加納忠幸のワイン飲もうよ 国産ワインコンクール審査会を取材!

(2010.07.27)

7月23日に国産ワインコンクール審査会の取材に行ってきました。

私が審査会を自分の目で見たかったのは、
審査の方法がどれだけ厳正なものか、
自分の目で確認したかったから。

と言っても、審査会そのものは一般には非公開なので、
まずは、山梨県庁内にある
国産ワインコンクール実行委員会に電話し、取材の申し込み。

私が国産ワインコンクールの公開テイスティングに
第2回目から参加していることや、
Webダカーポにコラムを書いていることを説明、
幸いにして取材の許可を得ることができました。

送られてきた資料を見ると、21日から23日まで、
取材できる時間は結構あるのですが、
写真撮影が許されるのは21日の一般審査が40分、
23日の本審査が30分のみ。

やはり、本審査を見たかったので
23日9:30からの撮影許可時間に行くことに決めました。
会場は甲府富士屋ホテル。

さて当日、車に乗ってナビを設定してみると、
予想到着時間が9:30となっておりびっくり。
いつも勝沼へ出かける時間から考え、
ちょっと先だと思っていたのが、甲府は遠かった。

それでもウイークデーなので高速に乗ってからは順調で、
途中ちょっと事故渋滞はあったものの、
会場の甲府富士屋ホテルには9:10頃到着。
何とか間に合いました。

受付で「取材」と書かれたカードをもらって首に掛けます。
会場の外で待っていると、審査員の方々が、
次々と会場の中へ入っていきます。

審査員の方々は以下の24名。

 ジル・ド・ルベル
   ボルドー大学醸造学部教授
 デニス・ガスティン
   ワインジャーナリスト
 小濱元
   東京国税局課税第二部鑑定官室主任鑑定官
 後藤奈美
   酒類総合研究所醸造技術基盤研究部門副部門長
 柳田藤寿
   山梨大学ワイン科学研究センターセンター長
 藤野勝久
   日本ワイナリー協会参与
 小飼一至
   日本ソムリエ協会会長
 樋川芳仁
   山梨県工業技術センター支所ワインセンター支所長
 阿部誠
   (有)M.I.A. 代表取締役
 児島速人
   米国ワインエデュケーター協会理事・日本支部長・アジア統括
 田辺由美
   ワインアンドワインカルチャー代表取締役
 松本信彦
   葡萄酒技術研究会エノログ部会役員
 内藤彰彦
   道産ワイン懇談会代表
   池田町ブドウ・ブドウ酒研究所製造課長
 河西由喜
   道産ワイン懇談会代表
   北海道ワイン品質管理室室長
 澁谷昭
   道産ワイン懇談会推薦 消費者代表
   ノボテル札幌 シェフソムリエ
 大沼寿洋
   山形県ワイン酒造組合代表
   月山トラヤワイナリー専務取締役
 大浦宏夫
   山形県ワイン酒造組合代表
   大浦ぶどう酒
 横山広信
   山形県ワイン酒造組合推薦 消費者代表
   小島洋酒店山形営業所シェフソムリエ
 菊池敬
   長野県ワイン協会代表
   林農園専務取締役
 戸川英夫
   長野県ワイン協会代表
   安曇野ワイナリー 常務取締役工場長
 北村秀雄
   長野県ワイン協会推薦 消費者代表
   北村酒店代表取締役
 大川栄一
   山梨県ワイン酒造組合代表
   サントリー酒類 登美の丘ワイナリー所長
 有賀雄二
   山梨県ワイン酒造組合代表
   勝沼醸造代表取締役
 長澤宏
   山梨県ワイン酒造組合推薦 消費者代表
   ながさわ代表取締役

歳を取った方が多いのは確かですが、
現在選びうる、審査に公平性を持つことができる 
妥当な人選なのではないでしょうか。

さて、いよいよ9:30になり、会場へ入ることが許されます。

大きな部屋の中はパーティションで4つに仕切られ、
審査員の方々は6人ずつ4つのグループに分かれて
審査をされていました。
奥からA、B、C、Dグループです。

Aのグループは既に担当の審査が終了したのか、
審査最終日の23日にはB、C、Dの3つのグループのみが
審査をしていました。

また、面白く感じたことは、
審査員が全員白衣を着ていること。
私はワインコンクールの審査を見るのが初めてなのでわかりませんが、
ワインコンクールではこれが常識なのでしょうか。

B組。北米系品種白の審査です。
奥に中央葡萄酒の三澤彩奈さんが見えますか、
今回は通訳が役目。

C組。審査員名簿に名前が載っていない、
丸藤葡萄酒の大村さんがいらっしゃりなぜなのかと思っていましたが、
後から写した写真を良く調べてみると、
実行委員会・大村春夫委員と名札に書いてあります。

確かに24名の審査員が4つのグループに分かれれば
1グループあたり6名。
ところがどのグループにも7名の方がいらっしゃるのは、
1名が実行委員であることがようやくわかりました。

D組。こちらはロゼの審査です。

審査は、一定時間試飲を進めた後、
コの字型の奥の席、実行委員の隣に座っている審査員が仕切り役となり、
それぞれのワインの点数について話し合って決めます。

ただ、具体的にどのようにして決めるかの説明がなかったので、
細かい審査の運営方法については、
見ているだけでは良くわかりませんでした。

それぞれの審査員の得点の平均点が、

   金賞  17.5点以上
   銀賞  15.5点以上
   銅賞  13.5点以上
   奨励賞 12点以上

で、賞が決定します。

こちらはワインの準備の様子。
7名分のグラスにスタッフが1本ずつワインを注いでいきます。
一度に審査するのは最多で10本までのようです。

間違えが起きないよう、
審査員のどの位置にグラスを置くかが図示されています。

そしてスタッフがこのように審査員にグラスを配ります。

審査中のワイン。
もし審査員が試飲ワインの継ぎ足しを要求した場合、
スタッフが、審査員からグラスを預かり継ぎ足しをします。
審査員がボトルに触れることはありません。

ボトルの置いてある位置と、審査員の位置関係。
審査員はボトルを見ることはできますが、
ボトルが遠いので、
ボトルを見てそのワインが何かを判断するのは
困難だと思います。

私がここへ行くまで一番気になっていたのはこの点。
プロの審査員がボトルを見れば、
ある程度そのワインが何か絞込みができるのはと思っていましたが、
このように審査員がボトルに触れる機会はないので、
ほとんどそれは不可能だと言うことがわかりました。

許された取材時間が30分と短く、
また何も説明がなかったので詳しいことまではわかりませんが、
国産ワインコンクールの審査方法については
これ以上できないのではないかと思えるほど
厳正だと言う印象でした。

今年のコンクールは出品ワインが
690本、104ワイナリー、25道府県と過去最高。
(昨年は680本、101ワイナリー、22道府県)

入賞ワインが発表される、
8月3日が楽しみです。
国産ワインコンクール・ホームページで、17:00頃発表となるそうですので、
皆さんもチェックしてみませんか。