山本嬢の王道と邪道のはざまで case 4 : ヒトクセあるデコ・ヨット@マリナ・デル・レイ。

(2008.12.30)

中学んとき英語で赤点とったほど語学力ないクセに、アメリカ行っちゃいました。
目的地は、LAの空港から車で10分のマリナ・デル・レイ、巨大なヨット・ハーバーなり。広い湾内に停泊する艇数は約6000だそうですが、たとえば東京では夢の島の登録ヨット数がおよそ650ですから、その規模たるや……。また一艇当たりのサイズもアメリカンで、「え、商業用?違うの、個人?これで??」っていう船舶ばかり。もうシンプルに「アメリカすげー」な気分です。

 

さて、ココで毎冬行われるのが「ホリデイ・ボート・パレード」。電飾の煌めくボートやヨットが何艇も連なり、夜のマリーナ内を優雅にグルグルするイベントです。ああ、これなら語学力が無くても楽しめるー。
でも、グルグルしている艇に乗ったスタッフの顔は、本気と書いてマジ。だってこのパレードは実のところ、ライティング、デザイン、音楽とのコンビネーションなどなど厳しく審査されるコンテストなんですからね。

 

で、審査員の中には日本人もいます。というのは、東京で開催されている同様のコンテスト「イルミネーションボートパレード&コンテスト」で優勝した艇の長が、毎年招待されて審査員を務めることになっていまして。2008年の今回、日本代表として審査するのは宮田昭男さんという方。もうすでに審査員3回目というベテランです。

 

コンテストの前に、まず宮田さんは交流のあるいくつかのヨットクラブへ表敬訪問。その内の1つ「サンタ・モニカ・ヨットクラブ」では、コンテストに向けてちょうど飾り付けの真っ最中でした。サンタの笑い声「HO HO HO」、そしてプレゼントの箱の部分が電飾で光る仕掛けらしいけれど、本番は……狙い通りにうまくいくか?

 

 

エントリー艇いろいろ、体力勝負のボートも
 

さて。
陽が沈んで空と海の境が曖昧になったころ、ピッカピッカと点滅するボートやヨットが近づいてくれば、いよいよコンテストのスタート! 大音量スピーカーとライトを詰め込んだ船が次々にマリーナ内を旋回し、ゆっくりと目の前を通り過ぎます。50人は乗れそうなクルーザーもあれば、ヴェネチアから運んできたかようなゴンドラもあり。中盤でようやく、「HO HO HO」の文字がチカチカしてる、あの「サンタ・モニカ・ヨットクラブ」の船もやってきました。よかった、問題なく作動している模様でした。

 

とはいえ私のツボにハマッたのは、手漕ぎボート集団。「マッスル・サンタ」というタイトルを引っ提げた彼らは、電飾の光るボート3艇に分乗してひたすら漕ぐ漕ぐ。欽ちゃん仮装大賞にカラダ張ったネタで大学生が出場し、最後は山本晋也監督しか2ポイント入れてくれないような……あの香りを如実に感じましたねー。嫌いじゃないです。

 

そうして多くの観客が盛り上がる中、あれ、宮田さんは? というと、秘密のポイントで静かにジャッジ(マリーナ内のどこで審査するかはエントリー艇にナイショなので、審査員すら直前まで審査場所を知らされないのです)。ご苦労さまです。

 

この審査結果は、翌日の表彰式会場にて堂々発表となりました。やはり、皆がイイと言ったものはちゃんと入賞してます。準備の途中から見ていてハラハラした「サンタ・モニカ・ヨットクラブ」は、見事「ベストヨットクラブ」賞に。まんまな賞ですが。

 

それにしても。
よーく考えりゃ、これってデコ・トラに通じる世界では。日本のトラックもクリスマス仕様でパレードすれば、冬の風物詩になるんだけどなぁ。
いや、逆に日本から白鳥ボート持っていって来年のパレードにエントリーし、キコキコ漕いでもみたいなぁ……山本晋也監督はいないから合格ならず、かな。

アザラシの子供がくつろぐ、マリナ・デル・レイの防波堤。

パレード審査員の宮田昭男さんは、主に公共施設を手掛ける建築家。週末は自艇「西遊記」艇長に早変わり。

「バージ」と呼ばれるペナントみたいな三角旗は、ヨットクラブ同士で交換し合います。

世界中のヨットクラブと交流する度ストックされていくバージが、各クラブハウスの天井に。

マストにぶら下がり、電飾を取りつける「サンタ・モニカ・ヨットクラブ」のスタッフ。命がけです。

設計図を片手に、「PCでプログラムを組み、音楽と連動して光を点滅させるつもり」とスタッフの解説。

海風がちと寒い中、パレードはスタート。今年のテーマは「Santa Clous Is Coming To Town!」。

ベスト・オーガニゼーション賞に輝いたヨットは、暖かい暖炉をイメージしたライティングで勝負。

ヨットをソリに見立てた「サンタ・モニカ・ヨットクラブ」。色とりどりのライトがリズミカルに点滅。

2008年の大賞に輝いた艇はコレ。観覧車にはクマのぬいぐるみを載せるなど、細部まで夢があふれてました。