島下泰久の世界の車道から ~今週はコレに乗った~ 2010年1月31日〜2月6日編。『レクサスLS600h』『ダイハツ タントエグゼG』『フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント2.0TSIスポーツライン』など。

(2010.03.16)

2月に入っても勢いは収まらず。この週もたくさんの魅力的なクルマ達に乗ることができた。よく「そんなに沢山乗って、個別の印象なんて覚えていられるの?」などと聞かれるのだが、これがびっくりするほどよく覚えているものだったりする。

今回は2010年1月31日〜2月6日編です。
 

BMW535i GT / アウディA5スポーツバック2.0TFSIクワトロ 2月1日 横浜

またまた登場のこの2台。輸入車のもっともホットなトピックなので執筆の機会も多い。この日は『webCG』の取材でBMWのプレス向け試乗会に、A5スポーツバックと下のレクサスに乗って出掛けた。

正直、最初はカッコがね…と思っていた535i GTがちょっと良く見えてきたのは、ここまで何度か書いてきたその中身を知るにつれ、「コレに乗っていたら、世間の価値に流されず自分の基準でモノ選びのできる、色々な意味で余裕ある人に見えるかも?」なんて思い始めたせい。「ウッソー! 新車でコレ買ったの?! すっげー!」ってな感じで。

一方のA5スポーツバックは、取り敢えずアウディジャパンが予想した以上に反響が良く、予定より導入台数を大幅に増やすという。この時代に、こういう景気のいい話はこっちまで何だか嬉しい。

レクサスLS600h 2月1日 横浜

『燃費だけがハイブリッドの魅力じゃない』と、静かで滑らかでパワフルという側面を前面にフィーチャーしたプレミアムなハイブリッドを提案したLS600hが、マイナーチェンジ。サスペンションの動きも上質になって、持ち前の走りの実力に更に磨きがかけられた。

昨秋、華々しく登場したメルセデス・ベンツSクラスのハイブリッドも燃費は匹敵するけれど、走りはここまでのレベルではない。となると、動力性能はもう少し控えめでいいから、もの凄く好燃費なモデルなんてのも欲しいなと思わせるのが昨今のムード。燃費リッター当たり20kmを記録するLS350h、なんてね。

 
BMW535i GT 横浜 2月3日 横浜

この日またも横浜へ。いいかもと思うようになってきたのは、要は見慣れたせいでもあるのかも? そう、最初はギョッとさせられるけど徐々に目が慣れてくるのが最近のBMWのデザインの傾向かもしれない。

ダイハツ タントエグゼG 2月3日 横浜

軽自動車の寸法をギリギリまで活用した大スペースがウリのタントをベースに、その広さをゆとりや上質感に振り分けたことが「エグゼ」の由来。シートや内装の仕立てなど、軽自動車の中では質に気を使っているのは解る。しかし広くクルマを普及させるためとして始まり、税金の面でも優遇されている軽自動車で上質とか高級を謳うのは、どうにも違和感がある。このクルマ、何を優遇されているんだろう?

フォルクスワーゲン ゴルフR / シロッコR 2月5日 湯河原〜箱根

ゴルフとシロッコのそれぞれ頂点となるスポーツモデル。2ℓターボのエンジンやパドルを使って電光石火の変速を可能にするDSGなど基本部分は共通しているが、ゴルフRは4輪駆動、シロッコRは前輪駆動という大きな違いがある。

ざっくり言えば、ひたすら安定していて速いのがゴルフRで、軽さを活かした俊敏性でドライバーが腕を振るう余地をたっぷり残したのがシロッコRといったところ。皆に勧めるのはゴルフRだけど、個人的には「フォルクスワーゲンがこんなに面白いの?!」と驚いたシロッコRを選びたい。
とは言え、価格はいずれも500万円超。マニア向け物件かな。

週の頭に降ったすごい雪が、この日もまだ路肩を真っ白く染め上げていた。せっかくのスポーツモデル、晴れて良かったー。

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント2.0TSIスポーツライン / GTI / TSIハイライン 2月5日 箱根〜都内

輸入車の定番ゴルフのベストバイモデルを探す企画。とは言え今のゴルフ、完成度はとても高くて、どれを選んでも後悔はしないと思う。

ちなみに今のゴルフの主力エンジンは排気量わずか1.4ℓ。当然、それは燃費に大いに効いているのだけれど、単に燃費がいいだけでなく、走りはスポーティかつ上質。更に言えば、内外装のクオリティなんかも、ライバルを突き放すレベルにある。

ベースモデルだと頑張ればリッター19kmくらい走る。プリウスには叶わないけれど、インサイトとはいい勝負。得られる気持ちの豊かさを考えたら、それこそプリウス買う人の1割でもゴルフを考えるようになれば、日本のクルマ社会もいい方向に変わるのに、などと思う。

不景気に日本車びいきのエコカー減税が重なって、昨年は大きく沈んだ輸入車市場。けれど「ざけんなよ!」とばかりに、年頭から元気なところを見せている。輸入車に共通しているのは、便利で燃費が良くても、それだけでオッケーとはしないところ。便利で燃費が良いから、楽しいとか嬉しいとか気持ちが豊かになるとか生活に彩りが添えられるとか、そういうことをとても大事にしているのだ。
この週の最後には、そんな輸入車の中でも飛び切りの1台に乗った。それについては改めて、しっかり書くつもり。