仲原かおるのスローキャリアのすすめ YOU INSPIRE ME! 私をインスパイアしてくれたのは『世界一の美女の創りかた』のイネス・リグロン。

(2009.06.24)

キャリアも家庭も大事にしたい女性達も、いつも前向き&元気いっぱいってわけにはいきませんよね。たまには落ち込んだり、色々悩んだり。そんな時こそ、私達を励ましてくれる、誰かや何かが必要。素敵なお手本の言葉を、繰り返し読んだり聞いたりしたい。

せっかくコラムニストの中で唯一の通訳翻訳者なので、在日または来日中の有名外国人に英語でキャリアについてインタビューし、その中で覚えておきたい英語のフレーズも紹介する YOU INSPIRE ME!シリーズを不定期でアップしようと思います。

今回、私をインスパイアしてくれたのはイネス・リグロンさん

『世界一の美女の創りかた 』『世界一の美女の創りかた パート2』『ミス・ユニバース・ジャパン公式ガイド』やその他の書籍もあり、多くの女性誌などで取り上げられ、NHK・民放でも彼女を取材した番組があったのでご存知の方も多いと思いますが、ミス・ユニバース・ジャパンのナショナル・ディレクターを務めるパリ生まれ、モンペリエ育ちの女性です。

2006年ミス・ユニバース世界大会第2位の知花くららさんや、2007年にミス・ユニバース世界大会第1位となって注目された森理世さんををプロデュースした凄腕ディレクターのイネスさん。

先日2009ミス・ユニバース・ジャパンに宮坂絵美里さんが決定し今後の世界大会での活躍が期待されています。

受賞の瞬間イネスさんと今年のミス・ユニバース・ジャパンの宮坂絵美里さん。photo / jun sato 今年のミス・ユニバース・ジャパン、宮坂絵美里さん。 Ⓒ cassio

イネスさんは世界一の美女をプロデュースしているだけでなはなくて、自分の人生やキャリア構築に関しても凄腕プロデューサーだと思ったので、その秘密を伺いにイネスさんのご自宅にお邪魔しちゃいました!

TV番組とかでは「とてもキツイ人!」みたいな撮られ方をされていたけれど、現実の彼女は私を自宅に招き、コーヒーを自ら入れてくれて、インタビューが終わってからも、「私これから出かけるんだけど、良かったら帰り車で送りましょうか?」と聞いてくるような、とっても気さくで、優しい女性でした! 読者の皆さんにも私が素顔のイネスさんから受けた衝撃を感じていただけたら嬉しいです☆

閑静な住宅地に潜む建ったばかりのイネス邸はその外観といい、玄関といい、内装 装飾品 家具、照明器具、何から何まで、全てがスタイリッシュ!!!

お部屋の一つでは大きな鏡の前でミス・ユニバース・ジャパンを決める最終選考会の振付師さんが鏡に向かって踊っている最中。お部屋の床はファイナリスト達がウオーキングの練習ができるように特別な作りになっているのです。そしてリビングの端にはファイナリスト達がショーで使う靴がずらっと並んでいた。本宅の隣にゲストルームがあってファイナリスト達はそこでお泊り(合宿?!)する事もあるそう。イネスさんの家は、その空間全てがミス・ユニバース仕様になっているのでした。

そして、そこかしこに飾られた素敵なご家族の写真。カッコいいダンナサマとかわいい子供達、そしてなんだか若い男性モデルみたいな人の写真があると思ったら最初の結婚の時のお子さんだそう。イネスさんは小さいお子さんだけでなく、20代の息子さんもいらっしゃるのですね!

インタビューの為に颯爽とソファーに横たわったイネスさんに、まず、仕事について聞いてみました。

Do you enjoy what you do or not?
自分の仕事を楽しめてますか?

「人生で何度か仕事を変えた事があるわ。もっともっと楽しい人生にしたかったから。最初の仕事を辞めたのは、飽和状態だと感じたから。ルーティーンは嫌い。いつも同じ事をするなんてつまらないわ。自分のしている事を楽しめれば成功は後からついてくると思う。

最初の事業に成功して五年たった時に、この仕事に、もうこれ以上はあり得ないと感じたの。もう挑戦する事もない、このまま続けても残りの人生をずっと同じ事を繰り返していくだけだと感じたわ。だから事業を売却して新しい事を始めることにしたの。

それがミス・ユニバース・ジャパンの企画・選出をする今の仕事。
挑戦がなくなれば楽しみもなくなるわね。だからミス・ユニバースの仕事が大好きなの。人間を相手にしているから毎年沢山の女の子達と会えて、皆個性様々だし、色んなチャレンジがある。毎年違うテーマに沿って選考会をしているからクリエイティブにならざるを得ないもの。

