山本嬢の王道と邪道のはざまで case 5 : ヒトクセあるインドのガネーシャ祭り。
(2009.04.14)インドってのは悠久で刹那で、巨大で矮小で……ぐっちゃぐちゃ。日本の一般常識が通じないんで、かなり覚悟してても唖然とさせられるシーンが多いんですよね。あくまで、日本を基準とした話ではありますが。
ときどき、世界の海外旅行者を二分割するなら「旅行経験の回数」より「インド経験があるかないか」でジャッジするべき、なんて思ったりします。
さて、そんな混沌の国インドには神様もたくさんいるわけでして、代表的なのがゾウの神様、ガネーシャ(ガネーシュ)。最近は、関西弁のガネーシャが登場する自己啓発本『夢をかなえるゾウ』のおかげで、日本でも知名度がアップしてきているところです。
インド国内なら、どの町にもさまざまなデザインのゾウが祀られています。これは佐藤製薬のサトちゃん似。 |
祭りの前夜、ゾウの飾りつけを終えた場ではケーキが配られます。お味は、素朴な黒糖蒸しパンでした。 |
ガネーシャ祭りに向けて装飾グッズを露天販売。どこも同じアイテムを売っていて、各店ごとのオリジナリティはゼロ。 |
思い起こせば、“ゾウを祭る”という文化を初めて知ったのは1980年代後半、バブル絶頂期のディスコ「マハラジャ」でした。ダンスフロアでは真鍮色に輝くゾウの牙がミラーボールへ向けておっ勃っており、VIPルーム入口の両脇にはゾウが2匹パオ〜ン。
当時は「ゾウって商売の神様なんだよ」と教えてもらったっけ。インド人からは「性欲の神様でもあるけどね」と聞かされましたけど。
と、そのガネーシャをテーマにしたお祭りがヒンドゥー教徒の集まる町で行われていること、ご存じでしょうか? 中でもプネーのガネーシャ祭りは有名です。プネーはインド西海岸のムンバイに近い学園都市。毎年9月初め頃になると、町のあちこちにガネーシャが飾られ、その誕生を祝うわけです。
インド旅行中、たまたまプネーにたどり着いたのが祭り前夜でして、ちょこっと見学してみることに−−−。
お祭り初日、いよいよスタートか、と町へ繰り出すも、昼間は照りつける太陽が肌をチリチリ刺してくる。だもんで、より盛り上がるのは、やはり夜。
日が沈むとようやく、仕事を終えた人々や、この日のためにプネーへやってきたヒンドゥー教徒がメインストリートに。お馴染みガネーシャ像の前には、お布施のための行列が続きます。像の周りや建物はキレイに飾られて、カラフルな照明にスイッチON。その煌びやかさたるや、ちょっとしたエレクトリカル・パレード並みですよ。
昼間はこんな感じの建物も…… |
夜には、こうなります。 |
このガネーシャ祭り、実は国家が力を入れて盛り上げている国民行事なのでした。昔はプネーでも小規模だったのが、今や祭りの期間に15万人のヒンドゥー教徒が集まると言われています。
祭りの真っただ中にいると、ド派手な色彩、激しいシンバル音、人いきれ、むせかおる線香のおかげで、夢を見ているようなフワフワ気分。ヘンなヤクに手を出さなくとも、十分トリップできるかと。
まあ、ちょっとくらいヘロヘロになっても、あとは安いオートリキシャに乗ってホテルへラクラク帰還するだけだし。
……なーんて油断してると。
ホテルの入口付近で、リキシャ運転手の兄ちゃんと
「今日はお祭りだから、アナタ、特別料金で追加50ルピーなの」
「……最初に料金決めただろーが」
「こんなに遠いとは知らなかったの。決めた料金は少なすぎなの」
「旅行者の私より、この町の地理を知らないってか?」
「だって、ワタシ、今日は忙しい特別な日なの」
「それがどーした」
「アナタ、あと30ルピー支払うの!」
「やだ」
「なら、あと20ルピーなのー!アナタ、オカシイなのぉー!」
「オカシイのはオマエじゃ!もうバイバイじゃ!」
なんてバトルをするあたりが、やっぱりインド。
めんどくせーなー、もう。
アジャンタ・エローラ遺跡の帰りに寄るもよし。ムンバイからの1泊ツアーもよし。秋にはガネーシャ祭り見学をどうぞ。 |