麗娜が見る、日本のファッション 私が研究している、現代中国ファッションについて。

(2009.02.06)

皆さんは楽しいお正月をお過ごしになりましたでしょうか。日本ではもう節分を迎えましたが、中国では先週が旧正月の真最中でした。今回のコラムでは、私が現在日本の大学院で研究している、現代中国のファッションについてご紹介させていただきます。

いつの時代においても、若者はこれからの時代を創っていく主役であることは間違いないと思います。変化が激しい現代社会の中で、自分がどういう人間なのかを示すための要素として、ファッションは大きなウェイトを占めています。若者はファッションを通して、自分の個性や性格などを表現しますが、これは中国においても同じことです。

現代の中国を語る時、ここ数年来、「80後」という言葉が様々な分野で注目されています。「80後」(中国語の発音から、バーリンホーと読みます)とは、1980年から1989年までに生まれた世代を表すキーワードで、現在ちょうど20代に当たる若者たちを指しています。「80後」はそれ以前の世代とは全く異なる特徴を持っています。とりわけ全員が一人っ子であるという世界に類を見ない特徴を備え、現代中国の新人類と言われ若者の代名詞ともなっています。私自身も、まさにこのバーリンホーの一人です。

今日の中国の若者ファッションには、外国からの影響が多分に見られます。特に「日韓流」の影響を大きく受けています。欧米より、隣国の日本と韓国からの影響を受け易いのだと思います。それは、同じアジアなので気候や環境なども似ているのと、体形も近く、古い時代から文化の起源も共通しているからです。中国の若者は、ちょっと見た感じでは日本の若者とあまり区別がなくなってきたかもしれませんが、これまでの中国人にはなかったパーソナリティと個性を持ち、特殊な世代として捉えられています。

さてこれから、チャイナドレスのことについてご説明したいと思います。チャイナドレスと聞いて皆さんが思い浮かべるのは、おそらく現代中国のチャイナドレスだと思いますが、元々は清の時代における満州族の衣装でした。戦後1960年代末頃から、だんだん着られなくなっていましたが、それから40年以上過ぎて2000年に上映された映画『花様年華』をきっかけに、再びブームとなりました。この映画の中で主人公の女性が60年代の上流社会で流行したチャイナドレスを着た姿はとても印象的なものでした。このブーム以降、今日チャイナドレスは中国ファッションのシンボルともなっています。そのバリエーションも多彩となり、パンツルックと合わせてのコーディネイトなども楽しめるようになりました。

基本的なチャイナドレスですが、ドレスに描かれたデザインは手書きのもので、中国の伝統的な絵画をモチーフとしています。
モーターショー用に、チャイナドレスのポイントをアレンジし、新しくデザインされたドレスです。

国際的に有名なデザイナーにも、チャイナドレスのポイントを取り入れている作品の例がたくさん見られます。こうしたことは、中国の若者たちがファッションにおいても伝統的なものを見直し始めた兆しだと思います。2008年は中国年と言われていましたが、とりわけ北京オリンピックの開会式が象徴していたように、これからは伝統文化への回帰といった要素がますます強くなっていくように思います。女性の皆さんは、機会がありましたら是非一度、チャイナドレスを試してみてくださいね。

オリジナルのデザインで、袖に見えるのはチャイナドレスにもよく使われる、中国の伝統的なボタンです。
現在若者たちに人気の結婚写真集でも、チャイナドレスを着ている姿がよく見られます。