最近、想うこと。

マンガ『ど根性ガエル』の梅さんになりたい、と想う……秋（しみじみ）。

カップルを見ると、出前途中でありながら、「ニクいよ、ニクいよ！」
と愛するふたりにチャチャを入れ、そのままどんがらがっしゃ〜ん!!　と自転車を電信柱にぶつけ、おか持ちからお寿司散乱。

あの梅さんである。

忌野清志郎さんは「愛しあってるかい！」と言っては、我々を、愛ある世界へと誘った。

梅さんも、愛するふたりをうらやんだりせずに、熱いふたりを、その愛を……その愛のおこぼれにでも預かろうしていたのかもしれない。まあ、ただからかっているのかもしれないけれど。

だけれど、街行くカップルを眺めていると、何かこう、梅さんみたいに「ニクいよ」とか「熱いネ！」とか越えをかけてみたくなる秋。

ぼくの中にあるセンチメンタルとロマンチックが、若いふたりの甘酸っぱい瞬間を、もっとフォーリンラブ、させたくなるのだ。

愛そこすべて。

ジョン・レノンがイマジンするまでもなく愛こそすべて、でありたいと願うからこそ、梅さんになりたい……秋なのであるが……。

仲のよい編集Kが、こんな“愛こそすべて”をイマジンするぼくに、やたらと挑発的な一冊を作ったのである。

『お金持ちと結婚する方法』（芦澤多美著）

なんとキャッシュな一冊！　嘘はつくは、泣けばなんとかなると想ってるは、男を財布だと想っているは、裏切るは、揚句の果てには、いらなくなったらポイッ。

「だって、うざいし〜」

そんなキャッシュな女のための究極の一冊とも言えるこの本。読んでいると、“愛こそすべて”なオレは何度も、ボディのコットン（……いや腹わたね）がぐらぐらとぐりとぐら……じゃなくて、ハードボイルド。

オレの秋を返して！　と叫んでみてももう遅い。ハートは真冬に急降下。街のカップルの男に、
「あなたの年収は？」
と聞きまくるオレの心の中。キャッシュな女を見つめると、男のハートや、すばらしき性格やエロの方向性など飛び越えて、男＝年収というスカウターがピピピとターゲットオン！

「一千万円以上！　合格！」

と、なるわけだ。

哀しきロマンチスト、全男。

と思っていたのだが、ふと想うのも秋。

最近、我が輩の周りに、やたら離婚……リコン、リコーン、ピコーン、ピコーンで三分間。ウルトラマンは去って行くのだが、離婚も3分間に1組ぐらいありそうな勢い。

しかし、そこで想うのであった。センチメンタルなオレ45歳……秋。

愛すればこそ、離婚も深まり、愛すればこそドロも沼袋、西部新宿線……いや、あれよ愛のドロ沼ね。……愛って、意外とやっかい？　

結婚そのものを、ビジネスライクな男女の契約と捉えてみると、いいかも新米。

などと思うキャッシュなオレ。

そう言えば、オレがここ十年ほどで集めたデータによっても、
「別に好きでもないけど、ちょうどいいかなってカンジ♡」
「えっ？　好きだから結婚？　ないない。生活レベル、落したくないもん」

などという女子の声を聞くだに、その腐れ○○○にロケットパンチをおみまいしつつ、オレのハートはブレイクしたものさ。

が、逆も考えてみたのだ。

好きな人、思いっきり愛しちゃった人との結婚で、愛が冷めたら？　どーする離婚？

とマ逆。好きでもない人と結婚。ちょっと豊かな暮らし、日増しに垣間見る、ちょっといい所。それほどよくなくても、よく見える、ちょっといい所。

オレの頭はたちまちスパーク。

長続きするのはこっちなんだよなぁ……。

撃沈するオレのハート。

今シーズンの＜Nハリウッド＞で買ったものは、この本と関係ないけれど、“長続き”という意味でチョイス。

ぼくの場合、今シーズンならでは！　という、今の気分がぎっしり詰まったデザインのものに一目惚れ！　フォーリンラブなアイテムも多いけれど、時として、こうしたベーシックなものに目を奪われることもある。

何てことなさそうなのに、襟にリボン。何てことないのに、今だからこそチノパン。

いいなあ、尾花くんのチョイス。

秋……一見、穏やかに、読書したり、スポーツしたり、平静が過ぎ去って行きそうな秋。

政権は交代し、恋する男女の反比例。片や愛をクールダウンさせながらも、もう一方は愛のヒートアップ現象を起こす……秋。

その混乱に、人は心を見出し、狂おしいほどに、何かが心をざわつかせる……秋。

キャッシュな結婚にボデイのコットンをハードボイルドさせるオレ。

どうなんだ！　男たちよ？　な秋。