池田美樹のLOVE♥ CITY WALK 週末、ワークショップでボサノヴァを歌ってきた。

(2008.10.14)
 週末、ワークショップでボサノヴァを歌ってきた。

 もう5年半ほどゴスペルを歌っている。日本全国、街頭から5000人ホールまで歌ってきたが、『anan』には「男に引かれる趣味」と書かれていた。これを見つけたときは、がっくりきたなあ。男性諸氏、ゴスペルを歌う女はダメですか?

 そんな私の密かな望みは、いつか原語でボサノヴァを歌うこと。なにしろ、ゴスペルより長いことボサノヴァを聴いてきたのだ。独学でブラジルポルトガル語を勉強してもいる。ちっとも成果は上がらないけれど。

 ブラジルで産まれたボサノヴァは、今年で生誕50周年。世界各地でさまざまなイベントが開かれているが、この週末、「BOSSA2008 青山でボサノヴァ」という催しに参加してきた。

 これは、日本とブラジルの交流100周年を記念し、ブラジル大使館などが実行委員となって開かれた、東京・外苑前一帯でのフリーイベント。10/10(金)から13(日)までの4日間、あちこちでフリーライブやトークショー、ワークショップが開かれ、ライブの様子はストリーミング配信された。

 私が「参加してきた」と書いたのにはわけがある。これらのライブを見に行くだけでなく、私自身も歌ってきたからだ。といっても、もちろんライブを行ったのではなく、「ポルトガル語で歌うボサノヴァ」というワークショップに参加してきたのだ。
 ワークショップは事前に申し込み、抽選で当たった人が参加できる仕組み。幸運にも当選した私は、ワクワクしながらその日を待った。

 
原宿教会で行われたChie Umezawaのフリーライブ。

 10月13日、日曜日。よく晴れた昼下がり、公式ショップの一角に作られた小さなスペースでワークショップは始まった。参加人数は約25名。女性から男性まで、年代も様々な人たちが集っている。
 講師は、小野リサらへの発音指導も行っているサンパウロ出身のアーティスト、ヴィウマ・ジ・オリヴェイラ女史。まずはブラジルポルトガル語の発音のコツを丁寧に教えてくれる。ヴィウマさんの後について「アー」とか「アン」とか「スィ」「シ」「ジ」など発音を練習していく。私の隣の年配の男性がとても元気がいい。

 次は歌詞の発音の練習だ。今日の教材はボサノヴァでおそらく最も有名な歌、『イパネマの娘』。リズムに合わせて歌詞を発音していると、胸が高鳴ってきた。ああ、私はいま、ブラジルポルトガル語を発音しているのだなあ、と。独学では得られない快感だ。

 そして、いよいよ皆で音程をつけて歌うことになった。おなじみのあのメロディに乗せて私は今、歌っている。なんと気持ちのいいことだろう。伴奏はつかなかったけれど、参加者の耳の奥では聞き慣れたギターの音が鳴っているに違いない。そう思わせた。

 小さな雑誌の記事を見てネット検索し、たどりついた公式WEBで見つけたライブとワークショップ。申し込みのメールを書いていなければ参加することもなかっただろう。出会いと行動って、本当に大事だ。
 リーフレットに書いてあった「青山・神宮前に現れた小さなブラジル」を堪能した、うれしい週末だった。

4日間、このポスターが街のあちこちに貼られていた。
4日間、このポスターが街のあちこちに貼られていた。

 
会期中、オラクル青山センターの外壁に投影された、コルコバードの丘の上に立つ原寸大のキリスト像。

 
ワークショップで使われた教材は、オリヴェイラ女史の著書『すぐに歌えるボサノヴァ』から。カタカナがついているので読みやすい!