山本貴代の“女の欲望グツグツ” シアトルまでの遠い道のり。カフェアメリカーナを飲みながら。

(2010.05.10)

またまたお久しぶりです。みなさんご機嫌いかがですか。
私はといえば、今、ロスの空港のスタバで、このコラムを書いているところです。

なんでこんなに余裕なのか。といいますのも、たった今、シアトル行きの便を逃してしまったからです。87番ゲートで、夕方の便のスタンバイというわけです。乗れるかどうかもわからないなんて。ああっ。

旅慣れているはずの我々が、なぜ、乗り遅れたのか。
50分前には、空港にいたのですが、チェックインしたときに、
45分をきっていたとかで、「この便の搭乗は締め切りました」といわれてしまったわけです。なんてこと!
泣きが通じないアメリカー。というわけで、次の便は、夕方。
まだ三時間もある。まあ気長に待ちましょう。

今回の旅は、ロスに出張中の夫と合流、そして「女の欲望ラボ」のロス支社訪問→シアトル在住の後輩のいじりちゃんのうちに遊びにいくという、短いながら、ハードな計画を立てました。ロスはサンタモニカの海辺のホテルに滞在。ロス支社は、Rancho Palos Verdesという素晴らしいロケーションにあり、そこに住んで活動をしているマーケティングができるアートディレクターのちやこ女史を訪問。これからの夢と計画を語りました。息子は、マジックマウンテンでこれでもかとジェットコースターに乗り、アメリカを満喫。私は、逆さになったり、ぐるぐる回ったり、人はなぜジェットコースターに乗るのかと真剣に考えてしまいました。別名、興奮自動製造機。

photo / 三枝近志

さて、シアトル行きに乗り遅れた理由ですが、こういうときは、人は、何かや誰かのせいにしたくなります。なぜ、我々は、間に合わなかったか。あんなに余裕があったのに。ということで、誰が悪かったかを追求大会がはじまりました。

夫いわく、「立ち寄ったホットドッグ屋で、僕がそろそろ行こうと言ったのに、貴代たちが5分もたらたらしていた」という言い分。
息子いわく、「僕は出ようとしたのに、ママがあとひとつ漢字の練習をしてからいきましょうと言ったから遅れた」と言い訳。

そして私「私は9時半に出ようとしたのに、あなたは10時半で余裕だよといったから。ホットドッグ屋の5分の遅れなんて関係なーい」と夫に向けて。「朝、いつまでも寝ているからです。もっと早く行動していれば、こんなことにはならなかったはず」と息子へ。
ああ、私が一番追求している、まるで自分のミスを隠すように、と思いながらも、自分の否は認めたくない。
ビコーズここはアメリカ!
結局、夫に形だけでも折れさせた私。「僕がしきりが悪かったです。すみません」
で、いじりちゃんに、電話。「ごめんねー、乗り遅れました。ほんと申し訳ない」「えーっ? でも大丈夫。片付ける時間ができた。気にしないでゆっくりきてねー」とやさしいお返事いただきました。
夕方から、ウェルカム大バーベキュー大会をひらいてくれるといっていたのに。夕方の便に乗れたとして、バーベキュー開始は日没後でしょう。

で、現在に至るわけです。スタバで、カフェアメリカーナを飲みながら。バッグに忍ばせたチョコプリッツェルをほおばって。

息子は、残りの漢字の練習をしています。
「旅」という字で、熟語を作っていました。旅行、旅人、旅の空。

 

オペラ景気の話も少し

アメリカに来る前に、久しぶりにオペラを見に行った話を少し。
夫を誘って「愛の媚薬」のゲネプロへ行きました。このところ、オペラから遠ざかっていたので、久しぶりのオペラはワクワク。ちょっとオシャレして。

広報の渡辺女史いわく、「この不況でも、オペラのチケットは、売れているのですよ。驚くことに」。休憩時間に、みわたせば、高齢の紳士・淑女が溢れんばかりにワイン、シャンパン、コーヒーを片手に談話しています。みんなの顔は幸せそう。
マチネー専門の私は、夜のオペラはわからないけれど、昼間見る限り、ずっとこの一年こんな感じで、不況とは無縁。なぜ、こんなにもオペラが流行るのでしょう。
ここにくれば、華やかな舞台と、華やぎがあって、たとえ景気が悪くてもひとときそれを忘れさせてくれるマジックがあるからかもしれない。
もしくは、リタイヤした人たちが多いから、不況とはあまり関係ないのかもしれない。

私は、最近、少しオペラが、わかるようになってきて、楽しい。何しろ、字幕が大きいし、出てくるオペラ歌手も顔なじみができるようになってきたから。堅苦しいものだと思っていたけれど、まったくそんなことはなく。男女のどろどろした心のうちなどが描かれているものも多く、高貴なものばかりではないのです。
「愛の媚薬」もそう。
だめな男が、愛の媚薬を手に入れて、いい女を虜にするという単純な話だけれど、それをオペラでやると、こちらまで歌声でしびれてしまう。
あっという間に数時間たっていました。次のオペラが今から楽しみです。
日本の歌舞伎もいいけれど、もっともっと若い紳士淑女で溢れれば、景気もアップしそうな予感。ちょっとしたお姫様気分が味わえます。

おっと、シアトル便まであと、二時間。果たして私達は乗れるのでしょうか。この続きは、ブログでどうぞ。