北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 8 - ちゃんと生きるための宗教心と、ファッションとしての宗教モチーフ。Nハリウッドをバカ買い!

(2009.05.21)

できることならば、ぼくは幻想をいだいていたい。
頭がロマンティックにできているのだ。こちとら東京は荒木町という飲み屋街で生まれ、四畳半一間で両親と暮らしたもんだから、ハイハイなどではいずりもすれば壁にぶち当たるセレブリティな暮らしゆえ、初めてのハイハイは四谷の迎賓館の芝生だったという帰国子女的生き方を強いられた。そのせいか(どのせいだ!)夢を主食に生きるような人間になってしまったのだ。

あぁ、吉永さゆりさんは今もおしっこをしないのだろうか? あぁ、初恋の人と付き合って、そのまま結婚したい。あぁ、女の人はみんなきちんと家に帰って、ピンクのカーテンで日記(鍵付きね♡)なんか書いていて欲しい。(←どうでもいいけど)

まあ、つまりは男とセックスばかりしていては欲しくないっていう訳ですよ。清く、正しく、美しくいて欲しい訳ですよ。

ぼくの前でおならしたって、鼻くそほじったっていいんだけれど、電車の中で化粧したり、まゆ毛抜いたり、鼻毛抜いたり(全部本当に見た!)して欲しくないなあ、と思っていたら、もっと強烈な”おっさん越え女”を目撃したのである。(フリ長げぇよな……)

ある日の夕方、といっても7時くらい。ぼくは副都心線に乗っていた。で、普通にビールでも飲みたいなぁ、と思ってキョロキョロしていたら、まぁ、グッドタイミング♡とばかりに目の前に缶ビールが! っておい、何でビールのホップフレーバー漂わせてんだよ! ホームレスのおっさんかよ! と長い髪にロックオン! ついでにサンダルにももひき……じゃねぇ、フリル付いたレギンスじゃないの!?  何、何、何が起こったの!?

片手に青年マンガ、片手に缶ビールしかも20代のレディ。どうなる!? ニッポン! どうする男ども!? ってどうもしないか。

とは言え、やはり宗教心のようなものは必要なんじゃないか? 常識とか、躾として。

ぼくは幼稚園と大学が何故か神道系が経営していたという育ちで、どうも宗教心というものに乏しい。だけれど、神道のおかげじゃないと思うけれど、
「お天道さまが見ている」
みたいな気持ちがあって、いくらなんでも長距離列車以外で缶ビールプシュッ! なパンクな生き方は迎賓館のハイハイが許してくれないのだ。

 

 

〈N・ハリウッド〉のデザイナー尾花大輔さんは面白い人で酒も強いようですが、やはり宗教心はある方だと思っています。

今季のテーマは”アーミッシュ”。キリスト教の中でもコアな方々のライフスタイルや生き方、またキルトなどをモチーフにして作り上げたストイックなコレクションでした。

気に入ったので、ショートパンツのスーツと白いシャツ、カーディガンをバカ買い! したのでしたとさ。東京ロマンチック北原書。

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