北原徹のバカ買い! Smells Like Teen Spirit - 44 - <パタゴニア>レインパーカ(だと思う)。
(2010.02.11)何気なく毎日を過ごし、日々どうでもいいことばかり考え、日常というどうでもいいような時間だけが通り過ぎて行く。
それだかでも、そんな時間の中で、どもでもいいことなのだけれど発見したり、感じたりすることもある。
それは他人にとってもはどうでもいい、どうでもよすぎるほどの救いようのない発見でも、ぼくにとってもは貴重な大発見であることもしばしば。
今も発見をひとつ。
ぼくは普段、原稿をキッチンのテーブル、もしくは机、はたまたファミリーレストランと言われるテーブルで書いている。椅子に座って、脚を組んだりすることもある。
だけれど、今日は違う。
炬燵である。正座である。ときどき胡座もかく。
するとどうだろう。字が違うのである。みなさんからはどうでもいいことかも知れないけれど、ぼくにとっては、椅子と正座では書く字の質が違うというのは、驚きの大発見なのであった。
そんな大発見の中で、炬燵文字の次に新しい事をひとつ紹介したい。
アメリカ人って、でかいんだなあ。
である。何が? って、何が……ではない。ぼくは洋ピンは好きではないし、外国人の何を見てコンプレックスを持ってみても仕方ないので、何を比べる気は毛頭ない。
で、アメリカ人はでかいのである。
この世紀の大発見は、最近のぼくのファッションのアウトドアブームに端を発している。
ジャケットや、ベストの下にレイヤードする細みのレンパーカはないだろうか? とアウトドアショップを巡礼していた。
当たり前のことだが、レインパーカはもっとも外に着るアイテムである。ぼくのようにインナーとして着るようにはもちろん作られているはずもなく、なかなかスリムなシルエットのものなど見つからない。
さらなる巡礼である。
が、自分のさがしものは簡単には見つからず、レンパーカをさがしているのか、自分をさがしているのかわからなくなる次第。
そして、さがすのをやめたとき、である。
元々、レディスも試着はしていたのだが、そこには帯に短し、襷に長しで、見ごろはよくても袖が短かいのでほとんどといっていいほど却下、と相成っていた。
痩せているとは言え、身長175センチメートル、体重60キログラムはある、蔵から見ればスモール&タイトでも、蟻から見ればビッグ&ファットな体型。
まぁ、諦めて、そのうち、そのうち、などと思っていた時、運命の出会い。見つかることもよくある話、となったのが、今回のパタゴニアである。
ウエストシェイプのミドル丈は、一見燕尾服のようなシルエット。定番らしいのだが、タグも見ないで試着してみて「オォ。これぞぼくの求めていた一着。オー マイキー! じゃなくて、オー マイ パタゴニア!!」な気分なのであった。
店員さんを呼んで、袖の長さもピッタリなのを確認しながら、言われた。
「ピッタリですね。レディが気にならなければ、お買い得ですよ」
ん!? リアリ!? オー マイ ゴッド!!
ぼくは、ウーマンサイズのしかも“S”を着ていたのだった。
いくら鯨よりキュート&ミニで、蚤よりノッポなサリーな僕でも、ウーマンサイズの“S”はないだろう、と思うのである。
世の中は常に送深く、人類はそれもまだまだ未知の世界、未開の扉は多くあるのである。
アメリカ人はでかい。
最近のぼくの大発見であり、人類の第一歩を、またひとつ踏み出した。貴重な一日。重大などうでもいい日常なのであった。