仲原かおるのスローキャリアのすすめ 2010年・今年こそ英語!! – 2 - 幼児編 子供のうちから英語を学習する方がよい、というのは本当?

(2010.02.22)

愛する子供をバイリンガルに。そう願うパパ、ママを代表して私が翻訳・通訳家の経験と、英語教育の知識をフル活用してチョイスした幼児英語教育教材とは? 

 
第一回目の幼児英語編。プレゼントもありますのでお楽しみに!

メインは語学教材で有名なアルクの幼児用英語教材、「エンジェルコース」です。

『アルク』は外国語教育教材の会社として確立しているので安心感がありました。通訳仲間の間でも『アルク』の英辞郎 on the WEBで用語をチェックする方は多いです。商品の宣伝文句に誇張がなかった事も好感が持てます。「これでペラペラ」とか、「このコースだけで0歳から学童期まで全てOK」などなど。

「あくまで日本人として日本語を母国語としつつ、尚且つ将来的に英語もできる人になる基礎を作りたい親御さん向けの教材」という謙虚なスタンスにも好感が持てました。

有名キャラクターを使っていないので、キャラクターにあまり興味がない私にも身近に感じられたのもプラスでした。キャラクター使用料が発生しない分、値段が抑えられているのかもしれませんね。

 
コース・内容

30分の英語CDが12枚。各CDは英語圏で定番の童謡や、モーツアルトのゆったりとした音楽にのせた乳幼児のいる家庭の会話、有名童話の読み聞かせの三部構成になっています。

童謡:『ABCソング』『Good Morning』
家庭の会話:オムツを替えながら乳幼児に話しかける母親の語りかけ
有名童話:『三匹の子豚』『白雪姫』『長靴をはいた猫』

 
胎教にも使える幼児用英語教材はあまりないのと、あまり小さいうちからDVDなどのTVを躊躇している親御さんにとってもCDのみの構成になっているので安心でしょう。

CDの英語は、ブリティッシュ・イングリッシュの発音で収録されていますが、イギリス英語は使われている周波数帯がアメリカ英語より広いという事で「英語の耳」を作るのにいいそうです。

 
使い方は「30分のCDをBGMのようにかけるだけ」。手軽さも継続できた理由でしょう。英語と共に流れてくるモーツァルトの音楽もとても落ち着いていて胎教にはピッタリかも。同じCDを1ヶ月かけてじっくり聞いてから次へ進む事が推奨されていますが、飽きたら次、好きなCDは何度でも、という聞き方でもいいと思いました。

 

全体について:モーツァルトのBGMでリラックスしながら楽しめる英語。

英語で胎教というと「生まれてきてもいないお腹の中の子に色々教えるのか?! ちょっと恐い感じ」と思っていたら、私の勘違いで、お母さんがリラックスして幸せな状態が子供にとっての最高の胎教なんだそうです。子供向けの教材はどうしてもワイワイ感が満載ですが、アルクのCDはモーツァルトが流れているせいかとても落ち着いた雰囲気でした。

 
『エンジェルコース』にはテキストに完全日本語対訳が付いているのもいいと思いました。完全英語のみのお教室や教材で子供が何を教えられているのか良く分からないのでは、英語のできない親御さんにとっては不安だと思うからです。

そして、年齢関わらず使い方を工夫していけば繰り返し継続して聞ける教材になっていると感じました。赤ちゃんの頃は聞き流しをして、もっと大きくなったらCDと一緒にシャドーイングしたり歌を歌い、英語が分かるようになってきたら暗唱、英語が堪能な大人は逐次や同時通訳訓練の教材にしてもいいんじゃないでしょうか。

 

童謡パートについて:好きな唄に反応して、楽しげに踊りだす子供。

子供は言葉を覚える前に音楽やリズムに反応するのだなあ。言葉を意味の繋がりとしてよりも、リズム・音として最初は捉えているのだろうと、『エンジェルコース』の童謡を聞く我が子を見ていて感じました。好きな曲がかかると踊りだしますが、そうでもない曲だと早送りボタンを押すのです。

人がリズムに合わせて体を動かすのは本能的なものなのでしょうか。1歳にも満たないうちから、踊っていたのでびっくりしてしました。人は言葉を理解したり話し始めるより先に歌や音楽に反応するのだなと思いました。読み聞かせへの反応は月齢がある程度いかないとハッキリ分かりませんが、音楽は最初から楽しそうに聞いていました。

 
会話パートについて:「マザーリース」の会話を多数収録。

母親が赤ちゃんに話しかける時の独特の話し方をマザーリース(お母さん語)というそうです。不思議な事にどの国でも赤ちゃんに話しかける人は、みな自然に、単純な文法、誇張された抑揚、繰り返しを多用するのだそうです。「赤ちゃんにも対大人と同じ話し方を!」という教育法もあるようですが、お母さん語はとても人間的かつ普遍的で自然な話し方。幼児の言語習得にとっては「お母さん語」は大切なものらしく、沢山の乳幼児研究のテーマにもなっているそうです。エンジェルコースでは父母が赤ちゃんに語りかける会話が収録されているのも良かったです。

子供の成長に合わせるように、オムツ替え、寝返り、初めての海、誕生日の会話などの会話が収録されています。子育ての英語は学校では習わないので、オムツ替えって英語ではこういうのね!と納得する親御さんも多いと思います。

 

童話パートについて:英語文化のベースを童話で知る。

そして、文化と言語は切り離せないものです。たとえば「サワーグレープ(イソップ物語の酸っぱいブドウの話)」という言葉。これはイソップ童話の『すっぱいぶどう』のお話を知っていれば、言葉の意味がより深く理解できます。英語の慣用表現や諺のベースになる英語圏で親しまれている童話を知っていればなんとなく意味のとれる言い回しも多いのです。
背景知識の蓄積は大人になって急に始めても大変なので、英語圏で歌い継がれている歌や名作童話などを知っている事は、将来的な学習の基礎作りに欠かせません。また伝統的な遊び歌や『マザーグースのうた』には韻を踏んだり、英語特有のリズムの練習になる要素が沢山あります。

『エンジェルコース』は、「人は聞くことのできる音しか発音できない」というフランスの音声医学の権威、アルフレッド・トマティス博士の理論に基づいて制作されているそうです。
大人の言語学習では、単なるCDかけ流しではなく、能動的に聴く事が大切だと思います。しかし、3歳までは「耳の黄金期」とされ、脳も急速に発達し、大人と違って外部からの刺激をそのまま吸収するのだそうです。その時期に良質な英語の音に触れる時間をつくることで、「英語を聞き取れる耳」を育てるというのが目標のようです。

 
監修者である大木恵子さんは、「大人は英語の先生の立場を取らず、子供と同じ学習者か伴走者の立場でいて下さい」と書いています。

英語の早期教育に対して「あまり早く始めると日本語習得に支障がでるのではないか?」と懸念する親御さんもいるようです。しかし、もう1人の監修者である中島和子さんは、「一般日本家庭で一般的な日本語の生活をしていれば、1日30分英語のCDを聞かせた位では日本語習得に影響はしない。しかも、外国語に触れると外国語が上達するばかりか、母語も刺激されてより発達するという研究結果もある」と書いています。

最後に、幼児は自分でCDやDVDを止めたり、拒否表現が上手にできません。いくら良い教材でも使い方を誤ったり、過度の外的刺激はかえって害になる可能性もあります。教材は使い方に従って、くれぐれも「1日中CDかけっ放し」という事がないように!お願いしますね☆

2010年、より多くの親御さんと赤ちゃんが「おうち英語」をスタートさせ、将来に渡って楽しめますように!