるモデル、Styleが出てきたことで、人気が盛り返してきているという。

装備は豪華じゃないけれど、必要なものは揃っている。大体パリで走っている207なんて、どれもベーシックな仕様ばかりなのだ。チープシックを地で行くこのStyleこそ本命という気がする。フランス車らしい、飛ばすほどにしなやかで包み込むような乗り心地は十分に味わえる。

アウディTT RS

プジョーの後ろに小さく写っているのはアウディTTをベースに、アウディのスペシャルモデルを手掛ける“クワトロ社”が仕立てたRS。よりスポーティなTTだ。エンジンは昔のアウディを知る人には懐かしいに違いない直列5気筒のターボで、250psを発生。しかも6速マニュアルギアボックスしか用意されないという硬派な1台である。

速いのはもちろん速い。けれどエンジンにしてもフットワークにしても、何というか味がある。あるいはタメが効いている。アウディはどのモデルも、こんな風に飛び切りのモデルほど味が濃い。但し価格は835万円、ベース車の444万円のほぼ倍にもなるのだから、そうでなくちゃ困る。

フォルクスワーゲン ティグアンR-line 2月10日 大磯

背が高く4輪駆動でどこへでも気兼ね無く乗っていけて、しかもワゴンのように室内の使い勝手にも優れるSUV=スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルの中でも、もっとも手頃な1台であるティグアン。しかし世の中には『もっとお金を出したい!』という人も居るということで、主に内外装のドレスアップを施したのが、このR-lineだ。要するにBMW X3辺りを検討中の人にも選択肢に入れてもらおうというわけである。

しかし乗ってみると、これが思いのほかイイ感じ。持ち前のフットワークの良さに磨きがかかって、スポーティに走らせられる。単にカタくて乗り心地が悪いだけ、なんてものにはなっていない。とは言え、エントリーモデルに較べて121万円分イイ、というほどではないけれど。

これだけ? いやいや、この日はまだまだ他にもたくさん乗っていて……。とても一度には書き切れないので、今回は取り敢えずここまで。