桂真菜の演劇ダンス道 DAZZLEの演劇的ダンスは新鮮!
11年12月と12年4月に東京で公演。

(2011.11.30)

ルーマニア・シビウ国際演劇祭で出会った
日本のダンスカンパニー DAZZLE

2011年は四つの演劇祭(ベルリン、ウィーン、シビウ、ケベック)とニューヨークを訪れました。各地のルポを少しずつ届けますが、今回はルーマニアのシビウ国際演劇祭で出会った日本のダンスカンパニー DAZZLEを紹介しましょう。世界中から作品が集うシビウ国際演劇祭は、中世の面影の残る都市で開かれる大規模なフェスティバル。伝統芸能から実験的な一人芝居まで、いろいろな作品が集います。09年には平成中村座による歌舞伎公演『夏祭浪花鑑』(串田和美演出)が招かれました。私は今年はじめてシビウを訪れ素晴らしい作品に遭遇しましたが、演劇祭の中心となるラドゥ・スタンカ国立劇場で上演されたDAZZLE(長谷川達也主宰)の演劇的ダンスにも感嘆。満場を沸かせた『花と囮(おとり)~Misty Mansion~』(09年初演)は、各地から訪れていた演劇祭関係者の注目度も高かったようです。


パフォーマーたちの澄んだ気迫に惹きつけられる。

詩情と恐怖をたたえた『花と囮』は、パフォーマーたちの澄んだ気迫でも私を惹きつけました。まず、上演直前の暗闇に立つ兄弟役の2人から“祈るような集中力”が伝わり、「これは並ならぬ作品」と予感。ひとたびダンスが始まれば、ヒップホップなどのストリート系、シャープなコンテンポラリー、懐かしい日本舞踊etc. 多彩な動きの組み合わせに意表を突かれます。ダンサー8人全員が踊りながら、障子状のパネルを変容させる装置も見事。各人が背丈より大きいパネルを操るインスタレーションと、物語を連動させる展開は、猛稽古あればこそ。繊細にデザインされた映像と、身体のバランスもおもしろい。人物の声と、「狐の嫁入り」伝承を引いた物語は、簡潔な英文字幕に。ダンス、美術、照明、音楽が一体となって人間の光と闇に迫る表現は、国境を超えて観客を魅了したのです。

嬉しいことに『花と囮~Misty Mansion~』が2012年4月に池袋あうるすぽっとにて再演決定。来る12月10、11日には青山スパイラルホールで「DAZZLE15周年記念ショーケース『Re:birth』」を開催し、独特の美意識あふれるダンス・ナンバーを披露。その直前の12月2日に今年4月初演された『Re:d』のDVD発売と聞いて予告映像を見れば、赤をモティーフに展開する謎めいた世界。『花と囮』とは違うスタイルだけれど、果たしてどんな物語……気になります。

 

「DAZZLE15周年記念ショーケース『Re:birth』」

企画・制作・振付:DAZZLE/演出・原案:長谷川達也/協力:株式会社ワコールアートセンター
日時:2011年12月10日(土)、11日(日)
全4公演、各回とも当日券を若干数販売。
会場:青山スパイラルホール

 

『花と囮~Misty Mansion~』

企画・制作・振付:DAZZLE/演出・原案:長谷川達也/脚本:飯塚浩一郎
日時:2012年4月11日(水)~15日(日)、全7公演、詳細は12年1月中旬発表予定。
会場:池袋あうるすぽっと
 

以上、問い合わせ:DAZZLE 公式HP

シビウ国際演劇祭HP