黒岩卓の”人生は芋づる式” 『銀座-新潟フレンドシッププロジェクト』から『トキ×ミツバチ応援プロジェクト』へ

(2010.02.16)

大変ご無沙汰してしまいました。
本来、伝えたいことはあっても、文章を書くのが苦手であるのに加え、2年ぶりの営業復帰。全く、自分の文章を精神的なゆとりを持てずに今に至ってしまいました。せっかくこの場を提供していただいた『WEBダカーポ』の皆さん、ごめんなさい。

ということで、前回から今まで、何事もなかったわけではなく、ぼちぼちとこのページに復帰したいと思います。(話がさかのぼってしまってすみません)

 
その後の『銀座-新潟フレンドシッププロジェクト』……『トキ×ミツバチ応援プロジェクト』へ

前回のつづき……
銀座5丁目、歌舞伎座のほぼはす向かいにある日本酒の老舗『白鶴酒造』の東京支社。その屋上で新潟生まれ、銀座産の黒埼茶豆はすくすくと育ちました。(本当はみなさんは、はらはらドキドキだったようですが)

通常は、伸びすぎる茎を途中でカットしないとしっかりした豆がつかないそうですが、今年は多少の天候不順が幸いして、高さ30cmくらいのちょうどよいころ合いの成長で、ちゃんとした茶豆が出来上がりました。

白坂さん他、銀座のママさんたちも毎週気にかけて水やりに来てくれていたそうで、世のサラリーマンよりもよほどの幸せものです。

8月7日、収穫された、たくさんの茶豆はクラブ『稲葉』でお客さまに振る舞われ、ホテル西洋銀座では茶豆のマカロンに変身し、立派な商品となり、あっという間に消費されました。少しだけ、わが子を世に送り出す心境を感じました。

 

再び新潟を訪ねる

9月27日~29日、銀座ミツバチプロジェクトの田中さんや高安さん達と一緒に、再び新潟を訪ねました。新潟観光コンベンション協会の横山さんのお招きです。
目的は、信濃川河畔でのイベント参加、そして、村上のどぶろく製造所見学、そして、2回目となるトキの放鳥見学です。この旅で私がわかったことをいくつか。

○棚田の米はおいしい……WHY?
北国の米は豊富で新鮮な雪解け水に支えられていること、そして、その水は山の上に行けばいくほど『キレイ』であること。山の斜面に段々と横たわる棚田の水は『キレイ』で、その米も当然のごとくおいしくなるのだと。同じ地域でも平野部と棚田の米は別ものなのだと棚田を支える生産者は訴えているのです。
聞けばナルホド……です。

○山が死んでいく……里に降りてきた動物は山の暮らしを捨ててしまう。
 村上の山奥の集落では猿が悪さをしています。猿は人を見て畑を荒らすそうです。男が現れると、山へ退散しますが、おばあさんが追い払おうとしても悠々と畑の作物を物色するそうです。猿はもともと山奥の自然の中で生きていました。しかし、戦後の植林政策の結果できた杉の森はブナやナラなどの広葉樹と異なり、手入れをしないを地面に光を通さず、森の生き物たちを生きられなくしてしまします。
 見かけは緑の山でもその実は死の山になりかけているのです。それが動物と人間の境界を壊してしまったわけです。

そして、一度里山のえさを知った動物たちは山に帰ることをしなくなります。この取り返しのつかない現実はすべて地域で暮らす人たちの負担となってますます、日本の農業を苦しめることになって行くのです。
きっとこれが、『生物多様性』と言われている問題のひとつの現実なのだと思います。

 
農家さまざま……専業農家と兼業農家

米どころ新潟の農家にも問題が潜んでいました。
新潟の広大な平野に広がる田んぼ。それらの所有権は実はかなり細かく区切られています。その中で、専業農家が占める割合は新潟でさえも非常に少なくなっているそうです。専業農家の皆さんは農業一本で生きていくために真剣にその未来を考えています。その一つの取組が安全でおいしい有機栽培への回帰です。

ところが、自分の田んぼが有機栽培をしていても、隣で農薬をまかれるとその影響は直接自分の田んぼに及んで来ます。そして、それを制限する制度はありません。他の収入源を持つ兼業農家とは農業に対する取組姿勢に大きなギャップが存在することが多く、専業と兼業の田んぼが入り乱れる水田には、新しい取り組みを進めにくい目に見えない壁があるのです。きっとそれは様々な問題の一つの断面に過ぎず、日本の農業にはまだまだ沢山の暗闇が潜んでいることを感じました。……・ちょっと長くなったのでこの続きはまた改めて。