アーティストのように常に創造していたいの。だから基本的に何かに縛られて働くのは好きじゃないわ。」

安定した収入なんて要らない。保障もいらない。5年後どうするかは私が決めるの。嫌ならやめるわ、と、ここまで迷いもなくスッパリ言える人が、この世界不況の中でも、いるんですねえ。楽しくないと思った瞬間やめる勇気と決断力そして次の仕事を作り出せる力がイネスたるゆえんなのだろうなあ、と感服しました。

イネスさんの言葉で印象的だったものを紹介します。英訳も併記するので参考にしてくださいね。

I never wait for anything.
何事においても待つなんて事はしないの。

これだと思ったら、まず飛び込んで、そこからどんどん積み上げていく感じかしら。事業はいつも5年のスパンで考えるようにしてるわ。5年経ったら、次の5年間どうするか考える。もういいと思ったら売却するし、もっと挑戦する価値のある事業だと思えたら継続して次のレベルに引き上げるように努力する。ミス・ユニバース・ジャパンの仕事も5年経ってもっと続けたいと思ったし、10年経った頃には日本人を世界一にしたいと計画したわ。そして、知花くららが世界第二位となり、森理世が世界一となり、私の目標も達成されたの!


My message to Japanese women is・・・You have to find what makes you happy.
日本女性へのメッセージは……「自分が好きな事を見つけなさい」ね。
 

もし宝石が好きなら、それに関する何かを始めてみること。宝石を売ってもいいし、輸入に関わってもいい、製作に関わってもいい、宝石に関わる事ならなんでもいいの。多くの人が周りの皆のいう事は良く聞くけど、自分の心の声には耳を傾けない。そうこうするうちに自分が好きでもない事を仕事にして、行き詰まってしまう。

Again, it’s never too late.
でも、遅すぎるなんて事はないわ!

If you work toward your passion, you’ll always be successful.
情熱の方向に向かって努力すれば、いつだって成功できるわ。

In anything you do, you always need at least one person who supports you.
何をするにしても、少なくとも一人、支えになってくれる誰かが必要よ。

そして、家庭を持ち、子供ができ、仕事を完全に辞め、主婦になって、それで満足幸せな人もいる。そういう人はそれでいいんじゃないかしら。でも、もしそうでないとしたら、それに対して全く罪悪感を感じる必要はないわ!だって、子供は15歳くらいになったら、「ほっといてくれ」と言い出すものよ。子供は、その時、罪悪感なんて全く感じていないのよ。思春期になったら、「母さんなんか嫌いだ」と反抗しだして、大人になったらなったで、彼女と住みたいからって引っ越してしまう。親に会いに来るのは、どうしてもそうしなくてはいけない時くらい。私には20代の息子もいるし、小さい子供もいるから分かるの。」

It’s not about how much time you spend with them but it’s about the quality of time you spend with them.

大事なのは何時間、子供にべったりだったかじゃなくて、どれくらい質の高い時間を子供達と過ごしたかよ。

私は子供を見てくれるお手伝いさんに来てもらっているわ。家のことは彼女に任せているの。私は子供達の一日の終わりに寝かしつける為、一緒にベットに入って、本を読んであげたり、スキンシップをとりながら今日の出来事を聞いてあげたりする。その30分間は絶対毎日一緒に過ごせるよう努力しているわ。そして週末や休暇には、私達夫婦の故郷であるハワイやフランスなど色々な国へ旅行に連れて行ったりするの。東京にばかりいるのではなくて、子供に色んな場所を見せてあげたい。昼間は仕事をして子供達の教育や色々な事に必要なお金を仕事でしっかり稼ぐの。ダブル・インカムである事は心身共に余裕のある暮らしの為にとても有効だと思うわ。

この子がいるから私は自分のキャリアを築けなかったと考えたり、子供にべったりで、常に後ろから指示ばかり出している親や、時計ばかり気にしてキリキリしている母親より、子供達も、元気なお母さんが好きなはず。生き生きと仕事をして、皆から尊敬されて、自分の人生を楽しんでいる母親の方が子供にいい影響を与えると思うの。それが私の考え方。

Show love to your kids.
子供達には常に愛されていると感じられるようにしてあげること。
抱きしめてあげて、密度の濃い時間を過ごしてね。

私のエネルギーの源?

I draw happiness from my work, I love what I do!
楽しい事をしてることよ! 仕事が大好きなの!!

