向後千里のArt Life ブルースはお好き~ 相島一之&THE BLUES JUMPERS

(2011.03.31)

2011.3.11.この日、何気ない日々の生活のありがたさを思い知ることとなった。
瞬間にしてメール、電話が遮断され、東京の街は徒歩で帰宅する長い人の列と車の赤いテールランプでどこも埋め尽くされた。そして、その後伝わってきた福島、宮城の映像は今回の地震や津波の凄まじさを伝えるに余りあるもので、ただただ涙があふれるばかり。

そうした状況で、多くの催しが中止される中、『相島一之&THE BLUES JUMPERS』のライブも中止を検討したという。しかし、こういう時だからこそ、集まれる人が集まり、義援金を募ろう。そういう彼の呼びかけに誘われ、21日の夜、下北沢のライブハウスに私も駆け付けた。
 
俳優である彼がバンド活動を始めたのは約1年前。以前からTVや芝居以外にも何か、自由に語れる場を持ちたいと話していた彼が一番好きな音楽活動を始めたのは自然なことだったろう。思いが詰まった音やトークは彼らしくなかなかいいと友人達から聞いていた。そんな彼のライブをこうしたタイミングで聴くことになろうとは思いもしていなかったが、彼の詩と力強い歌声にちょっとしびれた。そしてブルースハープの奏でる物悲しい音が心にしみた。

全ての演奏が終わった時、アンコールの拍手が響いた。
気がついたら私も『カタツムリのジャブ』と叫んでいた。
「立ちあがれないぐらいボロボロになったとしても、あきらめてはいけない~(中略) 葉っぱにしがみついて カタツムリのジャブを打ち続けよう~」
渾身の力を込めたライブ。

彼のトークで笑いを忘れていた心にポッと光がともった。阪神淡路大震災の時にも多くのミュージシャンがエールを送りに行ったことが思い出され、音の調べに乗せた言葉の力を人の力に。そんな思いが心に響いた。
こういう時だからこそ、笑って頑張って、毎日を送りたいと思う。

 

サンシャインボーイズ出身の彼が、昔語りに歌う『下北沢』のほのぼのとしたブルースとは好対照の新曲『生き残れ』は震災のために作った歌ではないけれど、しんどい時代にエールを送る歌だと語っていた。