新岡淳のトラディショナル・コスチューム きものを着ることで出来ること

(2010.01.01)

私はきものに携わって15年が経ちます。その間「きものの着方を廉価で習う」をテーマに和装に興味のある方へポータルサイトという立ち位置で仕事を行って来ました。その経験を元に、きものを着るとこんなに違う と皆さんが元気になるお話を『トラディショナル・コスチューム』と題して記していきます。

きものを着ると良いことがたくさん。
こんな話を何度も聞きました。それは、きもの販売会の会場だったり、結婚式の式場の着付け室だったり と。
しかし、具体的にきものを着て良いことが何かを話して下さった方に今までお会いしたことがなかったのです。
そんな私の経験から、私なりに良いこと(じゃないかな?)を紹介してみます。

きものを着ることで出来ること を考えだして、15年経ちます。
そしてまだまだ考え続けなければならない命題となっています。
そもそものきっかけは、斜陽化しつつあった、呉服業界にこそ何か新しい発見があるのではないか と考えたことでした。またそれまでは単価と販売量で各地の販売元に対して商品を売り込んでいた私が、対面販売で商品に納得して購入されるきもの販売に言いしれぬ憧憬があったことが根底にあったと今では考えています。

そして、きものを売ることというよりも、きものを人に勧めることで生計を立て始めてから過ぎ去った時間のなかで、色々な場所に顔を出し、色々な生産者にお会いして、きものを着ることで出来ることの ひとつが概念として纏まりつつあります。

で、
きものを着て良いこと を簡単に言ってしまえば、自己実現が出来ると言うことです。

人間はその本能から来る欲求(食欲だったり、性欲、睡眠欲など)が満たされた後には社会的欲求が出てくるものだと心理学の講義で聞きました。社会的欲求(良い地位につくことやお金持ちになることなど)のなかで自己実現が最高位にあたる(マズローの欲求階層より)そうで、あるシーンの中で、日本ではきものを着ることでそれが可能になると私は思うのです。

それは男性、女性を問わず、最高位のオシャレがきものにはあるからです。(異論は許さない)
だって、フランスの高名なブランドドレス、イタリアの著名なデザイナースーツ等で出席したパーティでも、きものを着た方にはどうしても勝てない と思いません? 

いや、もちろん自己実現などしたくない方は、どうぞシャ○ルのスーツでも……。
しかし、オシャレという観点から、色々な服装で集った場での主役を担うのは、きものを着たあなた だと私は思うのです。

それがオシャレを楽しみたい と考えている人に、簡単に自己実現が可能なのだと、きものを着ると出来ること のひとつとして纏まりつつある。もちろん私の勝手な考えの中でですが。

きものを売るより勧めること。
私の事業は受け継がれた「和」と呼ばれる多岐に渡る文化を振興していくことと、文化を悦ぶ事業にすること と心得ています。
きもの屋もその一部。きもの教室も。
その辺はまた改めて記します。