島下泰久の世界の車道から プロローグ ~あいさつに代えて~

(2010.01.22)

はじめまして、島下泰久と申します。
職業はモータージャーナリストです。
簡単に言えば、自動車そのものや自動車に関するアレコレについて論じて書いて喋って…という日々を送っています。

この自動車を取り巻く状況、最近ではあまり芳しいものではありません。
地球環境問題、交通事故、世界経済、格差社会、雇用問題、若者文化…何を語る際にも常に自動車は悪者として登場している。特に最近、そんな傾向が強いような気はしませんか?

ですが見方を変えれば、自動車はそれほどまでに私たちの生活全般に深く深く入り込んでいると言うこともできます。つまり自動車は、付き合い方次第で私たちの普段の生活を、もっともっとシアワセにしてくれるに違いないのです。

ここでは、自動車のそんな側面をいま一度、掘り下げてみたいと思います。
とは言っても、多くの自動車メディアが陥ってしまっているように専門的な知識が無いと何がなにやら…というものにするつもりはありません。

「こんなクルマに乗っていたら毎日が楽しくなりそうだな。」
「クルマって、そんな楽しみ方もあるんだ?」
「私が乗っているこのクルマって実は結構スゴいんだ!」

そんなことを思ってもらえるコラムにしたいなと思っています。

タイトルは「世界の車道から」。
単なるダジャレですが、強引に意味付けするならば、実は自動車への興味がこれほど薄れている…と言われているのって、世界でもここ日本だけなんです。

先に書いたように、日本の社会は自動車に対する見方に、どうも厳しいところがあります。また、税金や高速道路料金等々、所有して走らせるためのコストがずば抜けて高いのも事実です。
さらに言えば日本のクルマは楽しくないないものばかりだ、とも言えるかもしれませんね。世界に名だたる自動車(製造)大国なのに!

私、取材のため毎年、10数回ほど海外に出掛けて、そして色々な土地で実際にステアリングを握り、人に話を聞き、街や人やクルマを観察してきました。ヨーロッパにアメリカ、果ては極寒のアイスランドや南アフリカでも…。
そうして得た視点も絡めて、楽しい自動車との生活について、時にミーハーに、時に厳しく書いていけたら。そんな風に考えています。

 
ゆるりとおつきあいいただければと思います。
 

ちょっと古いですが、一昨年に訪れた南アフリカ。ジャガーXKで存分に走り回りました。景色は素晴らしく路面は滑らか。交通量も少なく、クルマを走らせるには最高の土地でした。
なぜかノルウェーはオスロでアメリカ車。しかもハードロックカフェの前で生演奏。この時に乗ったダッジ・ジャーニーは商標の関係で日本ではJCの名で売られています。
VWゴルフの国際試乗会で訪れた2度目のアイスランドの港。本来、秋は良い季節ですが、生憎の天気で残念でした。しかも帰国直後、何とアイスランドは金融破綻…。
大事に乗っている14年前のポルシェ911。快適装備は何もありませんが、軽くてパワフル。その楽しさには、ふと「自動車の進化って何だっけ?」と思ったり……。