北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 2 - ギャルの終わりとアン・ドゥムルメスター。

(2009.04.09)

美しいにこしたことはない。
セクシーだの、妖艶だの、そんなものはいらない。甘えた声も、妙な露出も、色目もいらない。美しいとは独立したものだから。

ギャルは終わってしまったのだろうか?

’80年代バブルが弾けたとき、女子大生の象徴でもあった『オールナイト・フジ』が終わりを告げた。あれは、ギャルの終焉だったのだろうか? あれから20余年。

結局、バブルが本当に弾けたのは、’08年のリーマンショックだったのではなかろうか? 苦しくも88年に『オールナイト・フジ』が終わり、丸20年の時を経て、本当にバブルの空気も底をつき、ファットなおやじも、ファックなおやじもただのハゲになり下がった。

そして、ギャルにも冷たい風が吹いてきたのだ。”女”という価値の下落。ドル安ならぬ女安……といいたいところだが、別段、男高でもないのだけれども。

リーマン前に熱気で溢れていたキャバクラも、今や数も減り、ギャランドゥならぬガランどう……すいません、ギャグベタで。

もう、セクシーはいらない。木綿である。チュニックの流行。レイヤード。天然素材。かつて『Olive(オリーブ)』という”女の子”のための雑誌があった、あの頃の女の子を進化させ、20世紀バージョンよろしくな”女子”がいまなのだった!?

男のぼくも、気分は”女子”なのかもしれない。『Olive(オリーブ)』なのかもしれない。

アン・ドゥムルメスター パリコレでショーと展示会を見せていただくようになって、数年経ちますが、とても好きなブランドですね。毎回女性らしいデザイナーの一面と、ロッカー(ひとくくりにして申し訳ないです)な一面が調和のとれた形で出て来るコレクションだと思います。ルーズなシルエットがお得意で、そのドレッシーなボリューム感がグランジになる。何とも個性的なブランドです。そして、飽きのこないアイテム作りがいいですね。表参道ヒルズにショップがあります。独特な世界感はこのショップでも感じられると思います。写真・左からアン・ドゥムルメスターの”豆”。中・アン・ドゥムルメスターの紺に白のパイピングのように見えるジャケット。右・アン・ドゥムルメスターのパンツ。ロールアップした時に、ストライプじゃない柄が。

 

 

アン・ドゥムルメスターの”豆”。長いネックレス&木綿の紐がなんとも”女子”。

同じくラベルがダブルになって、紺に白のパイピングのように見えるジャケット。これも”女子”テイスト。パンツもしかり。ロールアップした時にストライプじゃない柄が出るなんて!

忘れていた”女子”の時代。木綿の時代。エコの時代。『Olive(オリーブ)』の時代。

ぼくはこっちの方が好きだ。

伊東屋の原稿用紙、1枚10円による『POPEYE』北原 副編集長の手描き原稿。
北原 副編集長は万年筆で書いている。