I love seeing my Barbie Girls improve!
私のバービー達(ファイナリスト達)が成長していくのを目の当たりにするのが本当に楽しいの。
教えるのが大好きだし、彼女達の人生に何かをもたらす事ができたというのがとても嬉しいわ。それによって私の人生も豊かにできている気がする。

I want to give all girls an opportunity to feel good about themselves.
全ての女性に自信を持つ機会を与えたいわ。

でも私はファイナリスト達のトレーニングで忙しくて日本中の女性に教えたくても時間がないの。それに、ファイナリストになれる程の自信も自己演出の方法もまだ知らない人もいるでしょう。 でも、そういう人たちにも、素敵な自分になれる秘密を伝授する場所を作りたいと思っています。直接指導をするのは、私の教え子達のファイナリスト達。

テレビのCM撮影中のイネスさん。

私の原動力になっているのは、女の子達に教える事によって次世代に何かを伝えられると思うから。今日のようにインタビューをしてもらって、取り上げてもらえれば、多くの人に私の考え方が伝わると思う。将来母になるであろう、日本中の女の子達に影響を与えれば、将来生まれてくるであろう、その娘達も影響を受ける。

To me, a career is a way of exercising the muscle called your brain.
私にとってキャリアとは「脳」の筋トレみたいなもの。

若さを保つ為にもいいし、体の中のエンジンである脳を活性化させるのにいいわ。人は人生に目標を立てる事が必要だと思うの。キャリアは私に自尊心をくれる、自我の認識、自己讃美、必要なものを。

I was a GOMI girl.
ゴミ・ガールなんていうあだ名を付けられたこともあったの。

子供の頃私はとってもいじめられっこだったの。パリから転校してフランス南部に行ったのだけど、そこでパリ嫌いの地元の子供達から、もうこれでもかっていうくらいにいじめられた。子供だったし、とても傷ついたわ。そのせいでいつも「私はダメなんだ」という意識がどこかにあった。それを払拭したくて人一倍努力した。誰かに何かを証明したいというより自分自身に「私はできる、私の事をゴミ・ガールだと呼んだ彼らは間違ってる」っていうのを証明したかった。

I never cared about what other people think of me, but it’s very important what I think of myself.
他の人がどう思うかを気にした事はないけど、自分が自分をどう思うかはとっても大事。

彼らが間違ってるって自分に自分を証明したかった。あまりにもいじめられていたから、自分自身でも、もしかしたら私は彼らの言うように、「バカで、汚い……のかもしれない」と疑心暗鬼にさえなってた。

今ではフランスでもTVに良く出るから地元でも有名人になって、昔の知り合いたちもびっくりしてるわね。いじめっ子達を見返してやったわ!

いじめられたりすると自分がまるで価値のない人間のような気がして、悪い友達とつるんだり、どうしようもないボーイフレンドと付き合ってしまったりする。私の若い頃がいい例よ。でも、仕事がうまく行き始めて、赤ちゃんもできた私は自信がついた。元夫と離婚したのは自分に自信がついたから。キャリアは私に自信をくれたの!

離婚した後は本当に開放されて自由な気分だった。

日本でも、暴力的な夫、誰も手伝ってくれない子育て、義理親の介護、そういう事に悩んでいる女性もいるかもしれない。

You don’t have to do that. You don’t have to accept that. Have your life. You’re not a servant.
受け入れなければいいのよ。自分の人生を生きればいいの、召使じゃないんだから。

ファイナリスト達にも良く言って聞かせるの。

Listen, I started with nothing! I just worked hard so you can do that as well!
You just have to say that you want that too!
ゼロから始めた私のキャリア。ただ懸命に働いたそれだけ。あなたにだってできるはず。
私も成功したい!とまず願う事。

自分はできると信じる事。自分は成功を求める価値があると信じられる事。

2009ミス・ユニバース・ジャパン決定の瞬間。photo / jun sato

(仲原かおるのファッションチェックしながら)

そんなレギンスはいてるようじゃあ、渋谷ガールじゃないの!あなたは聡明で素敵な女性なんだから、もっと自分に相応しい格好をしなくちゃ!

お洋服を買う時の秘訣?

Forget that you’re you!
自分が自分だって事を忘れるのよ!

服を買いに行く時には誰か素敵な人に着せる素敵な服を買うんだと思って選んで。自分を別の自分に変身させるの。素敵にパッケージしてあげなくちゃ!

The great thing about being a woman is that you can be so many different people.
女性である事の素晴らしい点は、色んな自分になれる事なんだから。

カメレオンみたいにね。新しい自分を常に発見して、ハッピーカラーを身につけて楽観的に考えて、それが全ての女性への私からのメッセージ。他人からどう思われるかではなくて、自分が自分の事をどう思うかが大事。自分で自分をどれだけ大事にできるか、どれだけ自分を愛せるか。大事なのはそれよ。

Be your best friend.
自分自身の一番の友達でいること。

Eat well, sleep well, read what makes you strong and
positive. Have your own opinion and talk about it.
よく食べ、よく眠り、自分を強く前向きにしてくれるものを読んで、自分の意見を持ちそれについて話す事よ!

……ああ、怒涛のイネス・インタビューの全貌は語り尽くせません。ほっとくと、このまま本一冊分くらい書いちゃいそうなので、今日はとりあえずここまで。

どう? 皆さんポジティブになって頂けましたか?

次回もお楽しみにー☆